No.0030
「ラブリーボーン」を観たら、死後の世界を描いた日本映画の名作を思い出しました。
そうです、「丹波哲郎の大霊界」です。
とにかく、ここまで霊界を詳細にビジュアル化した映画は存在しないでしょう。
まさに、「死後の世界の観光案内」とも呼ぶべき内容になっています。
「丹波哲郎の大霊界」1・2のDVD
丹波哲郎さんは、2006年に84歳でお亡くなりになられました。
数多くの映画やテレビドラマに出演した大俳優であり、死後の世界の真相を説く「霊界の宣伝マン」としても有名でした。
霊界についての本を60冊以上出版し、映画まで製作して空前の霊界ブームを巻き起こしました。実は、わたしは丹波さんには生前大変にお世話になりました。
今からもう20年くらい前のことですが、拙著『ロマンティック・デス~月と死のセレモニー』(国書刊行会)を読まれた丹波さんから連絡をいただき、新宿の中華料理店で会食したことがありました。
そのとき、「こういう本を書くことによって人々の死の不安を取り除いてやることは素晴らしいことだ。でも、いつかは執筆だけではなく、大勢の人の前で直接話をしなくてはいけない。わたしが演説の仕方を教えてあげよう」と言われたのです。
その後、新都庁近くにあった丹波オフィスを十数回訪れ、話し方のレッスンを無料で受けたのです。現在、口下手なわたしが多くの講演や大学での講義などの活動ができるのも、丹波さんのおかげと心から感謝しています。大恩人です。
レッスン後の「霊界よもやま話」も楽しい時間でした。
その他にも、拙著『遊びの神話』(PHP文庫)に書いた「科学とは過去をとらえ、芸術とは現在をとらえ、宗教とは未来をとらえるものである」や、『ロマンティック・デス』に書いた「生きることは面白い。そして、死ぬのが楽しみだ!」という言葉をとても気に入って下さり、主宰する「来世研究会」の会報に紹介していただいたこともありました。
また、わが社のイベントである「サンクスフェスタ」をまだ「大葬祭博」と呼んでいた頃に講演にお呼びしたり、わが社で舞台版「大霊界」の協賛をさせていただいたことも、なつかしい思い出です。
わたしはリゾートやテーマパークなどのプランニングの仕事をしていた時期があり、本当は丹波さんと一緒に霊界をシミュレーション体験できる「霊界ランド」というテーマパークを作りたかったです。具体的な用地などの話もけっこう進んでいたのですが、結局は実現できませんでした。残念です。
丹波さんの説く「大霊界」は非常に大らかでした。そして夢がありました。
丹波さんは数多くの臨死体験者の証言や、スウェデンボルグをはじめとする心霊主義の研究書、エジプトやチベットの『死者の書』などの死のガイドブックなどから独自の霊界論をまとめ上げました。
常々、「わたしは霊能者ではない。霊界研究者にすぎない」と広言されていました。そこに丹波さんの誠実さ、謙虚さを感じてしまうのですが、丹波さんの説く大霊界には誰にでも非常にわかりやすいという特徴がありました。
人は死ぬとどうなるのか。
臨死体験者は、川や湖のある「光の楽園」で「光の天使」にその旅の行先についての決断をせまられ、この世界に戻ってきます。しかし、死者の場合は、出迎えの霊人とともにその川や湖を渡って、さらにその先へと進みます。
精霊界から霊界へと旅を進めるのです。そこから先は丹波さんの著書『大霊界を見た』(学研)に次のようにコンパクトにまとめられています。
あなたは出迎えの霊人とともに大きな山の頂に立つ。
あなたと霊人は、個体はそれぞれ別に離れているが、本来はまったく同じものである。だから、彼の発するあたたかさがあなたに流れ込み、不安も淋しさもまったくない。感動と感激で、あなたは叫び、涙するだろう。真に救われた思いを体験するのだ。 いま見渡す霊界層は、まことに広大無辺な驚嘆すべき眺めである。キラキラ輝く海のような光が広がり、その無限のなかに人間界の村落のような無数の村むらが何億と点在する。そのひとつが、あなたの村なのだ。その村へあなたは霊人の案内で、何のためらいもなく一直線に帰って行く。
あなたの村で、あなたは住人たちから歓喜の出迎えを受ける。見よ、何と村人全員があなたと何もかもそっくりなのだ。性格、性情、趣味、嗜好、ほとんどあなたと同じといっていい。だから、村人同士の親密さは人間界の親子の比ではない。人びとは無限の時間をその村で、仲良く、楽しげに暮らすのだ。衣食住の心配もなく、好きなことに専念し、全員が力をあわせ、次つぎと新しいことに取り組みながら・・・。
また、この霊界のさらなる高みには天界層がある。人間界にいるときから、"愛"を意識し、"愛"を行い、"愛"を押し広めて、妬(ねた)み、嫉妬、憎悪の感情を取り除き、素直に明るく、自然にふるまって生きていた人が無条件で行ける世界、霊界で修行を積み、新たに資格を得た人が行ける。そこは至福の世界である。あなたの死後には、そんな世界が待っているのだ。(丹波哲郎著『大霊界を見た』より)
わたしたちはその日のために大いなる存在に生かされているというのです。
それにしても、何というシンプルで豊かな霊界像でしょうか。
この霊界像は、映画「ラブリーボーン」に出てくる夢のような天国にも通じていますね。
映画「大霊界」は、1・2と分かれていますが、それぞれ「死んだらどうなる」「死んだらおどろいた!!」というサブタイトルがついています。
その映像は、古今東西の霊界像が「なんでもあり」でミックスされた驚異の内容です。
わたしは、東京の青山葬儀所で行われた丹波さんの葬儀にも参列させていただきました。今頃、丹波さんは霊界で幸せに暮らしておられることでしょう。合掌。
丹波哲郎さんの葬儀会場前で