No.0081
「ラブリーボーン」は、死者と天国についての物語でした。
わたしは、いくつかのハリウッド映画を連想しました。
「オールウェイズ」「ゴースト/ニューヨークの幻」「奇跡の輝き」です。
「オールウェイズ」は1989年の映画で、「ラブリーボーン」の製作総指揮を務めたスティーヴン・スピルバーグの監督作品です。
あのオードリー・ヘップバーンが最後に出演した映画としても知られています。
43年のアメリカ映画「A Guy Named Joe」のリメイクですが、この作品がスピルバーグ少年の心に大きな影響を与えました。
彼は、リメイク版である「オールウェイズ」の製作を10年も暖めていたそうです。
46年には、いわゆる「臨死体験」をテーマとした「天国への階段」という作品が公開され、大ヒットしました。どうやら、伝統的にハリウッドは天国映画が好きなようですね。
「オールウェイズ」の翌年、90年に映画史に残る感動の名作が生まれました。
「ゴースト/ニューヨークの幻」です。
「ラブリーボーン」を観たときも感じたことですが、死者は生者とコミュニケーションを取りたくてたまらないのでしょう。
でも、もう肉体が存在していないわけですから、思うようにはいきません。
天才奇術師ハリー・フーディーニをはじめ、自分は死んだら必ず霊界からサインを送ると言い残して死んでいった人々はたくさん存在します。
また、イギリス発で、交霊会なるものが世界的に流行しました。
死者は生者と交信したがっているし、生者もそれを望んでいる。
その意味で、「ゴースト/ニューヨークの幻」に出てくる、硬貨が宙に浮いて動くシーンは、多くの観客に感動を与えた名場面となりました。
愛する人を亡くした多くの人々が、この映画のように死者の存在を目で確認したいと願っているのです。それもあってか、この映画は記録的な大ヒット作となりました。
製作予算は2200万ドルで、なんと興行収入は世界で約5億ドルでした。
この映画は現在でも、ロマンス・ファンタジー映画の興行収入で1位になっています。
松嶋奈々子とソン・スンホンが共演するアジア版「ゴースト」も今秋公開予定だとか。
98年に製作された「奇跡の輝き」も話題になりました。ロビン・ウイリアムスの主演で、最新SFXを駆使して壮大なスケールで天国を描いています。
翌99年アカデミー賞の最優秀視覚効果賞を受賞しました。この映画の興味深いところは、天国のみならず地獄の様子も詳細に描いていることでしょう。
わたしが監修した『「天国」と「地獄」がよくわかる本』という本は、天国と地獄のカタログになっています。興味がある方は、ご一読下さい。
いずれにせよ、「ラブリーボーン」は、こういった一連のハリウッド「天国映画」の系譜に連なる作品なのです。これからも、多くの「天国映画」が作られていくことでしょう。
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