No.788
東京に来ています。 10月18日は業界の会議ラッシュでしたが、朝一番でTOHOシネマズシャンテを訪れ、映画「シアター・キャンプ」を観ました。演劇人の、演劇人による、演劇人のための映画といった印象でした。うーん、まあまあでしたね。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「経営破綻寸前の演劇スクールを存続させるため、教師陣と子供たちが3週間で新作舞台を完成させようと奮闘するコメディー。『グッド・ボーイズ』などに出演してきたモリー・ゴードンがニック・リーバーマンと共同で監督を担当し、主演も務める。そのほか『ディア・エヴァン・ハンセン』などのベン・プラット、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』などのノア・ガルヴィンらが出演。サンダンス映画祭2023でUSドラマチック審査員特別アンサンブルキャスト賞を受賞した」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「アメリカ・ニューヨーク州北部、ミュージカルスターを目指す子供たちが集まる演劇スクール『アディロンド・アクト』。夏のキャンプ開校目前に校長が昏睡状態に陥り、校長の息子で演劇に無知なトロイが運営を引き継ぐが、スクールは経営破綻寸前だった。存続のためには、キャンプ終了までに出資者の前で新作ミュージカルを発表しなくてはならないが、残された期間は3週間のみ。教師陣と子供たちは、わずかな時間で舞台を完成させるべく奮闘する」
この映画は、モキュメンタリー形式で描いたコメディドラマです。演劇スクールの校長を務める母親が倒れて昏睡状態になったため、演劇には無知なトロイは朝礼で自己紹介します。でも、ミュージカルスターを目指す子供たちは見ず知らずのトロイに何の関心も示さず、彼の挨拶を聴こうとしません。このような「騒がしい朝礼」というのは、わたしは経験したことがありません。会社の総合朝礼などではありえないことですが、副理事長を務める一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団の理事会では最初けっこう騒がしいです。「シアター・キャンプ」を観た18日の15時からも開催されましたが、やはりけっこう騒がしかったです。でも、金森理事長の采配で理事たちを黙らせました。金森理事長は人間力のある方で、いつも勉強になります。
映画に登場する「アディロンド・アクト」のような演劇スクールは、「シアター・キャンプ」と呼ばれています。もともと、シアター・キャンプとは、地域社会で行われるアマチュアの演劇運動を指します。シビック・シアター(civic theatre)ともいいます。1910 年代から各地に起こった小劇場が成熟し、やがてアマチュア主義に立脚しながら、専門家の技術的援助を受けたものがコミュニティ・シアターの基礎を作りました。第二次世界大戦後には、地方分散化の傾向が技術的向上を促し、カリフォルニアのパサデナ劇場や、テキサス州ダラスのマーゴ・ジョーンズによる劇場、オハイオ州のクリーヴランド劇場などが専門の「公共劇場」として発展。20~30年代に最盛期を迎え、500以上の劇団が創設されました。今日も 100近くの劇団が活動を続けているそうです。
この映画のシアター・キャンプの生徒はすべて子どもたちです。でも、「アディロンド・アクト」では、本格的な演劇の指導が行われます。映画では、教師たちが「ダンスは人間の存在を最大限に表現できる」「演技とは記憶の中から消すものを選ぶ」「音楽は、あの世に一番近いもの」などと発言するシーンが流れますが、その深さに唸りました。子ども専用の演劇スクールキャンプというと、最初は「内向的な子どもの体験学習」的な内容をイメージしていたのですが、実際は全然違って、かなり本格的だったので驚きました。子どもたちの歌のうまさにも感心しましたし、何よりも即興演劇が素晴らしかったです。彼らの中から、本物のミュージカルスターが誕生するのも納得です。
じつは、わたしも演技には無縁ではなく、恥ずかしながら4本の映画にチョイ役で出演しています。もちろんカメラの前で演技するのは緊張もしますが、それよりもまったく別人になりきって演技をする楽しさや喜びの方が勝ります。じつは、他にも「男神」という映画でボルサリーノを被ったサングラス姿の男を演じないかというお話を非公式で頂戴しています。これからも映画出演のオファーが来れば、可能な限り応えたいですね。できれば、男泣きする役もやってみたいです。泣くといえば、「シアター・キャンプ」には涙スティックという小道具が登場しました。リップスティックのような形状なのですが、メンソールが入っていて、それを目の周りに塗ると涙がポロポロ出るのだとか。映画でも涙スティックの使用がバレて大騒ぎになっていましたが、これは反則ですね!
わたしは歌もダンスも好きなので、ミュージカルスターにはすごく憧れます。若い頃は、田原俊彦や少年隊などのジャニーズ事務所所属タレントのパフォーマンスが大好きでした。ジャニーズJr.の子たちも未来のスターを夢見て歌やダンスのレッスンに励んでいたのでしょうが、その背後にジャニー喜多川という希代のモンスターが虎視眈々と獲物を狙っていたとは!想像するだけで気持ち悪くなりますが、彼が毒牙にかけた性被害者は数千人にのぼるとも言われています。ジャニーズ事務所改めスマイルアップ社の東山紀之社長が記者会見で発言したように「人類史上最悪の鬼畜の所業」です。その事実を知りながらスルーしていたNHKをはじめとするテレビ局の罪も重いです。というわけで、「シアター・キャンプ」を観ながら、またしてもジャニーズ問題のことを考えてしまったわたしでした。