9月27日、一条真也の映画館「我々は宇宙人」で紹介した日本のアニメ映画を観た後、同じTジョイ・リバーウォーク北九州で日本映画「藁にもすがる獣たち」を観ました。観客はわたしを入れて3人しかいませんでしたが、なかなか面白かったですね。なお、本作は今年観た180本目の映画となります。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「韓国でも映画化された曽根圭介のミステリー小説を原作にしたサスペンス。さえない日々をおくる若者が、1億円入りのボストンバッグを手にしたことで運命を狂わせる。監督は『悪い夏』などの城定秀夫、脚本は『岸辺露伴は動かない』シリーズなどの小林靖子が城定監督と共同で担当。壮絶な1億円争奪戦に巻き込まれる主人公を『PLAY!~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~』などの鈴鹿央士、1億円の行方を追う面々を城定監督のドラマ『死ぬほど愛して』などの成宮寛貴、『炎上』などの森七菜が演じる」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「わずかなチャンネル登録者数しかいないYouTuberの大学生・佐藤寛治(鈴鹿央士)は、アルバイト先で客が置いていった怪しげなボストンバッグを見つける。何げなく開けてみると、そこには1億円分の札束が入っていて、大金に目がくらんだ彼はバッグを家に持ち帰ってしまう。しかしヤクザへの借金を抱える悪徳警官・江波戸良介(成宮寛貴)、謎めいた悪女・し~な(森七菜)もその金を追っており、寛治はし烈な1億円争奪戦に巻き込まれていく」
原作は、曽根圭介の同名小説です。講談社文庫版のアマゾンの内容紹介には、「想像を超えた衝撃の結末!」として、「サウナの客が残していったバッグには大金が!? 持ち主は二度と現れず、その金で閉めた理髪店を再開しようと考える初老のアルバイト。FXの負債を返すためにデリヘルで働く主婦。暴力団からの借金で追い込みをかけられる刑事。金に憑かれて人生を狂わされた人間たちの運命。ノンストップ犯罪ミステリー!」と書かれています。
その小説を韓国で映画化したのが韓国版「藁にもすがる獣たち」(2020年)です。欲望を剥き出しにした人々が大金を巡って激しくぶつかり合う姿を予測不能な展開で描いたクライムサスペンス。失踪した恋人が残していった多額の借金の取り立てに追われるテヨン、暗い過去を精算して新たな人生を始めようとするヨンヒ、事業に失敗しアルバイトで生計を立てるジュンマン、借金のため家庭が崩壊したミラン。ある日、ジュンマンは職場のロッカーに忘れ物のバッグを発見します。その中には、10億ウォンもの大金が入っていました。「シークレット・サンシャイン」のチョン・ドヨンがヨンヒ、「アシュラ」のチョン・ウソンがテヨン、「スウィンダラーズ」のペ・ソンウがジュンマンを演じました。
6年ぶりに映画化された日本版である本作では、鈴鹿央士が主人公の佐藤寛治を演じています。高校時代にエキストラとして参加した映画の現場で、主演の広瀬すずに見出されてスカウトされたことがきっかけで芸能界にデビューし、映画初出演作「蜜蜂と遠雷」(2019年)での高い演技力が注目を集めて有名になった彼ですが、正直、本作での存在感は薄かったですね。わたしも彼を初めて見たとき、「おおっ、凄いイケメンだな! なんかキラキラしてるぞ!」と感心したのですが、本作での彼はそこまでの存在感も輝きも感じられませんでした。これからは「キラキラ」ではなく、役者として「ギラギラ」を目指した方がいいかもしれません。
本作で存在感があったのは成宮寛貴と青木マッチョです。成宮はは2016年に週刊誌で違法薬物の使用疑惑を報じられましたが、本人はこれを強く否定し、プライバシーの暴露や友人への不信感を理由に芸能界を電撃引退しました。法を犯す行為は確認されておらず、本人の薬物使用を裏付ける客観的な事実はありませんでした。2024年末に活動再開を電撃発表。2026年に入り、8年ぶりとなる主演舞台に挑むなど、芝居の世界へ本格的にカムバック。本作で実質10年ぶりとなる映画出演を果たしました。不良警官役を演じ、44歳の円熟味を増した色気と存在感が良かったです。
あと、青木マッチョは初めて見ましたが、何ですかこの人! 吉本興業に所属する日本のお笑い芸人であり、元消防士の筋肉芸人だとか。身長180cm、体重90㎏の体格を誇り、マヂカルラブリー・野田クリスタルが発案した「クリスタルジム」などでトレーナーとしても活動しているそうです。 2022年にお笑いトリオ「かけおち」を結成(のちにコンビとして活動)。筋トレだけでなく、ピアノやドラム、カリンバの演奏といった音楽の特技も持っているといいます。本作では、東映が誇るヤクザ映画の金字塔にしてクライム・アクション映画の名作である「仁義なき戦い」(1973年)をリバイバル上映する映画館で成宮寛貴演じる警官とバトルを繰り広げるシーンが圧巻でした。最後に彼の血しぶきがスクリーンの菅原文太を赤く彩った場面が最高!
男優だけではありません。本作では3人の女優が目立っていました。森七菜とMEGUMIと風吹ジュンです。森七菜が演じる「し〜な」は、出会う者すべてを翻弄し、自分の目的のためなら手段を選ばないという、これまでのパブリックイメージとは異なるダークで危険な悪女です。撮影ではあえて自身の出演シーンの台本しか読まずに、ジェットコースターのように展開する物語の「予測のつかないスリル」を体感しながら挑んだと語っています。MEGUMIはDV夫に怯えながら売春している主婦の役でしたが、45歳となった今でも色気がありますね。いや、若い頃よりも現在の方がセクシーだと思います。そして、一条真也の映画館「シャドウワーク」で紹介した日本映画でも熱演した風吹ジュンが認知症を患う老婆の役で出ています。この人、本当に芸達者というか、どんな役でもこなしますね。彼女がいるだけで安心できますし、今や日本映画に欠かせない名女優の1人だと思います。