No.742


 7月22日、前日から公開された映画「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」をシネプレックス小倉で観ました。いやあ、最高にコーフンして、163分の上映時間も一瞬のように感じました。これぞ映画の中の映画! トム・クルーズは映画の神!
 
 ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「トム・クルーズ主演のスパイアクション『ミッション:インポッシブル』シリーズの第7弾。スパイ組織IMF所属の腕利きエージェントであるイーサン・ハントが、人類を脅かす新兵器を追う。『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』に続いてクリストファー・マッカリーが監督などを担当。サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソンらおなじみの面々が集結する」
 
 ヤフー映画の「あらすじ」は、「イーサン・ハント(トム・クルーズ)率いるIMFチームは、新兵器を探すミッションを下され、悪の手に落ちる前にそれを見つけ出そうとする。そんな中、IMFに所属する前のイーサンの過去を知る男が現れる。仲間たちと世界各地で命懸けの戦いを繰り広げるイーサンにとって、今回のミッションは絶対に成功させなければならないものだった」です。
 
「ミッション: インポッシブル」シリーズは、ブルース・ゲラー が制作したテレビシリーズ「スパイ大作戦」をベースにした、アメリカのアクション・スパイ映画のシリーズです。イギリスの「007」シリーズのアメリカ版と言ってもいいでしょう。そして、007のジェームズ・ボンドに相当する主人公が、IMFのエージェントであるイーサン・ハントで、シリーズ作品すべてトム・クルーズ1人が演じています。監督、脚本、音楽には様々なスタッフが参加し、ラロ・シフリンによるオリジナルシリーズの音楽も使用されています。誰もが耳にしたことがあるでしょう。
 
 1996年に始まった本シリーズは、前作のテレビシリーズから6年後の世界を舞台に、ハント率いるIMFの主要なフィールドチームが、差し迫った地球規模の災害を防ぎながら、敵の攻撃を阻止するというミッションを描いています。本シリーズは、テレビシリーズのようなアンサンブルキャストではなく、ハントが主役となっていますが、ルーサー・スティッケル(ヴィング・レイムス)やベンジー・ダン(サイモン・ベッグ)など、映画でレギュラー出演しているキャラクターもいます。この2人は、シリーズ最新作である「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」にも出演しています。
 
 じつは、わたしが映画館で「ミッション:インポッシブル」を観たのは初体験です。過去作は縁がなくて未見だったのですが、思うところあって、U-NEXTで第1弾から第3弾までを前夜に観ました。シネプレックス小倉に直行して第7弾を鑑賞した次第ですが、配信でも最高に面白い作品ですが、トム・クルーズが冒頭映像で日本の観客に挨拶しているように、映画館の大スクリーンで観るべき映画です。その迫力は超弩級でした!! さすがは、広告宣伝費を除く制作費が約3億ドル(約416億円)という史上最高額を費やしただけのことはあります。しかも、世界的には、本作の公開週末の売り上げはシリーズ最高の2億3500万ドル(約326億円)となっており、巨額の製作費は回収できる見込みというから凄すぎますね!
 
 なぜ、わたしが「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」を観ようと思ったかというと、2つの理由があります。1つは、主演のトム・クルーズが61歳で超絶アクションに挑んでいると知って興味を持ったこと。もう1つは、わたしの映画ナビゲーターとして絶対の信頼を置いている映画コラムニストのアキさんが「過去作観ていなくても楽しめますから、ぜひ観て下さい!」とススメてくれたからです。「ミッション:インポッシブル」シリーズは、世界各国の名所で撮影されて「観光映画」の側面がありますが、今回もローマ、ベネツィアなどの景色を楽しめました。「久々にイタリアに行きたいな」とも思いましたが、数千年ぶりの猛暑で、現在のイタリアは気温48度もあるそうです!
 
