HOME

我々は宇宙人

No.1408

9月27日の日曜日、日本のアニメ映画「我々は宇宙人」をTジョイ・リバーウォーク北九州で観ました。「アニメーションの最高傑作!」などと高い評価を受けている作品ですが、正直そこまでの感動はおぼえませんでした。物語の一部が監督の実体験に基づいているそうなので、わたしと監督にジェネレーション・ギャップがあるのかもしれません。でも、アニメーションとしては確かに最高傑作と言っても過言ではないですね。

ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「『蝋石』などの門脇康平が監督を務めたアニメーション。クラスの人気者と親友になった内気な少年が、彼やその周囲に生じた変化を感じるうちに衝撃的な事件に出くわす。『ふれる。』などの坂東龍汰、『BLUE GIANT』などの岡山天音らがボイスキャストを務める」

ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「平成の日本。ある田舎町に暮らす小学3年生の翼は、内気なうえに普通であることに悩んでいたが、クラスの人気者で自分とは正反対な存在の暁太郎と意気投合する。親友同士になった二人は、たわいのない会話や一緒に下校をしながら絆を深めていくが、ある日、暁太郎がクラス内で浮いた存在となる。暁太郎に関するうわさや彼に対するクラスメイトの視線を意識するも、自分からは何も触れずにいた翼だったが、暁太郎から思いも寄らないことを問いかけられる」

日本のアニメーションは世界の最先端にありますが、オリジナルの長編アニメーション映画を発表できる人材は限られています。宮崎駿、細田守、新海誠といったレジェンドたちがそうですが、弱冠29歳で本作を制作した門脇康平もその仲間入りをしたと思います。「まさに天才」などという表現では追いつかないぐらい、ものすごい才能であることは間違いありません。門脇監督とわたしの年齢差が34もあるので、小学生時代の思い出には共感できませんでした。だって、わたしの小学生時代はスマホもゲームソフトも存在しませんでしたから。目覚まし時計として冒頭に登場する「進研ゼミ」のコラショもよく知りません。

本作はとにかく映像そのものに圧倒されました。門脇監督とわずか4人の原画アニメーターが手描きの原画や水彩、ロトスコープを組み合わせた徹底的なこだわりで制作が行われたそうです。じつに約3年半の作画期間を経て、全カットの整合性や質感を追求したとか。安定したベースの作画の上に、あえて絵の具や不安定な表現をぶつける演出や、子供のリアルな動きを拾うための試行錯誤が重ねられました。登場人物の顔はこれまでのアニメ作品のように綺麗ではありません。皺などもきちんと描かれており、リアルです。何より、本作にはいわゆる美男美女は登場しません。リアル過ぎますね。瞳に風景が映っているなどの細かな演出も秀逸でした。

思えば、小学生時代の人間関係というのは、大人になった今よりもずっとヒリヒリしていたように思います。子どもは残酷なので、ある日突然、誰かをいじめの標的にしたりします。わたしは幼少期の頃から体も大きく、小学生時代は柔道もやっていたので、ガキ大将的な存在でした。自分ではいじめられた記憶はまったくありませんが、もしかしたら知らないうちに誰かを傷つけていたかもしれないと思うことはあります。小学生の頃のクラスメートの女子への淡い想いなども本作を観て思い出しました。心が通じ合ったと感じた小夏ちゃんを想う暁太郎は健気で、切ないですね。

大人になった翼と暁太郎は思わぬ再会を果たします。「俺の青春を返せ!」と迫る暁太郎と、「最初から無かった青春なんか返せない」と言い返す翼。「お前の人生を俺のせいにするな!」という翼の言葉にも説得力があります。おそらく子ども時代の暁太郎は一種の発達障害というか、コミュニケーション障害的な部分があったのだと思いますが、それにしてもそんな彼に陰湿ないじめをした翼の罪は重いです。返す返す、「子どもは残酷だな」と思うと同時に、「自分は知らないうちに誰かを傷つけていなかったか?」と自問しました。大人の翼の声は坂東龍汰が担当。彼は一条真也の映画館「君の忘れ方」で紹介した拙著『愛する人を亡くした人へ』(現代書林・PHP文庫)が原案の日本映画で単独初主演をした人ですが、改めて「声がいいなあ!」と思いました。大人の暁太郎の声優は岡山天音でしたが、こちらも良かったです。

左から加治君と城戸君。中学時代の相棒でした
左から加治君と城戸君。中学時代の相棒でした

 

本作には翼や暁太郎の中学時代も登場するのですが、わたしは自分の中学時代を思い出しました。じつは、中学時代の同級生だった城戸正開君が亡くなられ、本日27日が葬儀でした。ブログ「サンレー杯囲碁祭り」で紹介したわが社の大事なイベントと時間が重なったため参列できなかったのですが、お香典、供花、弔電を手配させていただきました。城戸君は開業医でしたが、中学時代、よく遊びました。やはり同級生だった加治敬通君も一緒でした。本作の表現を借りるなら、わたしたち3人は「相棒」的な存在でした。

旅立つ相棒に「じゃあね!」と言いたいです
旅立つ相棒に「じゃあね!」と言いたいです

 

ブログ「中学の同窓会」で紹介したように2013年に母校の日新館中学の同窓会が行われましたが、わたしたち3人だけで三次会に繰り出しました。そのときの写真を謹んで掲載させていただきます。加治君は昨年12月に、城戸君は今年9月に亡くなりました。寂しくて、悲しくて仕方ないです。わたしがいずれ旅立ったら、また3人で飲みたいです。本作のラストシーンのように、城戸君には「じゃあね!」と言いたいですね。最後に、いつも優しくわたしに接してくれた故城戸正開君の御冥福を心よりお祈りいたします。合掌。

HOME
Copyright © 2017 - 2022 Shinya Ichijyo’s Movie Theater All right reserved.