No.0007
今日は、地下鉄サリン事件15周年ということで、オウム関連の本を固め読みしました。
村上春樹著『約束された場所で』や宗形真紀子著『二十歳からの20年間」などを読んでいると、信者の立場からの視点も理解できて、一連の「オウム真理教事件」が立体的に浮かび上がってくるような気がします。
ところで、さらに当時のオウム真理教団内部の様子がよくわかる映画があります。
石井輝男監督の「地獄」です。1999年の作品ですが、石井監督は「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」などのカルト・ムービーで知られています。
阿鼻叫喚の世界へようこそ!
「恐怖奇形人間」は、もう言葉では表現できないほど、グロくて凄まじい映画です。
わたしも最初に観たときは、あまりの過激さにブッ飛びました。
大袈裟ではなく、ヤバ過ぎる映画です。そんな"キング・オブ・カルト"が「地獄」を描いたのですから、これはもうタダではすみません。「恐怖奇形人間」に負けないぐらい「地獄」も、鬼才・石井輝男ワールドが炸裂しています。
言うまでもなく、地獄とは現世で大罪を犯した亡者たちが行くところ。
そこでは、閻魔の裁きにより、亡者たちは鬼たちにあらゆる責め苦を受けます。
まさに、阿鼻叫喚の世界なのです。
この作品では、毒物カレー事件のM・Hが糞尿地獄の刑に遭い、連続幼女殺害事件のT・Mがノコギリ引きの刑に処されます。
そして、モロ麻原彰晃そのもののカルト教団教祖は、皮剥ぎの刑に遭うのです!
なんだか聞いただけで凄い内容でしょう。
それを超リアルな映像で描くのだから、たまりません。
ちなみに、毒物カレー事件のM・Hとはもちろん林真須美被告のことですが、わたしは彼女が真犯人だったかどうかには少々疑問を持っています。
事件の捜査方法にいろいろズサンな点があったことを知ったからです。
初めはコンビニで売られているコミックの類で知ったのですが、興味を抱いて、本格的に調べていくうちに彼女を真犯人と決めつけるのは問題が多すぎることに気づきました。
今その問題に深入りすることは避けますが、彼女が獄中で詠んだという「人殺し それはアンタよ 裁判官」という川柳に異様なほどの情念がこもっているのを感じます。
さて映画「地獄」では、毒物カレー事件の犯人も、連続幼女殺害事件の犯人も、しょせんは一つのエピソードを飾る脇役でしかありません。メイン・ストーリーはあくまでオウム真理教事件であり、主役は麻原彰晃をモデルとした教祖なのです。
映画の中では、オウム真理教は「宇宙真理教」と言い換えられています。
教団内リンチ、イニシエーション、ポア、サリン、ハルマゲドン・・・実際のオウムはきっとこうであったに違いないと思えるほど、リアルに事件を再現しています。
15年前の悪夢をさらに立体的に追体験するのに、おススメの映画です。
最後の場面で、かの丹波哲郎さんが出演しているのも、なんだか嬉しかったです。