 トム・クルーズといえば、命の危険と隣り合わせのスタントも自らこなすことで知られています。彼はわたしの1歳年長ですが、わたしの1歳年少であるキアヌ・リーブスからも「別世界にいる別次元のレジェンド」と称賛されるほどです。本来、アクション映画の主役はスタントマンを使うことが義務づけられています。それは主役が危険なシーンを怪我をすると撮影期間が延びるので莫大な保険金が発生するからです。しかし、トムは自らが会社設立し、自らがプロデューサーも務めているので、多額の保険金を掛けてまで、あえて自身でアクションシーンをこなしています。今回の「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」でも信じられないようなスピードフライングに挑戦していました。
 
 トムは、噴火している火山の上をパラセーリングしたり、ジェットエンジンを背負って竜巻の中に入ったり2つの飛行機のあいだをジャンプしたりすることもできるそうです。ただし、インタビューで「サメの背中に乗ったり、目隠しして飛行機を操縦したりするのは"ナシ"だ」と述べ、さらに「崖から飛び降りることはできますが、スノーボードはできません。あるいは、スケートボードに乗って、左右を確認せずに道路を横断するようなことも彼ら(保険会社)は望んでいません」と語っています。それにしても、CGで何でも描けて、AIが人間に取って代わろうかという現代に、「ミッション:インポッシブル」シリーズはトム・クルーズの生身の躍動を感じることができます。特に今回は、疾走するオリエント急行の上で敵と格闘するシーンには度肝を抜かれました。
 
 オリエント急行として描かれた列車もCGではなく本物を使っており、それを崖の上から川に落として破壊するという信じられないような撮影が行われています。オリエント急行が1車両づつ川底に転落していき、イーサンたちが必死で脱出を図るシーンは、間違いなく映画史上最もスリリングなアクション・シーンでした。観ている方も息をするのも忘れるぐらいで、映画「タイタニック」(1997年)で豪華客船が氷山に衝突して沈没するシーンを彷彿とさせる、いや、それを遥かに凌ぐ緊迫したシーンでした。レオナルド・ディカプリオは「タイタニック」出演時は22歳でしたが、「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」出演時のトム・クルーズは60歳です。いかに凄いことかがわかるではありませんか!
 
 一条真也の映画館「トップガン マーヴェリック」にも書きましたが、トム・クルーズは映画俳優という仕事に強い愛情とプライドを持っています。名作「トップガン マーヴェリック」は2019年に製作されました。直後に新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、何度も公開が延期されています。ついにはネット配信に入れるという案も何度も出たそうですが、トムは「この映画は、どうしても劇場で観てほしい」と譲らなかったそうです。結果は、映画館での映画鑑賞という営みがこの上なく素晴らしいものだということを世界中で証明しました。トムは配信系オリジナル作品に1度も出演してない最後のスクリーン俳優です。「トム・クルーズがいる限り "映画体験" は絶滅しない」といった声も多く、「トップガン マーヴェリック」は確実に映画体験の価値を高めました。そして、今回の「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」では、映画体験の価値がさらに高まりました。もはや、トム・クルーズは「映画の神」と言えるでしょう。
 
「ミッション:インポッシブル」シリーズの最近の作品は、先に危険なアクションシーンを撮影してから、後でストーリーが考えられるそうです。まるで「アクション大喜利」と言えますが、後付けの物語もなかなか良くできています。今回の「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」では、2本の鍵が登場します。何のための鍵なのかは最後までわからないのですが、その鍵があれば世界が変えられるそうです。おそらく、その2本の鍵とは「陰陽」に関わるものではないかと推察されますが、わたしは「ウェルビーイング」と「コンパッション」がその正体ではないかと思いました。

これが、世界を変える2つの鍵だ!!
 
 
 
 ブログ「ヤフーニュースに『コンパッション!』が紹介!」でお知らせしたように、奇しくも、この映画を観た7月22日のヤフーニュースに一条本の最新刊『コンパッション!』(オリーブの木)が紹介されました。休日のヤフーニュースには大量のアクセスがあるので大反響ですが、「コンパッション」という考え方を多くの方々に知っていただくことができました。同書には『ウェルビーイング?』(オリーブの木)という双子本もありますが、まさに「ウェルビーイング」と「コンパッション」が揃えば世界を変えることができるというのが、わたしの考えです。「ミッション:インポッシブル」シリーズの第4作~第6作は未見なので、これから観たいと思います。