10月1日の夜、この日からついに公開されたアメリカ映画「ディスクロージャー・デイ」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉のIMAXで観ました。当初は7月10日公開予定ですごく楽しみにしていたのですが、延期が発表されてガッカリ。3ヵ月近くも待たされた間にテンションも下がってしまいました。公開初日というのに劇場もガラガラで、「これは公開延期は失敗だったな」と思いましたが、内容はまあまあでした。前半は退屈で眠くなりましたが、ラストの盛り上がりは「さすが、スピルバーグ!」でしたね。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「『未知との遭遇』『E.T.』 などのスティーヴン・スピルバーグが監督や原案などを担当し、人類の存在に関するミステリーとその真実をめぐる攻防を描いたSFアクション。79年間隠されてきた最高機密を知った二人が、秘密を明らかにしようとする中で謎の組織に追われることになる。秘密を知る二人を『オッペンハイマー』などのエミリー・ブラントと『チャレンジャーズ』などのジョシュ・オコナーが演じるほか、コリン・ファース、イヴ・ヒューソン、コールマン・ドミンゴなどが共演する」
ヤフーの「あらすじ」は、「気象キャスターのマーガレット・フェアチャイルド(エミリー・ブラント)とサイバーセキュリティーの専門家ダニエル・ケルナー博士(ジョシュ・オコナー)という、それまで接点のなかった二人が、ある最高機密を知ることになる。その秘密を全人類に明かそうと動き出した二人に、謎の組織が立ちはだかる」です。
わたしは本作の公開が本当に楽しみで、延期が決まったときは非常に落胆しました。巷では「夏休みに公開される他の話題作との興行戦争を避けた」などと言われていましたが、痩せても枯れても天下のスピルバーグ。ここは当初の予定通りに、7月10日に公開してほしかったですね。だって、噂されていたように本作が人類の未来に多大な影響を及ぼすことが間違いない作品ならば、「スパイダーマン」や「トイ・ストーリー」や「キングダム」や「ちいかわ」などよりずっと重要であり、公開も優先されるはずです。でも、3か月近くも延期されたということは、「結局、ただのSF映画であって、重要機密などは描かれていないのだな」と悟ってしまいました。そのことが一番残念で、悲しかったです。
しかし、単純にエンターテインメントとして観た場合、本作は面白い映画です。特に、SF映画でありながらオカルトの要素が強いところがわたしの好みでした。特に、1羽の小鳥を見たマーガレット・フェアチャイルド(エミリー・ブラント)が他人の意識に瞬時に入り込み、相手の心の奥にある最も大切な存在の話をして、結果的に相手を従わせるシーンが興味深かったです。これは完全に魔術の世界であり、一条真也の映画館「ドクター・スリープ」で紹介した2019年のアメリカ映画を彷彿とさせました。同作はホラー映画史に燦然と輝く金字塔であるスタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」(1980年)で描かれた世界の40年後の物語です。
本作は一応SF映画ですが、未知のテクノロジーも登場しました。それは現代科学の常識を超えたデバイスでしたが、AIなどのはるか先にある技術のように見えました。AIといえば、アメリカのトランプ大統領がAI(人工知能)に代わって政府の文書や発表などではSI(超知能)の使用を命じる大統領令に署名しましたね。9月29日、トランプ大統領は「本日、正式にAIからSIに名称を変更した。意味はわかると思うが、スーパーインテリジェンス(超知能)だ」と述べ、先月行った米中首脳会談で習近平国家主席と 今後はSIを使用していくことで合意したと発表。わたしは「スーパーインテリジェンス」という響きから「儀式」を連想しました。一条真也の読書館『RITUAL 人類を幸福に導く「最古の科学」』でも書いたように、AIが最新の科学なら、儀式とは最古の科学です。わたしには、AIが1周回ってきて、SIとしての儀式の「知」に辿り着いたように思えてなりません。
トランプ大統領といえば、本作に先立って、一条真也の映画館「エイジ・オブ・ディスクロージャー:真実の幕開け」で紹介したドキュメンタリー映画が大きな話題となりました。1947年、ニューメキシコ州ロズウェル近郊で起こったロズウェル事件以来、アメリカ政府は80年にわたってUFO(あるいはUAP)や地球外生命体の存在を隠蔽してきたという事実を暴くドキュメンタリーです。マルコ・ルビオ国務長官を筆頭に、総勢34人の米国政府、軍、諜報機関の元・現役高官が登場し、UFOとの遭遇に関する詳細や墜落した飛行物体からの技術回収について証言を行っています。これらの証言には、議会公聴会やニュースメディアでの報道映像なども数多く引用されており、テーマの説得力を高めています。
