9月29日は終日雨でしたが、打ち合わせの時間を縫って、アメリカ映画「私たちは、ちょうどいい。」をヒューマントラストシネマ有楽町で観ました。それほど期待していなかったのですが、素晴らしいヒューマンドラマで、感動しました。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「孤独を抱えながら生きる女性と、赤の他人の男性との友情を描くヒューマンドラマ。疎遠だった父親とインターネットを介して連絡を取ろうとしたある女性が、父親と同姓同名の見知らぬ男性に出会う。監督などを手掛けるのはトレイシー・レイモン。『ハウス・オブ・スポイルズ~魔女の厨房~』などのバービー・フェレイラ、『タブロイド』などのジョン・レグイザモのほか、フレンチ・スチュワート、ローレン・“ロロ”・スペンサーらが出演している」
ヤフーの「あらすじ」は、「子供のころに母親に見捨てられ、父親とも疎遠になったリリー・トレヴィノ(バービー・フェレイラ)は、友人の介助をしながら住み込みで生活していた。ある日、彼女は父親と連絡を取るために疎遠だった父親をSNSで捜し始める。しかしリリーが自分の父親だと思って友達申請を送った相手は同姓同名の別人、ボブ・トレヴィノ(ジョン・レグイザモ)だった」となっています。
バービー・フェレイラが演じるリリー・トレヴィノは、孤独な女性です。幼い頃に母親に見捨てられ、父親とも疎遠になっています。リリーはなんとか実の父親と心を通わせたいのですが、父の方が彼女を受け容れません。そんな彼女がネットで見つけた父親と同じ名前の中年男性。彼のことを「パパ」と呼ぶ彼女の健気さに泣けました。本作は父から捨てられた女性の悲しみと、かつて1人息子を2歳未満で失った男性の悲しみ。そんな2人のグリーフが交差して、互いをケアし合うという究極のハートフル・ストーリーです。しかも、実話に基づいていると知って、さらに泣けるではありませんか!
インターネットの世界的な普及が進んだのは1990年代後半ですが、1998年には「ユー・ガット・メール」というアメリカ映画が公開されています。キャスリーン(メグ・ライアン)は、母親の代から続く小さな絵本の店を経営しています。彼女は“ショップガール”というハンドルネームを持ち、顔も知らない“NY152”というハンドルネームの男性とメールのやり取りをすることを日々の楽しみにしていました。彼女の本屋の近くに大手の本屋チェーンがオープンしますが、その経営者が実は“NY152”のジョー(トム・ハンクス)でした。彼も“ショップガール”とのメール交換を心の糧にしていましたが、2人は顔を合わせると喧嘩が絶えませんでした。そんなときキャスリーンは“NY152”から直接会わないかと提案されます。「ユー・ガット・メール」は本作とは違って恋愛映画ですが、ネットでの出会いをテーマにしたヒューマンドラマという点では両作品は共通しています。
ただし、繰り返しになりますが、本作「私たちは、ちょうどいい。」は実話に基づいているという点が何よりの強みです。恋愛にしろ、親子関係にしろ、相手のことが心配になると執拗なほど連絡を取ろうとするリリーの性格は、一条真也の映画館「我々は宇宙人」で紹介した日本のアニメ映画に登場する暁太郎の対人関係における不器用さを連想しました。でも、1人暮らしの親が何度連絡しても返事がない場合、その身を案じて家まで押しかけ、ドアを叩き続ける行為は当然のことです。それなのに警察まで出動するのは、行き過ぎた個人主義の嫌らしさを感じました。ジョン・レグイザモが演じるボブがリリーの幼い頃のトラウマを解消してあげるシーンは最高のケアであり、泣けて仕方がありませんでした。