HOME

「左利きの少女」

No.1379

東京に来ています。8月18日の夜、出版打ち合わせをした後で台湾映画「左利きの少女」をヒューマントラストシネマ有楽町で観ました。台湾は儒教の影響が強い国ですが、その功罪がともに描かれていて、とても興味深かったです。イージン役のニーナ・イェがとにかく可愛かったです! ちなみに本作は、今年観た150本目の映画です。

ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「台北の夜市で麺の屋台を開いたシングルマザーと2人の娘を描く人間ドラマ。地方から台北へと舞い戻った家族が、母親の借金返済のために麺屋台を夜市で始める。『テイクアウト』などのツォウ・シンチンが監督などを務め、『ANORA アノーラ』などのショーン・ベイカーが脚本などを担当する。ニーナ・イェ、マー・シーユエンのほか、ジャネル・ツァイらがキャストに名を連ねている」

ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「5歳のイージン(ニーナ・イェ)は、借金を抱えたシングルマザーのシューフェン(ジャネル・ツァイ)と、年の離れた姉イーアン(マー・シーユエン)と共に、田舎から台北へと戻って来る。生活を再建するため、母親は夜市で麺の屋台を始める。ある日、左利きのイージンが祖父に『悪魔の手』と言われたことをきっかけに、彼女は感情の変化を感じる」

本作では、台湾の夜市が魅力的に描かれています。それはまさに魔術的といってもいいほどの、この世ではないような幻想性を持っています。わたしは何度も台湾に行っており、夜市の楽しさはよく知っているつもりです。基本的にグルメやゲームを楽しめる活気あふれる屋台街ですね。台北の士林夜市や饒河街観光夜市、グルメが充実した寧夏夜市などが有名で、魯肉飯や胡椒餅、地瓜球などの名物を味わえます。本作では、5歳のイージンが夜市を駆け回ります。

イージンを演じたニーナ・イェちゃんは顔や仕草が可愛いだけでなく、役者としての才能に恐るべきものを感じます。泣きの演技も天下一品で、「君は芦田愛菜ちゃんか!?」とツッコミを入れたくなったのは、わたしだけではありますまい。実際、本作のレビューを眺めると、ニーナ・イェちゃんを「台湾の芦田愛菜」と表現している人が多いですね。イージンは左利きですが、祖父から「左手は悪魔の手だ」と罵られてしまいます。こういう迷信を振りかざして、幼い子を傷つけるのは良くないですね。

台湾は儒教が盛んな国で、「孔子廟」もたくさんあります。本作にも儒教の影響とおぼしき場面が多々ありました。わたしは基本的に孔子の教えを重んじる人間ですが、孔子の時代からはるか時代を経た後世の儒教には疑問を感じる点もあります。まず、「男尊女卑」の価値観。本作でも、ある女性が不倫の結果、妊娠したのですが、不倫相手の妻から「お腹の子どもが男の子なら譲ってもらう」と無茶な要求を突き付けられます。このシーンは日本の女性天皇問題も連想され、嫌な気分になりました。

また、悪魔の左手で万引きを繰り返すイージンに、姉のイーアンが「それは良くない。お店に返しに行こう」と言って、妹に付き添って店に盗品を返品して、さらに謝罪させた場面が印象的でした。このシーンには、「義」に象徴される儒教の正義感が溢れていました。親だろうが、兄や姉だろうが、人として間違ったことをしたら、正してあげるのが愛です。何よりも「わたしが盗みました。ごめんなさい」とうなだれて謝るイージンの姿がいじらしくて、かわいそうで、抱きしめてあげたくなりました。

それから、イーアンやイージンの祖母の還暦祝いの宴席シーンがあるのですが、ある人物の発言によってぶち壊しになります。どんな理由があっても、人の祝い事に水を差すのは良くないです。このシーンには、わたしは強い怒りを感じてしまいました。最後に、イージンの母親であるシューフェンは、借金を抱えたまま死んだ元夫の葬儀をあげますが、母親や妹たちから「あんな男の葬儀代を出すなんて馬鹿じゃないの!」と言われます。でも、わたしは「人の道」を踏んだ立派な行為だと思いました。本作を観終わったとき、とにかくカラフルな夜市のイメージが残りました。いろいろとストレスフルな物語ではありましたが、ラストが幸福感に溢れていて良かったです。また台湾に行きたくなりました!

HOME
Copyright © 2017 - 2022 Shinya Ichijyo’s Movie Theater All right reserved.