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「プライベート・ケース」

No.1359

一条真也です。東京から北九州に戻りました。24日、この日から公開されたフランス映画「プライベート・ケース」をヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞。ジョディ・フォスターが主演するミステリー映画に外れはないと思っていたのですが、それはどうやらハリウッド作品に限った話のようですね。なお、本作は今年観た130本目の映画です。

ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「『羊たちの沈黙』などのジョディ・フォスターが精神分析医役でフランス映画に初主演し、予期せぬ患者の死を受けて調査を繰り広げるミステリー。パリに暮らすアメリカ人の精神分析医が、患者の死の原因について殺人ではないかと疑いを深める一方で、自身には涙をコントロールできなくなるという異変が起きる。監督は『美しき棘』などのレベッカ・ズロトヴスキ。『あるいは裏切りという名の犬』などのダニエル・オートゥイユや、ヴィルジニー・エフィラ、マチュー・アマルリック、ヴァンサン・ラコストなどが共演する」

ヤフーの「あらすじ」は、「フランスのパリで精神分析医として働くリリアン(ジョディ・フォスター)は、患者であるポーラ(ヴィルジニー・エフィラ)が亡くなったことに違和感を覚え、殺されたのではないかと考える。守秘義務のため警察に相談できないことから、リリアンはポーラの死について自分で調べ始めるが、一方で彼女の身にも異変が起こり、理由もなく涙があふれ出るようになる」となっています。

わたしは、ジョディ・フォスターが主演するミステリー映画が大好きです。「告発の行方」(1988年)、「羊たちの沈黙」(1991年)といった映画史に残る名作はもちろん、「パニック・ルーム」(2002年)、「フライトプラン」(2005年)といったあまり評価の高くない作品まで、すべて好きです。そんなわたしは、本作を観て「ジョディに何をさせようとしているのか?」と落胆してしまう場面が多々ありました。すべてのセリフをフランス語で乗り切った彼女の演技はさすがの安定感でしたが、離婚した元夫とのラブシーンには違和感がありました。だって、彼女は1962年11月19日生まれで、わたしより約半年早く生まれた63歳なのですから。ハリウッド作品のようにフランス映画でも恋愛が高齢化しているのでしょうか?

リリアンの夫ガブリエルを演じたダニエル・オートゥィユは、なんと1950年生まれの76歳だとか。63歳の女性と76歳の男性のラブシーンを見ながら、わたしなどは「いったい何を見せられているんだ?」と思ってしまいますが、まあこういうのが大人のためのフランス映画なのでしょうね。ダニエル・オートゥィユ自体はすごく良かったです。アル・パチーノとロバート・デ・ニーロを合わせたような渋さを感じました。まさに「イケオジ」といった印象でしたが、ブログ「ベル・エポックでもう一度」で紹介した2021年のフランス映画の主演俳優だったのですね。

もう1人、本作には存在感を放つ人がいました。急死した患者ポーラを演じたヴィルジニー・エフィラです。「どこかで見た顔だな」と思っていたら、なんと、ブログ「急に具合が悪くなる」で紹介したドイツ・フランス・ベルギー・日本合作映画の主演女優ではないですか。第79回カンヌ国際映画祭で、岡本多緒とともにW最優秀女優賞を受賞したばかりの話題の人です。彼女は1977年生まれで、ベルギー出身。ポール・ヴァーホーヴェンの「エル ELLE」(2016年)、ブログ「ベネデッタ」で紹介した2021年の異色の宗教映画など幅広い作品に出演しています。パリ同時多発テロを題材にした映画「パリの記憶」(2022年)で、第48回セザール賞主演女優賞を受賞。いま世界で最も注目されている女優の1人です。

ジョディ・フォスター、ダニエル・オートゥィユ、ヴィルジニー・エフィラといった世界の映画界を代表する名優を揃えたにもかかわらず、ミステリー映画としての本作は今一つでした。その最大の原因は、シナリオの悪さです。どこに向かおうとしているのか、あっちに行きこっちに行きで、ブレまくっていました。最大の難点は、真相がよくわからなかったこと。この映画、アメリカ映画や日本映画のミステリー作品のように最後に名探偵が関係者を一堂に集めて真犯人を名指しするみたいなオチではありません。最大の焦点であるポーラの死が自死だったのか、殺人によるものか、今一つわからず、ストレスを感じてしまいました。ブログ「ガス人間」で紹介したNETFLIXドラマのように、シナリオの悪さを名優たちの名演技でカバーした作品だったと思います。

*よろしければ、佐久間庸和ブログもお読み下さい!

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