映画「魔法使いの弟子」を観ました。
 現代のニューヨークを舞台に、800年にわたり繰り広げられてきた魔法大戦争を描いたファンタジー・アクションです。
 気弱な物理オタク青年が、伝説の魔法使いの後継者にされてしまいます。
 彼は、はたして一人前の魔法使いになることができるのでしょうか?

 まず観終わった感想は、「いかにもディズニー映画って感じだなあ」ということでした。
 「魔法使いの弟子」といえば、アニメ映画「ファンタジア」に同名の作品が出てきます。
 ミッキーマウスが魔法修行をしてホウキたちを操る場面が有名ですね。
 この場面は、新しい「魔法使いの弟子」にもしっかり登場します。
 ニューヨークという大都会を舞台にしての魔法合戦から、同じく東京という大都会でサイキック・ウォーズが繰り広げられる日本映画「帝都物語」を連想しました。
 そして、もちろん「ハリー・ポッター」シリーズも自然に連想しました。
 というより、この映画はウォルト・ディズニーのライバル会社であるワーナー・ブラザーズ製作の「ハリー・ポッター」シリーズを強く意識していることがわかりました。

 さて、魔法使いというものは、はたしてこの世に実在するのでしょうか。
 わたしは、実在すると思っています。
 それどころか、わたしは、なんと魔法使いになるための本も書いています!
 『人間関係を良くする17の魔法』(致知出版社)という本です。
 その本では、さまざまな人間関係を良くする魔法を紹介しているのですが、その基本を小笠原流礼法に置いています。
 「思いやりの心」「うやまいの心」「つつしみの心」という三つの心を大切にする小笠原流は、日本の礼法の基本です。
 特に、冠婚葬祭に関わる礼法のほとんどすべては小笠原流に基づいています。

 そもそも礼法とは何でしょうか。
 原始時代、わたしたちの先祖は人と人との対人関係を良好なものにすることが自分を守る生き方であることに気づきました。
 自分を守るために、弓や刀剣などの武器を携帯していたのですが、突然、見知らぬ人に会ったとき、相手が自分に敵意がないとわかれば、武器を持たないときは右手を高く上げたり、武器を捨てて両手をさし上げたりしてこちらも敵意のないことを示しました。
 相手が自分よりも強ければ、地にひれ伏して服従の意思を表明し、また、仲間だとわかったら、走りよって抱き合ったりしたのです。
 このような行為が礼儀作法、すなわち礼法の起源でした。身ぶり、手ぶりから始まった礼儀作法は社会や国家が構築されてゆくにつれて変化し、発展して、今日の礼法として確立されてきたのです。
 ですから、礼法とはある意味で護身術なのです。
 剣道、柔道、空手、合気道などなど、護身術にはさまざまなものがあります。しかし、もともと相手の敵意を誘わず、当然ながら戦いにならず、逆に好印象さえ与えてしまう礼法の方がずっと上ではないでしょうか。まさしく、礼法こそは最強の護身術なのです。

 さらに、わたしは、礼法というものの正体とは魔法に他ならないと思います。
 フランスの作家サン=テグジュペリが書いた『星の王子さま』は人類の「こころの世界遺産」ともいえる名作ですが、その中には「本当に大切なものは、目には見えない」という有名な言葉が出てきます。
 本当に大切なものとは、人間の「こころ」に他なりません。その目には見えない「こころ」を目に見える「かたち」にしてくれるものこそが、立ち居振る舞いであり、挨拶であり、お辞儀であり、笑いであり、愛語などではないでしょうか。それらを総称する礼法とは、つまるところ「人間関係を良くする魔法」なのです。

 「魔法」とは、正確にいうと「魔術」のことです。
 西洋の神秘学などによれば、魔術は人間の意識、つまり心のエネルギーを活用して、現実の世界に変化を及ぼすものとされています。
 ならば、相手のことを思いやる「こころ」のエネルギーを「かたち」にして、現実の人間関係に変化を及ぼす礼法とは魔法そのものなのです。    
 わが社では、社員教育に小笠原流礼法を取り入れています。
 わたしは、かつて「見えぬもの見えるかたちにする人は まこと不思議な魔法使いよ」という短歌を詠み、わが社の社員に披露しました。
 冠婚葬祭やホテルといったホスピタリティ・サービスの現場において、目には見えない「思いやり」「感謝」「感動」「癒し」といった、この世で本当に大切なものを目に見える形にしてほしいという願いを込めました。
 "むすびびと"や"おくりびと"たちが、サン=テグジュぺリが「見えない」といった大切なものを「見える」形にできるとしたら、それは魔法使いそのものだと思いませんか?

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「魔法使い」になるための入門書

  • 販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日:2011/01/19
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