No.975


 東京に来ています。11月27日の夜、アメリカ映画「ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US」をTOHOシネマズ日比谷で鑑賞。全米で大ベストセラーになった小説の映画化ですが、グリーフケアが描かれていることに加えて、ミステリー要素もあって面白かったです。最後に「ふたりで終わらせる」の意味が明らかになったときは納得しました。
 
 ヤフーの「解説」には、「アメリカの作家コリーン・フーヴァーが実体験を基につづった小説を映画化。魅力的な男性と恋に落ちるも、思いも寄らぬ事態に直面した女性の葛藤と再生を描く。『ロスト・バケーション』などのブレイク・ライヴリーが主演のみならずプロデューサーも兼任し、『gifted/ギフテッド』などのジェニー・スレイト、『ホーンテッドテンプル~顔のない男の記録』などのブランドン・スクレナーらが共演。監督は『ファイブ・フィート・アパート』などのジャスティン・バルドーニが務め、主人公の恋人も演じた」と書かれています。
 
 ヤフーの「あらすじ」は、「念願のフラワーショップを開業すべくボストンにやってきたリリー(ブレイク・ライヴリー)は、ある日店を訪れた脳神経外科医のライル(ジャスティン・バルドーニ)と出会う。瞬く間に情熱的な恋に落ち、共に日々を過ごすようになった二人だったが、いつしか彼の愛は思わぬ形で暴走し、リリーは封じ込めていたある記憶を呼び覚ます。やがて彼女は過去の自分自身と向き合い、ある決意を固める」となっています。
 
 リリーとライルが初めて出会ったのは、ライルの部屋が入ったアパートメントの屋上でした。先に屋上にいたリリーに気づかなかったライルは、屋上に現れるなり、そこにあった椅子を蹴り上げます。何か気に喰わないことでもあったのでしょうが、このときのライルの行動が映画のラストにかけて大きな意味を持ってくることになります。ライルはセクシーな髭面で、ちょっと齋藤工に似ていると思いました。職業も脳神経外科医で金持ち、しかも女の扱いも慣れているとあって、モテ男の代表のような存在です。
 
 原作は、世界で発行部数約1000万部の大ヒットを記録した"2022年 アメリカで最も売れた恋愛小説"です。初映画化となりますが、身近に起こり得る"愛する人からの暴力"という問題を背景に、逆境や困難に直面する一人の女性の強さと再生を描いた物語です。本作で夫からの暴力に苦しむ主人公リリーを演じたブレイク・ライヴリーは、「脚本を読んでリリーに恋した。彼女の物語を伝えたかった」と語っています。また、ブレイクは「描き方はたくさんあるけど、大切にしていたのはリリーは繊細なのではなく強い女性だということ」と、彼女がリリーを演じる上でのこだわりについても語ります。

 この映画には、さまざまな感情が描かれています。愛、喜び、悲しみ、憎しみ......などなど。その中で、男のジェラシーが描かれている場面はとても醜いと思いました。今カレ(夫)と元カレの間で揺れ動く女心をドラマティックに描写していますが、相手の過去の恋愛のことをいつまでもグズグズ言うような男は最低ですね。ダサいです! わたしは、あまりこういう下世話な痴話喧嘩が出てくるようなメロドラマは嫌いなのですが、男心の醜さをリアルに表現している点には感心しましたね。
 
 リリーは2人の男性に愛を求められ、苦悩します。でも、その男性が2人ともイケメンで、かつ社会的成功者というところが「うーん」と思いました。「こんなうまい話、現実にはないわよね」と思った女性の観客は多かったのではないでしょうか。ライルはリリーを愛するあまりに彼女を傷つけてしまいますが、過去にトラウマというか、途方もなく巨大なグリーフを抱えていたことが明らかになります。リリーのある行いで、ライルのグリーフはケアされ、彼は「今までの人生の中で、最高に感動する贈り物だよ」と言います。ネタバレになるので詳しい内容は書きませんが、この場面には少しだけ胸が熱くなりました。