「エイジ・オブ・ディスクロージャー:真実の幕開け」の監督は、一条真也の映画館「レディ・プレイヤー1」で紹介したスティーヴン・スピルバーグ監督作品のプロデューサーとしても知られ、この作品でドキュメンタリー監督デビューを果たしたダン・ファラー。2025年のサウス・バイ・サウスウェスト映画祭でワールドプレミアされ、観客から熱狂的な支持を得た。25年11月21日より、Amazon Prime Videoで有料配信されています。同作は、80年にわたり世界的に隠されてきた地球外生命体の存在や、地球外由来の先進技術の解析をめぐって大国間が水面下で競ってきた事実について暴くドキュメンタリーとなっています。34人のアメリカ政府・軍・諜報機関の関係者が衝撃の告白。ついに人類の未来を大きく左右する重大な真実が明らかにされます。

最初にUFOの存在を知った『20世紀のなぞとふしぎ』
さて、今さら言うまでもありませんが、本作「ディスクロージャー・デイ」は永年アメリカ政府が隠蔽してきたUFOや異星人に関する情報が公開されるという内容です。わたしは「オカルト」が好きなので、UFOに関する情報は随時フォローしてきました。最初にその存在を知ったのは小学校の図書室で見つけた『20世紀のなぞとふしぎ』庄司浅水著(偕成社)という1969年刊行の児童書で、UFOではなく「空飛ぶ円盤」と表現されていました。表紙にも、空飛ぶ円盤の編隊が描かれています。同書は現在では稀覯本となっていますが、わたしは所持しています。その後、わたしの人生に決定的な影響を与えた漫画である『恐怖新聞』つのだじろう著(秋田書店)で「UFO」という言葉を初めて知ったのであります。なつかしい思い出です。
TVのオカルト番組やYouTubeの動画はさておき、UFOが大きな話題になったのは、2020年の4月です。米国防総省は、海軍が撮影した「謎の空中現象」として、未確認飛行物体(UFO)のような円盤状の物体が雲の上を高速で飛んでいるような様子が記録されている3種類の映像を公開しました。このところ支持率が急速に低下しているトランプ政権が米国民の「注意そらし」をしたのではないかという見方が一般的ですが、わたしは、新型コロナウイルスによるパンデミック(感染の世界的大流行)は「宇宙人の襲来」に似ていると思っていましたので、非常に驚きました。

ヤフーニュースより
同年4月28日にCNNが配信した「米国防総省、UFO映像3本を正式公開」という記事には、「米国防総省はこのほど、海軍が赤外線カメラでとらえた『未確認航空現象』の映像3本を正式公開した。この映像は、過去に民間企業から公表されていた。映像には、高速で動き回る未確認飛行物体(UFO)と思われる物体が映っている。このうち2本では、その動きの早さに乗員が驚きの声を上げていた。1本には、ドローン(無人機)かもしれないと推測する音声が入っている。米海軍は昨年9月の時点で、この映像が本物であることを確認していた。今回、正式公開に踏み切った理由について国防総省の報道官は、『出回っている映像が本物なのかどうか、映像にはまだ何かあるのかどうかに関する一般の誤解を解くため』と説明する」と書かれていました。
米海軍が撮影した3種の映像はすでに広く知られたものですが、どうして、米国防総省が正式公開し、「正体は分からないままだ」などと発表したのか。いろいろと推測できますが、いくつかの見方を示したいと思います。まずは、感染拡大で外出自粛している国民に「謎」や「ミステリー」や「ロマン」といった娯楽を提供したのではないかということです。なんでも、人はワクワクすればするほど、免疫力が上がるそうですから。しかし、「神話なき国」であるアメリカにとって、UFOやエイリアンといった存在はまさに「現代の神話」であり、TVドラマの影響もあってエイリアンによるアブダクション(誘拐)を心から恐れる米国民は多いです。というわけで、娯楽というよりも恐怖を提供したとの見方もありますが・・・・・・。
その後、未確認飛行物体を意味する「UFO」は「UAP」と呼ばれるようになりました。これは「未確認異常現象 (Unidentified Anomalous Phenomena)」を指します。水中、空中、宇宙空間で発生する、正体不明の物体や現象の総称です。既知の航空機や自然現象では説明できない、奇妙な動きや性能を示す現象が対象で、日本海などでも目撃情報が寄せられています。「UAP」という言葉自体は以前からありましたが、米国防総省がUFOに代わり公式に使い始めたのは2021年頃からで、本格的な調査機関(AARO)が設立され、関連動画や報告書が公開され始めたのは2022年7月(特に2023年の年次報告書とウェブサイト公開)以降、日本でも国会で議論されるようになったのは2024年6月の議員連盟設立以降であることは明らかです。
