8月28日から公開されたイギリス・フィンランド・フランス・リトアニア合作映画「ナイトボーン ‐夜哭‐」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉で観ました。とんでもない胸糞映画で、観たことを深く後悔しました。わたしの身内にもいますが、妊婦は絶対に観ない方がいいです。胎教に100%悪いです。予告編も観てはダメ! まことに悲しいことに、この不快きわまりない作品は今年観た160本目の映画です。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「子供の生活環境のためにフィンランドの田舎町に移り住んだ夫婦の母親が、わが子に対して疑念を抱くホラー。ある新婚夫婦が理想の子育てを夢見て妻の故郷・フィンランドへと移り住んだものの、妻は生まれたばかりの子供に不自然さを感じる。監督を務めるのは『ハッチング-孵化-』などのハンナ・ベルイホルム。『コンパートメントNo.6』などのセイディ・ハーラ、『ハリー・ポッター』シリーズなどのルパート・グリントのほか、ピルッコ・サイシオ、ジョン・トムソンらが出演する」
ヤフーの「あらすじ」は、「新婚のサーガ(セイディ・ハーラ)とジョン(ルパート・グリント)は子供を望み、理想の育児の夢を描いてサーガの故郷であるフィンランドの田舎町へと引っ越す。深い森に囲まれた場所で暮らし始めた彼らはやがて待望の子供に恵まれるが、サーガは生まれたばかりのわが子の産声を耳にした瞬間に違和感を抱く」です。
ハンナ・ベルイホルム監督の前作は、
一条真也の映画館「ハッチング-孵化-」で紹介した2022年のフィンランド映画です。北欧フィンランドに暮らす少女が見つけた謎の卵のふ化をきっかけに、誰もがうらやむ幸せな家族の真の姿があぶり出されるホラーです。フィンランドのとある街。12歳の少女ティンヤ(シーリ・ソラリンナ)は、幸せな家族の姿を発信することに必死な母親(ソフィア・ヘイッキラ)を喜ばすため、自分の感情を抑え込み、母が望む体操大会の優勝を目標とする毎日を過ごしていました。そんな中、彼女は森で見つけた奇妙な卵を家族に内緒で温めます。やがて卵は孵化し、卵から出てきた「それ」は、誰もがうらやむ完璧な家族の実像を暴き出していくのでした。
出産&育児ホラーという点で、「ハッチング-孵化-」と「ナイトボーン ‐夜哭‐」は共通しています。前者はまだファンタジーの要素がありましたが、後者は観客の不愉快にする映像や音の連続で、本当に気分が悪くなりました。セイディ・ハーラ演じる新婦のサーガのド直球の血まみれの出産シーン(すべて映っています)をはじめ、生理用品にベットリと付着した経血、モンスターのような赤ん坊に食いちぎられた母親の乳首や従妹の少女の指・・・・・・とにかくショッキングな映像が次から次に登場します。繰り返しますが、本編はもちろん予告編も妊婦は絶対に観ない方がいいです。その夫も観ない方がいいでしょう。
赤ん坊の夜泣きにブチ切れたサーガの悪鬼のような形相も不快指数MAXです。彼女が産んだ赤ん坊には異様な体毛が生え、獲物を狙うような動きをします。しかし、何よりも不気味なのが神経を逆撫でする咆哮です。赤ん坊の泣き声はギャーンギャーンとけたたましく鳴り響き、聴いているだけで頭がおかしくなりそうです。この異常な泣き声は、赤ん坊の声にライオンやクマの子どもの鳴き声を重ね合わせた特殊な音響だそうです。また、荒々しい呼吸音には大人の男性のいびきがミックスされているとか。さらに、このミックスされた怪音には伝説的メタルバンド「セパルトゥラ」の元ボーカルのマックス・カヴァレラまでが参加しており、彼が発するうめき声が忍ばせられているというから驚きです!
父親であるジョンは、もともと生まれた息子に、牧師である自分の父と同じ「クリスチャン」という名を付ける予定でした。しかし、森から何らかの不吉なメッセージを受け取ったサーガは、親戚縁者の目の前で突然、息子をフィンランド語で霜を意味する「クーラ」と名付けます。この瞬間、赤ん坊はキリスト教的な祝福を受けることができなくなり、北欧の異教的世界の住人となります。ジョンの母親は「祝福を受けない子はトロールにさらわれる」と語っていました。トロールとは、北欧の伝承に登場する妖精や怪物です。巨大な巨人から、人間の子供程度のサイズまで伝承によりさまざまです。山や森に住み、日光を浴びると石になってしまうという言い伝えがよく知られています。
北欧では「トロルド」「トロールド」「トラウ」「トゥロー」とも呼ばれるトロールは、『指輪物語』や『ハリー・ポッター』などのファンタジー作品に登場するモンスターのモチーフとなっていますね。当初は悪意に満ちた毛むくじゃらの巨人として描かれ、それがやがて小さい身長として描かれています。変身能力があるのでどんな姿でも変身できます。最近では、ノルウェーの山奥で目覚めた古代の巨大怪物を描いたパニック・アクション映画「トロール」(2022年)や「トロール2」(2025年)が話題になりました。本作「ナイトボーン‐夜哭‐」のクーラはまるで森のバケモノと同化してしまったようでした。大人がいくらなだめても泣き止まない彼は、森の風が吹いたときにだけ静寂を取り戻すのが不気味でした。