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「PEACOCK/ピーコック」

No.1364

7月30日、東京から北九州に戻りました。財団の理事会と出版打ち合わせのあいだに、オーストリア・ドイツ合作映画の「peacock/ピーコック」をヒューマントラストシネマ有楽町で観ました。「ピーコック」とは孔雀という意味で、「人は誰でも見せかけの姿しか見せない」というメッセージが込められています。観客のセンスを試すような鼻につくコメディでしたが、劇場がほぼ満席なことに驚きました。

ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「日本の『友達代行サービス』に着想を得たブラックコメディー。ベルンハルト・ヴェンガー監督が2018年に日本を訪れて行ったリサーチを基にしたストーリーで、ありとあらゆる役割を日々演じていた男性が、恋人との別れをきっかけに現実と虚構の境界線を見失っていく。『西部戦線異状なし』などのアルブレヒト・シュッフ、『RUBIKON ルビコン』などのユリア・フランツ・リヒターのほか、テレサ・フロスタ・エッゲスボらがキャストに名を連ねる」

ヤフーの「あらすじ」は、「マティアス(アルブレヒト・シュッフ)は、どのような場面にも適応してくれる人物を送り出す代理店『マイ・コンパニオン』に勤めている。彼はそこのトップパフォーマーとして、自分に求められる役割を見事にこなし、毎日さまざまな人格を演じ分けていた。ところがある日、恋人のソフィアが『本当のあなたを感じない』という言葉を残して彼のもとから去ってしまう」です。

本作には「マイ・コンパニオン」という人材派遣業の会社が登場します。そのCMがYouTubeにUPされていますが、冒頭には「結婚式に参列してくれる友人がいない」といったナレーションが流れます。こういった友人を派遣するサービスというのは冠婚葬祭と親和性が高いことがわかります。アルブレヒト・シュッフ演じるマティアスは「マイ・コンパニオン」の稼ぎ頭ですが、あまりにも多様な人間を演じているので、自分らしさといったものが薄くなっていきます。そこを恋人に指摘され、別れを切り出されるのでした。

本作は、日本の「友達代行サービス」に着想を得たそうですが、そんな日本のサービスを描いた映画が 一条真也の映画館「レンタル・ファミリー」で紹介した今年3月に日本公開したアメリカ映画です。歯磨き粉のCMに出演したことをきっかけに人気俳優になったものの、いまは東京に暮らしながら細々と俳優の仕事を続けているフィリップ(ブレンダン・フレイザー)。薄暗いマンションの自室で晩酌をするのをささやかな楽しみにする彼のもとに、「レンタル・ファミリー」の会社を経営する多田(平岳大)からある仕事の依頼が届きます。それは顧客の要望に合わせて家族のような役割に徹するというもので、フィリップは依頼を引き受けるのでした。

「PEACOCK/ピーコック」のメガホンを取ったベルンハルト・ヴェンガー監督も、きっと「レンタル・ファミリー」を観たことだと思います。ブレンダン・フレイザー演じるフィリップは本当にピュアで、依頼主の幸せを心から願うような善人でした。一方、アルブレヒト・シュッフ演じるマティアスは根っからの善人というわけではなく、かといって悪人というわけでもないのですが、かなりクセの強い人物ではあります。彼は最後に、依頼人の息子を演じていましたが、何かが切れてとんでもないことをしてしまいます。彼の気持ちもわからないではないのですが、この仕事の本質はケア業なので、彼は最後まで職務をまっとうすべきでしたね。

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