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京都に来ています。
昨夜は、ものすごく怖い映画を観ました。
わたしは出張にDVDプレーヤーを持参します。
そして、さまざまな映画のDVDを夜中に観たりします。
特に、ホラー映画が多いです。
わたしは三度の飯よりホラー映画が好きで、国内・海外問わず、ほとんどの作品はDVDでコレクションしています。ホラー映画といっても、惨殺場面が売り物のスプラッター・ムービーよりも、心理的な恐怖を描いたものを好みます。
昨夜観たのも、そんな映画でした。新藤兼人監督の「鬼婆」です。
ホラー映画の代名詞ともなっている「エクソシスト」のウィリアム・フリードキン監督が、過去に観た映画の中で最も怖かった作品のひとつに挙げていたので興味を持ちました。
いやあ、「鬼婆」の怖さはハンパではありませんでした。
「エクソシスト」や今話題の「パラノーマル・アクティヴィティ」よりも遥かに怖い。日本人の深層心理に触れるような怖さです。ススキの草原に立つ鬼婆の姿は、まるで能を観ているようでした。一種の幽玄美を感じました。
こんな度外れて怖い映画を作った新藤兼人は偉大です。鬼婆を演じた音羽信子も偉大です。このコンビの作品では、「裸の島」を観て以来の衝撃でした。
物語の時代背景は鎌倉から室町にかけての南北朝時代です。場所は京の都のはずれです。戦乱で食えなくなった人間が、鬼と化してしまう。
「こころの未来研究センター」の研究プロジェクトのひとつに、「負の感情研究~嫉妬から怨霊まで」というものがあります。鎌田東二先生が担当されています。
古今の文学作品などから、日本人のネガティブな「こころ」を探るという非常に興味深いプロジェクトです。この「鬼婆」は、まさにその研究対象になるのではないでしょうか。
1964年の作品ですから、わたしが生まれた翌年ですね。
東京オリンピックの年に、こんな凄いホラー映画が日本で生まれていたとは!
鬼婆で震えあがった京都の夜でした。