映画「手塚治虫のブッダ ―赤い砂漠よ! 美しく―」の試写会に行きました。
 日本マンガ界最大の巨匠・手塚治虫が10年を費やして完成させた大作をアニメ映画化したものです。

 今朝、有楽町にある東映の映画館に行きました。
 するとスタッフの方が出てきて「こちらです」と、隣にある東映の本社に案内されました。
 エレベーターで7階に上がり、試写室に入りました。
 映画会社の試写室に入ったのは初めてでした。
 席に座っていると、わざわざ東映の岡田祐介社長が来られて、「朝早くから、ありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いいたします」との御挨拶を受けました。
 映画人というと何となく無頼なイメージが強かったのですが、礼を尽くされる岡田社長の姿を見て、少し考えが変わりました。

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東映本社の前で

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東映本社の試写室

 この映画は、(財)全日本仏教会さんが推薦団体となっています。
 わが(社)全日本冠婚葬祭互助協会にも協力か後援の要請が来ています。
 以前、(社)全互協は「おくりびと」のチケットを数万枚単位で販売協力し、アカデミー賞受賞に至る中で支えた実績があります。
 そこで、全互協の広報・渉外委員長であるわたしは、「全互協の康夫ちゃん」こと山村直毅さんと一緒に試写を観ることになったのです。

 ブログ「ブッダの言葉」でブッダの生涯について簡単に書きました。
 「ブッダ」ことゴータマ・シッダールタは、いわゆる「世界四大聖人」の一人です。
リンク済み

 1988年には『世界の四大聖人』というコミックが中央公論社から出版されています。
 本来の四大聖人とはブッダ・孔子・ソクラテス・イエスなのですが、この本では、「孔子・シャカ・キリスト・マホメット」となっています。
 注目すべきは、この本が「手塚治虫編」となっていることです。
 この翌年に、マンガの神様・手塚は亡くなっていますが、大作『ブッダ』を執筆したり、手塚プロが製作したアニメーションの「聖書物語」においてモーセやイエスの生涯を描いたりと、手塚治虫には聖人に対する関心の深さがうかがえました。
 きっと、発想が人類的というか、とにかくスケールが大きい人だったのでしょう。

 この映画は3部作のようですが、本作ではブッダが誕生して、青年時代に「生老病死」を知り、出家するところまでが描かれていました。
 まず、アニメの声優陣が非常に豪華でした。
 シャカ国の王子シッダールタに吉岡秀隆、シャカ国を攻撃するコーサラ国の武将チャプラに堺雅人、ナレーションおよびチャプラの母に吉永小百合、シッダールタの父に観世清和、コーサラ国の美しい姫マリッカに黒谷友香といったところです。
 なかなかドラマティックなストーリーでしたが、シャカ国およびコーサラ国の兵士の姿がどう見てもローマやカルタゴの兵に見えました。
 また、古代インドにはあったはずのないコロッセオのような円形競技場も出てきます。
 兵士たちが乗っているインド象には牙が生えていて、どう見てもアフリカ象でした。
 つまり、古代インドを舞台としながらも、古代ローマも彷彿とさせるような、なんというか無国籍性のようなものを感じました。

 登場人物も、シッダールタよりも存在感のあったチャプラをはじめ、架空の人物が多かったです。また、王子シッダールタが奴隷(シュードラ)の娘ミゲーラと恋に落ちるなど、非常に大胆なストーリー設定もありました。原作者の手塚治虫は、1980年の月刊「コミックトム」のインタビューで次のように語っています。
 「シッダールタのありがたさとか、シッダールタの教えよりも人間そのものを掘り下げたい。仏陀の生きざまを、ぼくなりの主観を入れて描きたかった。しかし、仏陀の生きざまだけでは、話が平坦になってしまうでしょう。その時代のいろいろな人間の生きざまというものを通して描かないと、その時代になぜ仏教がひろまったか、なぜシッダールタという人があそこまでしなければならなかったか、という必然性みたいなものが描けません。ですから、仏陀とまったく関係のないような人を何十人も出して、その人たちの生きざまもあわせて描く。そのことによって、あの時代にどうしても仏教が必要だったというところまでいきたいのです」
 わたしは、現在、仏教界最大のオピニオン・ペーパーである「中外日報」の1面コラムを連載させていただいており、最近、仏教について考える機会が多々ありました。
 また、「葬式仏教」といわれている日本仏教の行く末を想ってみたりもします。
 今日、試写会の会場には一見して僧侶とわかる方々がたくさんいました。
 あのお坊さんたちの目に、差別を憎み、生老病死の問題に悩んだ若き日のブッダの姿はどのように映ったのでしょうか。
 映画「手塚治虫のブッダ」は、2011年5月28日(土)から全国ロードショーされます。
 明日、全互協の正副会長・委員長会議が開催されますので、この映画への関わり方についても話し合われることと思います。

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2011年5月28日から全国ロードショー

  • 販売元:TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日:2011/12/09
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