No.859
3月8日から公開されている日本映画「ゴールド・ボーイ」を小倉コロナシネマワールドで観ました。沖縄が舞台で、現地の亀甲墓が重要な役割を果たし、さらには沖縄の葬儀や火葬場も登場すると知って鑑賞したのですが、想定外の面白さでした。物語が二転三転して、ハラハラドキドキが止まりませんでした。クライムサスペンスの傑作です!
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「中国の作家・紫金陳の小説を、沖縄に舞台を移して実写化したクライムサスペンス。実業家の義父母をがけから突き落とした男と、その犯行をカメラで撮影したことから男を脅迫する少年たちの姿を描く。メガホンを取るのは『百合の雨音』などの金子修介。『さんかく窓の外側は夜』などの岡田将生、『リボルバー・リリー』などの羽村仁成、『せかいのおきく』などの黒木華のほか、星乃あんな、松井玲奈、北村一輝、江口洋介らが出演する」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「沖縄。実業家一家の婿養子である東昇(岡田将生)は、義父母を殺害して富と地位を奪おうと、綿密な計画を立てる。計画通りに義父母をがけから突き落とした昇だが、その様子を13歳の安室朝陽(羽村仁成)らが偶然にもカメラで捉えていた。朝陽は母子家庭で経済的な余裕がなく、仲間もさまざまな問題を抱えており、すべてを金で解決しようと、昇を脅迫する。昇と朝陽らが駆け引きを繰り広げる一方で、両親の死に不審を抱く昇の妻・静(松井玲奈)は従兄弟の刑事・厳(江口洋介)に相談を持ちかける。
「中国の東野圭吾」と呼ばれるミステリ作家・紫金陳(ズー・ジンチェン)の小説『悪童たち』です。ハヤカワ・ミステリ文庫から日本語訳が出ていますが、アマゾンには「アジアで社会現象を巻き起こした読む者の胸を抉る華文サスペンスの最前線」として、「優等生の中学二年生、朱朝陽(ジュー・チャオヤン)のもとに、孤児院から脱走してきた昔馴染みの少年丁浩(ディン・ハオ)とその〝妹分″の普普(プープー)が訪ねてくる。行く当てのない二人をかくまうことになり、当初は怯えていた朝陽だったが、しだいに心を開いていく。山に遊びに行ったあと、カメラで撮影した動画を見返していたとき、彼らはそこに信じがたい光景が映り込んでいたことに気づく。人が崖から突き落とされる場面が......衝撃の展開に息をのむ華文サスペンス」と書かれています。
この映画は、東ホールディングスという資本金24億円の那覇に本社を置く地元企業が沖縄県警とズブズブの関係であるという設定です。同社はリゾートホテルやハンバーガー・チェーンなどを運営しているのですが、警察OBはみんな東ホールディングスに再就職しているのでした。刑事の1人が「どんどん貧しくなっていくこの国の隅っこの島で、基地のあるこの島で、俺たちはこの企業に頼っていかなきゃ生きていけないんだよ!」と叫ぶシーンがありますが、わが社も沖縄で事業を展開しているので複雑な想いがしました。沖縄の貧しさは以前から指摘されていますが、日本そのものもどんどん貧しくなっているというのは実感できます。あと、「この島には2つの新聞があるけど、奴らが好きそうなニュースだ」というセリフがありました。「琉球新報」と「沖縄タイムス」の編集方針を揶揄しているわけですが、その場面が印象的でした。
正直言って、この映画は沖縄の負の側面を描き過ぎている感があり、沖縄に縁のある者としては不快な描写も多々ありました。特に、沖縄文化のシンボルでもある亀甲墓や御三味(うさんみ)を殺人の手段に使ったくだりは怒りをおぼえましたね。御三味とは先祖の墓や仏壇にお供えする重箱料理のことです。俳優陣はみんな良かったです。特に、江口洋介とか北村一輝などは「本当にウチナンチュじゃないの?」と思えるようなリアリティのある演技をしていました。サイコパス殺人犯の東昇を演じた岡田将生は奄美大島の出身の入り婿という設定でしたが、ちょっと色白過ぎて違和感がありましたね。あと、実力派女優として知られる黒木華の母親役の違和感が強く、なんか映画全体の中で浮いている感じがしました。
そして、なんといっても、サイコパス殺人犯と対決する天才少年を演じた羽村仁成が輝いていました。彼は現在16歳だそうですが、目力がありますね。SMILE-UP(旧ジャニーズ事務所)所属のジュニア内男性アイドルグループ・Go!Go!kidsのメンバーだそうです。2007年生まれ、子役としての活動を経て、2019年にジャニーズ事務所に入所。2022年、「忍たま乱太郎」第30シリーズのオープニングテーマを担当する「ジャニーズJr.」11人のうちの1人として歌唱に参加。2022年、『JOHNNYS' Experience』で結成が発表された8人組ジャニーズJr.内ユニット・Go!Go!kidsのメンバーに選ばれています。
俳優としての羽村仁成は2021年放送のドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室―」の島津順役や「俺の家の話」の観山秀生役、一条真也の映画館「リボルバー・リリー」で紹介した大作アクション映画の細見慎太役などにも出演。自然体の演技で存在感を発揮しています。エンタメOVOのインタビューで、「オーディションを経て本作への出演が決まったそうですが、最初にこの作品に出演したいと思ったきっかけを教えてください」というリクエストに対して、羽村は「普段、オーディションではそのオーディションで演じるシーンの台本をいただくのですが、今回は最初から最後までの台本がオーディションの前に送られてきたので、全部読んでから受けることができたんです。それで、すごく面白いストーリーだったので、絶対に出たいと思いながらオーディションを受けました」と語っています。
「岡田さんとのシーンを演じてどんなことを感じましたか」という質問に対しては、羽村は「面と向かって対決するシーンでの岡田さんの迫力がすごくて、本当にびっくりしました。でも、それに負けないようにしようと、立ち向かっていくぞという気持ちを持って演じないといけないと思ったので、力を入れて撮影に臨みました」と語っています。また、「岡田さんのその迫力というのは、実際に目の前で見て怖かったですか」という質問には「そうですね。怒っているシーンも声を張り上げるのではなくて、頬の一部をピクッとさせたり、細かいお芝居で怒りを表現されていたので、真正面で目があった時はめちゃくちゃ怖かったです(笑)」と答えています。
「今回の朝陽という役を演じる上ではどんな役作りをしましたか」という質問に対しては、羽村は「朝陽を演じるのは、本当に難しかったです。表向きは優等生でいい子なのですが、心の中にちょっと悪い部分も抱えていて、その悪い部分が他の人と関わっていくことによって、どんどん出てきてしまうという役だったので、何回も繰り返し台本を読み込んで、感情の切り替わりをどこでしているのかを考えながら演じました」と語りました。それにしても、彼が所属するGo!Go!kidsなどいうグループ、初めて知りました。最近、吉本興業の一連のスキャンダルが注目されているのにともない、旧ジャニーズ事務所への風当たりが確実に弱まってきています。故ジャニー喜多川の人類史上最悪の性犯罪はけっして許されることはありませんが、あれだけ叩かれても芸能界で光を放つことができる事務所の底力は大したものです。白石麻衣のSexyZone・菊池風磨との熱愛報道には驚きましたが、やはり日本の女性はみんなジャニーズ・アイドルが好きなのかな?