No.0024
マイケル・ジャクソンは、真に偉大なアーティストでした。
まず、あれほど高音を出せた歌手はいません。
「Aw」や「Hooo!」といった独特の掛け声は、「神の声」と呼ばれていました。
そして、マイケルほどダンスがうまかった歌手もいません。
伝説のムーンウォークは、まさに人間を超えた存在を連想させました。
それらの超人的なパフォーマンスは、彼の衝撃的な死の直後に製作・公開された映画「THIS IS IT」に余すところなく収められています。
わたしは、この映画を劇場で3回、自宅でDVDを3回観ました。
何度観ても、本当に素晴らしい!
何が素晴らしいかって、50歳で死ぬ直前だったマイケルの動きの良さです。
世界中から集められた超一流のダンサーたちの中に入っても、なんとマイケルの動きが一番良いのには驚きとともに、感動すら覚えます。
マイケル・ジャクソンの映画といえば、初のミュージカル映画である「ムーンウォーカー」が好きでした。
この作品の中に出てくる「スムース・クリミナル」は最高だったですね。
体がそのまま斜めに前のめりになる光景に、誰もが驚いたのではないでしょうか。
曲としても、「スムース・クリミナル」はPOPなナンバーです。
聴いていて非常に気持ちの良い作品ですね。
それから、マイケルの映画といえば、忘れられない3D映画があります。
かつて、東京ディズニーランド(TDL)のアトラクションとして上演された「キャプテンEO」です。もちろんウォルト・ディズニー社が製作しました。
1980年代にアメリカと日本のディズニーランドで絶大な人気を誇りました。
わたしも大好きで、何度も観ました。いや、何度も体験しました。
わたしは、『遊びの神話』(PHP文庫)という著書で、「キャプテンEO」を20世紀大衆文化の頂点の一つとして、もう一つの頂点としての「パラード」と比較したことがあります。
「パラード」とは「サーカスの呼び込み」という意味ですが、1917年にパリのシャトレ座で上演されたバレエのタイトルです。
コクトーの台本、サティの音楽、ピカソの舞台装置、レオニード・マシーンの振付という、当時の超一流の才能が結集した夢のように贅沢な作品でした。
「パラード」が幕を開けたともいえる1920年代のパリの文化は、音楽においても、美術においても、演劇においても、映画においても、ファッションにおいても、フレッシュでブリリアントな時代でした。
そして、その20年代パリ文化と並ぶ、もう一つの20世紀大衆文化の頂点を、わたしは80年代のアメリカに見たのです。
そこには、まず「エンターテインメントの神」としてのウォルト・ディズニーがおり、そのディズニー文化の系譜に多くの才能が連なりました。
ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ、イリュージョ二ストのシークフリード&ロイ、画家のメラニー・ケント、そしてマイケル・ジャクソンなどです。
「キャプテンEO」は、まさにディズニー人脈が結集した奇跡の立体映画であり、その中心にいた人物こそマイケルだったのです。
なお、2010年7月、TDLに「キャプテンEO」が復活するそうです。
そして、最新映画「マイケル・ジャクソン キング・オブ・ポップの素顔」がいよいよ今日から全国公開されます。
「THIS IS IT」とはまた一味違ったマイケルの真実の物語。 観るのが、今からとても楽しみです。