「エイジ・オブ・ディスクロージャー:真実の幕開け」では、80年間も米国政府がUAPおよびエイリアンの真実を隠蔽していたとしていますが、それは有名な「ロズウェル事件」に起因します。アメリカのニューメキシコ州ロズウェル近郊で発生した、世界で最も有名なUFO(未確認飛行物体)墜落騒動1947年7月8日、ロズウェル陸軍飛行場(RAAF)が「空飛ぶ円盤(Flying Disc)」を回収したと公式発表し、地元紙が大きく報じました。しかし翌日、軍はこの発表を撤回し、回収されたのは「気象観測用の気球」であったと修正しました。事件は一旦忘れ去られましたが、1970年代後半に当時の関係者が「あれは宇宙船だった」と証言したことで再び注目を集め、異星人の遺体回収説などの陰謀論へと発展しました。その後、アメリカでは数えきれないほどのUFOや宇宙人についての都市伝説が生まれ、多くの映画も作られました。
それにしても気になるのは、アメリカが2020年4月28日というコロナ禍の渦中に最初のディスクロージャーを行ったのかということです。当時、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、WHOは「パンデミック」を宣言しました。これを陽にとらえて前向きに考えた場合、世界中のすべての人々が国家や民族や宗教を超えて、「自分たちは地球に棲む人類の一員なのだ」と自覚したということが言えるでしょう。そして、今回のUFO映像の公開は、その自覚を強化させる目的があるのではないかということです。「宇宙船地球号」とは、アメリカの思想家・デザイナーであるバックミンスター・フラーが提唱した概念・世界観です。地球上の資源の有限性や、資源の適切な使用について語るため、地球を閉じた宇宙船にたとえて使われています。

『心ゆたかな社会』(現代書林)
「宇宙線地球号」は、安全保障についても使われることがあります。「各国の民は国という束縛があってもみんな同じ宇宙船地球号の乗組員だから、乗組員(国家間)の争いは望まれない」というように使われます。わたしたちが「宇宙船地球号」の乗組員であることを自覚する、その最大の契機をパンデミックは与えてくれたのではないか? 2020年に上梓した拙著『心ゆたかな社会』(現代書林)では、「グローバル」という言葉について深く考察しました。そして、パンデミックについて、わたしは新しい世界が生まれる陣痛のような気がしました。なぜなら、この問題は国際的協力なくしては対処できないからです。アメリカと中国とか、日本人と韓国人とか、キリスト教とイスラム教とか、そんなことを言っている余裕はありません。人類が存続するためには、全地球レベルでの協力が必要とされます。もはや、人類は国家や民族や宗教の違いなどで対立している場合ではないのです。
その意味で、「パンデミック」は「宇宙人の襲来」と同じようなものです。新型コロナウイルスも、地球侵略を企むエイリアンも、ともに人類を「ワンチーム」にしてくれる外敵なのですから。よく考えてみると、こんなに人類が一体感を得たことが過去にあったでしょうか。戦争なら戦勝国と敗戦国があり、自然災害なら被災国と支援国がある。しかし今回は、すべての国が当事者であり、全人類が「一蓮托生」なのです。「人類はみな兄弟」という倫理スローガンが史上初めて具現化したという見方もできました。先のパンデミックを大きな学びとして、人類が大気汚染、森林伐採、温暖化をはじめとした地球環境問題、そして長年の悲願である戦争根絶を視野に入れた平和問題と真剣に向き合えることを、わたしは真剣に望んでいました。
新型コロナウイルスの感染拡大が世界平和への契機になるという事実に気づいたアメリカが、「パンデミック宣言」に加えて、米国民をはじめとした人類に「宇宙人の襲来」を連想させるようなUFO映像を正式公開したと考えるのは、いくら何でもロマンティック過ぎるでしょうか? 当時の世界情勢を見ると、パンデミックという呉越同舟の関係にありながら、アメリカと中国が「平和」とは程遠い小競り合いをしていました。当時のUFO映像公開を穿った目で見るなら、UFOのようなオカルトを引き合いに出して、新型コロナウイルスが中国の武漢にある研究所が開発した生物兵器であるという陰謀論を米国民に信じさせようとしたという意図さえ読み取ることも可能です。さらには、UFOが中国の軍事兵器であるというメッセージにも読み取れます。なにしろ、あのトランプ大統領がわざわざ、最もアメリカが大変な時期に映像を公開したのですから。

ワンチームで行こう!
