No.0195
家族愛を描いた日本映画をチャチャタウン内の「シネプレックス小倉」で観ました。「愛を積むひと」です。
ヤフー映画の「解説」には以下のように書かれています。
「エドワード・ムーニー・Jr.の小説『石を積むひと』を基にしたヒューマンドラマ。北海道で第二の人生を過ごそうとする夫婦が、改めて自分たちの愛情や絆を見つめ直す姿を追い掛けていく。メガホンを取るのは『釣りバカ日誌』シリーズなどの朝原雄三。佐藤浩市と樋口可南子が主人公の夫婦にふんし、その脇を『悪夢ちゃん』シリーズなどの北川景子、『日々ロック』などの野村周平らが固める。温かな物語に加え、北海道の大自然と美しい四季の移ろいを捉えた映像も必見。」
また、ヤフー映画の「あらすじ」には以下のように書かれています。
「東京の下町で営んでいた工場を閉鎖し、残りの人生を北海道で過ごそうと決意した篤史(佐藤浩市)と良子(樋口可南子)の夫婦。かつて外国人が暮らしていた家を手に入れて暮らす二人だが、仕事一筋だったゆえに篤史は手持ちぶさたになってしまう。そんな彼のために良子は、家を囲む石塀作りを頼む。しかし、良子が以前から患っていた心臓病を悪化させて他界してしまう。深い悲しみに沈む篤史だったが、石塀作りを手伝う青年・徹(野村周平)との交流や、娘・聡子(北川景子)との再会を経て、前を向くようになる」
この映画を観て、わたしは「ああ、いい映画だな」「やはり日本映画は、こういうのがいいなあ」としみじみ思いました。良子を演じた樋口可南子が美しかったです。1958年新潟生まれの彼女は、わたしより5歳上になりますが、初老の主婦を凛として演じていました。わたしは彼女のデビュー作である「戒厳令の夜」(1980年)を観て以来のファンで、写真集『WATER FRUITS』が出版されたときには非常にショックでした。
篤史役の佐藤浩市も、さすが名優の貫録を漂わせていました。特に、良子の葬儀を終えて帰宅したとき、亡き妻が愛情をこめて育てていた花々を目にして泣き崩れるシーンは真に迫っており、こちらも貰い泣きしました。最愛のパートナーを失った「愛する人を亡くした人」を見事に演じていたと思います。
この映画は「家族愛」がテーマですが、特に夫婦、そして父と娘の関係を豊かに描いています。まさに「父の日」に観るのにふさわしい映画でした。
二人の娘である聡子は北川景子が演じましたが、これまでの彼女のイメージとは違って、これも見事な演技でした。特に、長年疎遠になっていた父・篤史の本心を知ったときに感動のあまり泣き出すシーンが真に迫っており、こちらも貰い泣きしました。ブログ「おかあさんの木」で紹介した映画を観たとき以来、ハンカチを大いに濡らしました。
最近、WOWOWで「ルームメイト」を観たときにも思ったのですが、北川景子の演技力は素晴らしいですね。今や日本映画界を代表する女優の1人であると思います。
作品の舞台となった北海道の美瑛町ですが、公式HPの「北海道・美瑛町」には以下のように書かれています。
「北海道のほぼ中央で、道内第2の都市『旭川市』と『富良野市』の中間に位置する美瑛町は、十勝岳連峰の裾野に広がる丘陵地帯に、なだらかな曲線が織り成す畑作地帯の風景がパッチワークのように続く雄大な農村景観を作り出し、『丘のまちびえい』と呼ばれている。 面積は、東京23区の広さとほぼ同じで、その70%以上を山林が占めている。また、約15%を畑地が占め、これを中心に『丘のまち』の美しい景観を形成している。豊かな自然をはじめ、雄大な大雪山国立公園十勝岳連峰と山麓に広がる波状丘陵地帯で営まれている農業が織りなす四季の景観が人々に感動を与え、全国的に有名となり観光客が後を絶たない。2005年にスタートした『日本で最も美しい村』連合の第1号に認定された」
じつは以前、わたしが経営するサンレーは北海道にも進出しており、旭川、美瑛、富良野がまさに営業の中心エリアでした。わたしが社長になってからは「選択と集中」で北海道からは撤退しましたが、旭川や富良野には何度も出張で行きました。美瑛にも行ったことがあると思います。この映画を観ながら、そのときのことを懐かしく思い出しました。
美瑛町は、「日本で最も美しい村」だそうです。公式HPの「日本で最も美しい村 とは?」には以下のように書かれています。
「NPO法人『日本で最も美しい村』連合は、1982年にフランスで始まった『フランスで最も美しい村』活動に範をとり、失ったら二度と取り戻せない日本の農山村の景観や環境、文化を守り、将来にわたって観光的付加価値を高め、地域資源の保護と地域経済の発展を図ることを目的に、2005年10月に美瑛町を含む全国の7つの村からスタートした。平成の大合併として市町村合併が促進され、小さくても素晴らしい地域資源や美しい景観をもつ村の存続が難しくなって来た時期、最も美しい村としての自立を目指す運動として発足。5年ごとに入会資格審査を実施、最も美しい村づくりの基本理念が継承されているか、より美しい村づくりを目指して運動が定着しているかどうか再審査しており、現在、54町村・地域が加盟。生活の営みの中で、長い歴史に育まれた日本の多様な美しさを守っている。また、『日本で最も美しい村』連合は2010年に『世界で最も美しい村』連合会に加盟、2015年には世界連合会の総会が美瑛町で開催される」
いやあ、「日本で最も美しい村」連合とか、「世界で最も美しい村」連合とか、素敵なアイデアですね。都会に住む多くの人々が、晩年は自然の豊かな「美しい村」に住み、そこで生涯を終えたいと願っているのではないでしょうか。実際、東京などの大都市から北海道や沖縄の離島に移住する高齢者は増えています。それは「人生を美しく修める」という「修活」という考え方に関わっています。「修活」とは「終活」に代わる言葉です。現在は終活ブームですが、「終活」という言葉に違和感を抱いている方が多いです。特に「終」の字が気に入らないという方に何人も会いました。
もともと「終活」という言葉は就職活動を意味する「就活」をもじったもので、「終末活動」の略語だとされています。正直に言って、わたしも「終末」という言葉には違和感を覚えています。そこで、「終末」の代わりに「修生」、「終活」の代わりに「修活」という言葉を提案しました。
「修生」とは文字通り、「人生を修める」という意味です。
特に豊かな自然の中で人生を修めることには、大きな意味があります。
というのも、圧倒的な自然を前にすると、人は死ぬことが怖くなるのです。
自分の命がさらに大きな命へ合流することを実感できるからです。
さて、この映画にはナット・キング・コールの名曲「スマイル」が使用されています。わたしはナット・キング・コールのナンバーが大好きで、iPhoneやiPad-miniにも彼のベストアルバムを入れて、時々聴いています。この「スマイル」もお気に入りの一曲です。もともと、1936年にアメリカで公開されたチャールズ・チャップリンの映画「モダン・タイムス」で、インストゥルメンタルのテーマ曲として制作されました。
作曲は、チャップリン本人によるものです。1954年に、ジョン・ターナーとジェフリー・パーソンズが歌詞を加え、ナット・キング・コールによって歌われました。その歌は堂々のチャート入りを果たします。映画史上に残る名作「モダン・タイムス」で使用されて以来、スマイル」はマイケル・ジャクソンなど数多くのアーティストにカバーされています。現在も世界中の人々に愛され続けていますが、オリジナルであるナット・キング・コールの歌唱が最も強く人々の心に残っているようです。