No.780
日本映画「アナログ」を観ました。ジャニーズ事務所の二宮和也が主演ということで「どうしようかな?」と一瞬迷ったのですが、ビートたけしの小説が原作だと知って鑑賞を決心。シネプレックス小倉で観ましたが、素晴らしいラブストーリーでした。あまりの感動に、年甲斐もなく涙が止まりませんでした。恋愛映画の大傑作です!
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「ビートたけしによる初の恋愛小説を、『ラーゲリより愛を込めて』などの二宮和也と『ホテルローヤル』などの波瑠の共演で映画化したラブストーリー。携帯電話を持たない女性と彼女に思いを寄せる男性が、毎週木曜日に同じ喫茶店で会うことを約束する。監督を『ホテル ビーナス』や『鳩の撃退法』などのタカハタ秀太が務める」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「デザイナーの水島悟(二宮和也)は自身が内装を手掛けた喫茶店『ピアノ』で美春みゆき(波瑠)と出会う。手作りの模型や手書きのイラストなどにこだわる悟は、携帯電話を持たないみゆきに自分と似たものを感じる。悟とみゆきは、毎週木曜にピアノで会い、ゆっくりと距離を縮めていく。しかし、みゆきは突然店に姿を見せなくなる」
この映画はストーリーに少しでも触れると、ネタバレになってしまいます。波瑠が演じる美春みゆきは美しく、上品で、姿勢が良くて、趣味が良くて、謎めいています。彼女には大きな秘密があるのですが、最近の日本映画にありがちな「余命短い不治の病」とか「記憶が長持ちしない病気」とかではありません。もっと驚くべき秘密があるのですが、そんなこととは関係なく、みゆきと二宮和也演じる水島悟との出会いや会話やデートのすべてが初々しく、心が洗われるようでした。とても大切なメッセージを糸電話で相手に伝えるシーンも胸キュンでした。
悟には2人の親友がいました。桐谷健太と浜謙太が演じているのですが、この2人がまたすごくいい奴です。「母ひとり子ひとり」だった悟の母親が亡くなったときも、通夜・葬儀が終わるまでずっと一緒にいてあげます。彼らの悟を思う気持ちには泣かされます。こんな爽やかな男の友情を描いた映画は久々に観た気がします。原作を書いたビートたけしには、きっと素敵な親友がたくさんいたのではないかと思います。家族や恋人も大切ですが、友人関係に恵まれることは人生にとって重要なことであり、持続的幸福としての「ウェルビーイング」に直結するのですね。
ネタバレを避けるために肝心な部分を書けないのですが、この映画は人の縁というものの不思議さと素晴らしさを教えてくれます。入院中の悟の母(高橋恵子)は息子に好きな女性ができたことを悟り、「その人と結婚しなさい。そして、日が暮れるまで語り合いなさい」と言います。この言葉に、わたしは非常に感動しました。恋愛をする相手の価値は、お金や地位や学歴や容姿などでは測れません。お互いの価値観が同じで、気が合うことが一番です。そんな相手と巡り会って、思う存分に話ができたら、もうそれだけで最高です。それ以上の幸せはありません。
みゆきの「ずっと1人だった場所にあなたが入ってきてくれた」という言葉も心に残りました。また、予告編でも流れた「お互いに会いたい気持ちがあれば、きっとまた会えますよ」という言葉は素晴らしい名言だと思います。現在はLINEやメールで簡単に会う約束ができる時代ですが、どれほど不便な環境にあっても、お互いが会いたいと思えば、人は会えるのです。心が荒むような話題が多い時代に、この映画は人間として最も大切なことを教えてくれました。二宮和也の演技も素晴らしかったです。今後、「スマイルアップ」と改名するジャニーズ事務所がどうなろうとも、彼には俳優を続けてほしいと願います。