しかし、わたしはやはり何事も陽にとらえたい(前向きに考えるという意味で、陽性反応にとらえるという意味ではありません。念のため)です。思えば、新型コロナはITの普及によって全世界にもたらされている悪い意味での「万能感」を挫き、人類が自然に対しての畏れや謙虚さを取り戻すことを求めました。ウイルスの感染拡大は人智を超えた世界です。そして、UFOも人智を超えた世界です。人智を超えた世界に対して、人類は謙虚にならなければなりません。最後に、わたしは、この広大な宇宙に意識を持った存在が地球にしか存在しないというのは、あまりにも非現実的であり、おそらく宇宙には隣人がいるのではないかと考えています。
地球人類と宇宙の隣人が初めて交流する物語が、SF映画史上に残る大傑作「未知との遭遇」(1977年)です。スティーヴン・スピルバーグ監督が人類と異星人の接触を描き、世界的ヒットを記録しました。メキシコの砂漠で、第2次世界大戦中に消息を絶った戦闘機が当時と変わらぬ姿のまま発見。一方、アメリカのインディアナ州では大規模な停電が発生。復旧作業に向かっていた電気技師ロイ(リチャード・ドレイファス)は、発光する謎の飛行物体と遭遇します。それ以来、何かに取り憑かれたようにその正体について調べ始めたロイは、やがてワイオミング州のデビルズタワーという山にたどり着くのでした。宇宙人=侵略者という従来のイメージを覆す展開は、当時斬新なものがありましたが、その交流を音と光で描ききったクライマックスは、いま見直しても感動します。
そのスピルバーグ監督が約半世紀ぶりに作った人類と異星人についての映画が本作「ディスクロージャー・デイ」です。「開示の日」という意味のタイトルは、人類が宇宙で孤独ではないという真実が明かされる壮大な物語を予感させます。わたしが大好きな女優であるエミリー・ブラントをはじめ、ジョシュ・オコナー、コリン・ファースなどが出演。「もし人類が宇宙で一人でなかったら?」という根源的な問いを扱い、人類の前提を覆すような「開示(ディスクロージャー)」が描かれます。「全人類はその真実を知る権利がある。 “開示(ディスクロージャー)”する/全世界に一斉に」というセリフは、人類史を揺るがす瞬間の到来を示唆しています。矢追純一のUFO特番が大好きだった”昭和のオカルト少年”だった者としては、こんな日が現実となることを願ってやみません。最後に、「E.T.」を連想させるラストシーンは、まさにスピルバーグの世界でしたね!
最後に言いたいことを1つ。本作は、プロレスの試合会場のシーンから幕を開けます。試合は白熱しており、観客は大興奮しています。主人公の技術者ダニエル・ケルナーは1人客席で緊張した面持ちで座っており、そこで怪しい男たちとの密会や取引が行われます。このオープニングは、物語の大きな躍動感とサスペンスを生み出す導入となっているのですが、冒頭にいきなりプロレスが登場してわたしはピンときました。UFCなどのMMA(総合格闘技)ではなくプロレス。それは「すべてがリアルと思って、あんまり真に受けるなよ」「もっと肩の力を抜いて、気楽に映画を楽しんでくれよ」というスピルバーグのメッセージのように思えたのです。ご存知のように格闘技はリアルファイトですが、プロレスはリアルとロマンの融合です。しかし、プロレスにもリアルファイト(セメント)になるケースがあります。よく、スピルバーグがアメリカ政府の依頼を受けて本作のメガホンを取ったなどという陰謀論的な発言を見ますが、本作の本質はプロレスのような「虚実皮膜」の物語なのでしょう。わたしは、そのように冒頭シーンをとらえました。