No.787


 東京に来ています。10月17日の夕方、日比谷のホテルで打ち合わせをした後、TOHOシネマズ日比谷で日本映画「BAD LANDS バッド・ランズ」を観ました。正直あまり期待してはおらず、冒頭は強烈な睡魔に襲われましたが、途中からグングン面白くなってきました。傑作です。

 ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「黒川博行の小説『勁草』を、『日本のいちばん長い日』『関ヶ原』などの原田眞人監督が映画化したクライムサスペンス。特殊詐欺を生業とする姉とその弟が、大金の動く取引に加担し、巨悪との対立に巻き込まれていく。主人公の姉弟を『万引き家族』などの安藤サクラと『鋼の錬金術師』シリーズなどの山田涼介が演じ、生瀬勝久や吉原光夫、江口のりこ、宇崎竜童などが共演する」

 ヤフーの「あらすじ」は、「持たざる者が持つ者から生きるための糧を奪う世界で、橋岡煉梨(安藤サクラ)は弟のジョー(山田涼介)と共に特殊詐欺を生業として生きていた。ある仕事を受けた二人は、億を超える大金を手に入れたことから、巨悪に追われる身となる」となっています。

 原作の『勁草』は、アマゾンに内容紹介があります。
「橋岡は『名簿屋』の高城に雇われていた。名簿屋とはオレ詐欺の標的リストを作る裏稼業だ。橋岡は被害者から金を受け取る『受け子』の手配も任されていた。騙し取った金の大半は高城に入る仕組みで、銀行口座には金がうなっているのだ。賭場で借金をつくった橋岡と矢代は高城に金の融通を迫るが...。一方で府警特殊詐欺班の刑事たちも捜査に動き出していた。最新犯罪の手口を描き尽くすクライムサスペンス問題作!」

「BAD LANDS」という英語は「腐れ縁」という意味です。この物語になっているような特殊詐欺とか、暗号通貨とか、わたしはまったく興味がありません。よって知識もあまりないのですが、映画を観てちょっと勉強になりました。まあ、突っ込みどころは満載でしたけど。主演の安藤サクラは実力派ではあるものの、正直言ってそれほど美人とは思えませんが、この映画ではなかなか魅力的でした。安藤さくらに似ている江口のり子も出演していましたね。しかし、なんといっても、老いぼれ元ヤクザを演じた宇崎竜童が良かったです!

 この映画、タイトルバックもなくいきなりドラマが始まります。それが延々と続くので眠たくなってしまいました。はっと気づいたら、タイトルバック。かなりの時間が経過していたように思います。要するに、それまではプロローグだったのですね。プロローグが異常に長い映画といえば、セクハラで問題になった園子音監督の傑作「愛のむきだし」(2009年)を思い出します。親から与えられる愛情が完全に欠如した状態で育ち、その空虚感を埋め合わせるために変態行為、暴力、宗教などに走る若者たちの姿を描いているのですが、上映時間は237分でした。タイトルバックまでには、なんと1時間を要しています。この映画で新興宗教団体の側近のアブナイ女を演じたのが安藤サクラ。そう、わたしが彼女の存在を始めて知ったのは「愛のむきだし」だったことを思い出しました。

 安藤サクラとW主演の山田涼介がジャニーズ事務所所属であることは気になりました。実際、この映画の製作陣にはジャニーズ事務所の名前もあります。ただ、一条真也の映画館「アナログ」で紹介した映画も、主演がジャニーズ事務所の二宮和也であったにもかかわらず、素晴らしい感動作でした。それで今回も主演俳優の所属事務所には目を瞑って鑑賞することにした次第です。山田涼介の演技は悪くはなかったですが、いかんせん身長が低くて、アクションに迫力がありませんでした。ちなみに彼は164センチです。 この映画には、山田涼介にとってジャニーズ事務所の先輩にあたる岡田准一(11月30日をもって退所)も友情出演していました。

 岡田准一といえば、今や日本映画界を代表する名優ですが、彼も169センチと低身長ですね。「なぜ、ジャニーズには背が低いタレントが多いのか?」という疑問を突き詰めていくと、「故ジャニー喜多川の好みだったから」という答えに至ります。自身が低身長であった彼は、プレデターの餌食とする少年が大柄では困ったのかもしれません。山田涼介は小学5年生のときに性被害に遭ったという噂がありますが、その後はジャニー喜多川から嫌われていたようですね。彼がこれからも映画界で活躍するためには、先輩の岡田准一のように同事務所を退所することが望ましいのではないかと、わたしは思います。