《ゲキ×シネ》「蛮幽鬼」を観ました。
 《ゲキ×シネ》というのは劇団☆新感線による演劇と映画のメディア・ミックスです。
 いわゆる舞台の映像化とはまったくレベルが違います。
 舞台の臨場感にクローズアップなどの映画の手法がミックスされたら凄い世界が待っていました。まさに、新感覚エンターテインメントです。
 その《ゲキ×シネ》の最新作が、この「蛮幽鬼」です。

 物語のベースとなっているのは、復讐劇の古典であるアレクサンドル・デュマの『モンテ・クリスト伯』です。明治時代の日本では、黒岩涙香が『巌窟王』のタイトルで翻案しました。しかし、劇団☆新感線の劇作家であり脚本家である中島かずきが、まったく新しい21世紀の復讐劇を生み出しました。そのストーリーはドンデン返しの連続ですので、ネタバレにならないために、詳しい筋は一切書きません。
 中島かずきの脚本、いのうえひでのりの演出も冴え渡っています。中島、いのうえの2人は新感線の黄金コンビであり、ひと講演の動員数はじつに約10万人といいます。

 わたしは《ゲキ×シネ》の大ファンで、「T・ジェイリバーウォーク北九州」で上映される作品はほとんど観てきましたし、またDVD化されたものはすべて購入しています。
 特に、わたしの大好きな市川染五郎が主演した「髑髏城の七人~アオドクロ」「阿修羅城の瞳」「朧の森に棲む鬼」の3本が最高でした。
 そして、本作「蛮幽鬼」も素晴らしい傑作でした。
 3時間を一瞬も飽きることなく、一気に観ることができました。
 新感線の《ゲキ×シネ》は、いずれも伝奇ロマンとでも呼ぶべき内容です。
 わたしのような幻想文学好きにはたまりません!

 劇団☆新感線では、古田新太、粟根まこと(わが社の企画部に所属している緒方麻梨さんが大ファンです)、高田聖子といった劇団メンバーに加えて、豪華客演陣を迎えます。 染五郎をはじめ、妹で「メタルマクベス」に主演した松たか子、天海祐希、高岡早紀、松雪泰子、真木よう子、阿部サダヲ、堤真一などが、これまで客演を務めてきました。
 「蛮幽鬼」の前作にあたる「五右衛門ロック」には、北大路欣也と江口洋介が登場。
 そして、「蛮幽鬼」では、上川隆也、堺雅人、稲森いずみが堂々の客演を務めています。
 いずれも素晴らしい名演技でした。上川隆也は主演として堂々たる貫禄を示していましたし、ヘラヘラと笑いながら殺人を繰り返す堺雅人の怪演技には唸りました。
 ブログ『悪の教典』で、同作品が映画化された場合の殺人教師役についていろいろ書きましたが、この「蛮幽鬼」を観て、堺雅人で決定だと思いました。

 また、昔からファンだった稲盛いずみの演技力には驚きました。
 上川、堺という2大名優の中にあって、まったく引けを取っていません。
 涙を流す場面なども迫真の演技で、多くの観客が貰い泣きをしていました。
 そして、全篇を通じて殺陣のシーンが最高でした。シネコンの別の劇場で上映されていた「十三人の刺客」の殺陣と比べても、おそらく遜色ないと思います。
 これからも、極上のエンターテインメントである《ゲキ×シネ》には大いに期待しています
 それから、ぜひ一度、劇団☆新感線を生で観たいですね!