No.0080
東京に来ています。
今日は、非常に重要な打ち合わせを行い、取材を受けました。
明日は、東アジア冠婚葬祭業国際交流研究会に参加します。
今夜、六本木ヒルズのTOHOシネマズで映画「ヘルタースケルター」を観ました。
ブログ『ヘルタースケルター』に書いたように、原作は岡崎京子のコミックです。
主人公りりこは、全身整形によって誰もがうらやむ美しさとスタイルを手にしてトップモデルへと上り詰めました。しかし、欲望と背徳に満ちあふれた芸能界ではさまざまな事件が起こり、彼女は次第に壊れていきます。
週刊誌での一連のスクープ記事によって主演の沢尻エリカは非常にまずい状況にあり、一部の報道によれば、この映画の公開自体が危ぶまれているとのことでした。
でも、この物語は「混乱」の物語です。実際に混乱している女優が主演していたって、それこそ「別に」構わないのではないでしょうか。
これほど物語と現実がリンクして、観客の想像力をかき立てる作品もそうはありません。 わたしは、映画化された「ヘルタースケルター」をぜひ観たいと思っていました。
そして今夜、ついに「ヘルタースケルター」を観賞したわけです。
今日はレディース・デイとのことで、映画館は若い女性で一杯でした。
そして、その彼女たちの中には主人公の「りりこ」っぽい、つまり人造美人っぽい人が多いことに気づきました。おお、六本木に集う謎の美女たち!
映画そのものの感想ですが、とにかく沢尻エリカが美しかった。これに尽きます。もう、なんというか見ているだけで泣きたくなるぐらいの切ない美しさでした。
「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リー、「ローマの休日」のオードリー・ヘップバーン、「裏窓」のグリス・ケリーがわたしにとってのスクリーンの三大美女ですが、正直言って「ヘルタースケルター」の沢尻エリカはその域に達していたと思います。この作品は、映画というよりも人類の「美」の記録映像としての価値があるとさえ思いました。
沢尻エリカの人生には今後さまざまな試練が待っているとは思いますが、こんなに綺麗な姿をフィルムに残せたのですから、「これで良し」としなければなりませんね。
また、沢尻エリカの演技も素晴らしいものでした。寺島しのぶ、大森南朋といった名優を完全に喰っていました。記者会見で「別に」発言をした「クローズド・ノート」以来の主演作品となりますが、女優・沢尻エリカは日本映画界の至宝です。
映画そのものは原作に忠実でしたが、テンポも良く、脚本も優れていました。 蜷川実花監督の実力も、間違いなく一流だと思います。
ネットでは、この映画の評価はなぜか低いようですが、わたしは傑作だと思いました。
全身整形の手術の後遺症の描写はリアルで、グロテスクで、一種のホラーの様相さえ呈します。全身が壊れ始めたりりこの姿は、見るも無残です。
その彼女を真摯に綺麗にしてあげるメイクアップ・アーティストの錦ちゃん(新井浩文)の姿を見て、わたしは感動しました。「わたしが綺麗にしてあげる」とオネエ言葉で語る錦ちゃんに、遺体に化粧を施すエンゼルメイクのスタッフの姿が重なりました。
誰にも愛されなかったりりこですが、錦ちゃんの「りりこは、わたしの誇りよ」という言葉、それから「わたしは、あの娘が好きだったわ」という芸能事務所の女社長(桃井かおり)の言葉で映画自体が救われたような気がします。
最後、ひたすら哀しいりりこ自身よりも、渋谷をはじめとした都内の盛り場でスマホ片手に美容の話題で盛り上がる無数のミニりりこたちのほうが怖かったです。