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ワンオペレーション

No.1410

東京に来ています。出版打ち合わせを終えた9月28日の夜、アメリカ映画「ワンオペレーション」をTOHOシネマズシャンテで観ました。うーん、とにかくストレスフルな映画で救いがなかったですね。A24作品らしくメタファーに満ちていましたが、心が弱っている人は観ない方がいいかも?

ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「『ネイバーズ』などのローズ・バーンが主演を務め、第75回ベルリン国際映画祭の銀熊賞(主演俳優賞)を受賞したダークコメディー。夫の協力を得られない中で病を抱える幼い娘の世話をしつつ、セラピストの仕事に追われる女性に思いも寄らない事態が起こる。メガホンを取るのはメアリー・ブロンスタイン。『サンディ・ウェクスラー』などのコナン・オブライエン、『天国と地獄 Highest 2 Lowest』などのエイサップ・ロッキー、『SKIN/スキン』などのダニエル・マクドナルドらが出演する」

ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「セラピストのリンダ(ローズ・バーン)は、仕事に追われながら家事をこなし、原因不明の病を抱える幼い娘の世話をする日常に追い詰められていた。患者への対応や娘の担当医からの叱責、出張中の夫からの小言ばかりの電話にリンダが振り回されていたある日、アパートの天井が突然崩落する。娘を連れて海辺の格安モーテルへ移り住んだリンダだが、思いも寄らない事態が次々と起きる」

幼い娘が原因不明の病を抱えて治療中というだけでも大変なのに、住んでいるアパートの天井が崩落するという信じられない出来事が起こり、主人公リンダの精神はすっかり参ってしまいます。しかも、穴の修理業者は来ない、駐車場の管理人や娘の担当医からは叱られ続け、出張中の夫からは小言の連続。逃げ場のないリンダですが、なんと彼女は臨床心理のカウンセラーなのでした。でも、患者からも難題の連続で、リンダの「こころ」は悲鳴を上げる一方。彼女自身も同僚のカウンセラーの患者となる始末でした。「ケア者のケア」の必要性を日頃から訴えているわたしでも、リンダ自身がカウンセラーであるにもかかわらず、他人のカウンセリングを毎日受ける姿を見て暗澹たる気分になりました。「穴」が開いた天井は、完全に彼女の「こころ」のメタファーですね。

それにしても、本作ほどストレスフルな映画も珍しいですね。同時多発でトラブルが発生し、それらが何の解決を見ないままに新たなトラブルが起こる・・・・・・リンダの毎日は「我慢大会」のようになっていきます。特に辛いのが身体に入れられたチューブを外すために体重を増やさなければならない娘が食事をせず、リンダが苦労して作った料理の2割しか食べないことです。また、娘には食べることのできない食品が多いのです。実際に食品アレルギーを持ったお子さんを育てているお母さんの苦労を想いました。この娘の姿がラストまでスクリーンに一切映らなかったのは不気味でした。何か怪物的な姿を想像してしまいます。いや、本作はほとんどホラー映画の作りでした!

ホラー映画といえば、わたしは「ホラー映画は悲しみの処理に役立つ」という仮説を持っており、その正しさを日々検証しているのですが、本作のようなストレスフルな映画も何かの役に立つのでしょうか? そういえば、TOHOシネマズシャンテのエレベーターに乗って本作の上映劇場の階のボタンを押したのですが、扉が閉まる直前、誰かが足で扉を強く蹴り上げ、その衝撃で扉が開きました。すると、平家蟹のように不機嫌な顔をした小柄な中年男性が乗り込んできて、わたしを含む数人の乗客を睨みつけてきたのです。あまりにも非常識で無礼な振る舞いに、わたしもカチンときて睨み返しました。わたしたちはメンチを切り合ったまま、目当ての劇場に到着しました。明らかに彼は最初からイライラしていたのですが、あんなにストレスを抱えた人間が本作のようなストレス値MAX映画を観てどうなったのか、ちょっと興味があります。「イライラの処理に役立つ」よりも「発狂する」に1票投じたいと思います。笑

本作には、リンダの患者である産後うつの女性が登場します。彼女の症状は相当にひどく、カウンセリングを受けている最中に赤ん坊を残して消えてしまいます。驚いたリンダは彼女の夫に連絡して赤ん坊を引き取りに来てほしいと言いますが、夫はなんと「自分は仕事が忙しくて行けない。あなたがここまで連れて来てほしい」というのでした。産後うつといえば、一条真也の映画館「DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ」で紹介した2026年に日本公開されたアメリカ・イギリス合作映画のテーマでしたが、戦慄すべき内容でした。じつは、もうすぐ長女が出産予定なのですが、わたしにとっては初孫となります。どうか、長女がワンオペ育児にならないことを願っています。旦那さんは育休を取るそうなので、大丈夫だとは思いますが。

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