No.0100


 ブログ「小倉昭和館」で紹介した名画座で、「屋根裏部屋のマリアたち」というフランス映画を観ました。併映作品は「The Lady ひき裂かれた愛」で、アウンサンスーチー女史の実録映画です。今回はスーチー映画を観ることが目的で、ついでに本作品を鑑賞したのですが、なかなか心温まる佳作でした。

 物語の舞台は、1960年代のパリです。株式仲買人のフランス人男性ジャン=ルイは、マリアというスペイン娘をメイドとして雇います。マリアは独裁者フランコが政権を握る祖国を離れ、パリに避難して来たのです。彼女は叔母たちと共にアパートの屋根裏部屋で共同生活を送っていましたが、同じアパートに住むジャン=ルイの家にメイドとして迎えられたのです。

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小倉昭和館で鑑賞しました


妻子あるジャン=ルイですが、魅力的なマリアに心奪われ、二人は禁断の恋に落ちます。といっても不倫ものにありがちなジメっとした暗さはなく、カラっと陽気に描かれたラブ・ストーリーとなっています。悩める中年男ジャン=ルイを「モリエール 恋こそ喜劇」のファブリス・ルキーニが演じ、メイドのマリアを「悪魔のリズム」のナタリア・ベルベケがメイドを好演しています。

 まあ、なんだかんだいっても中年男がメイドに手をつけたという下世話な話なので、そんなに深い感動を得たわけではありません。
 また、裕福な一家が住む豪華な部屋と貧しい人々が住む質素な部屋が同じアパート内にあるなど、なんだか設定に無理があるようにも思えました。
 ただし、パリの社交界に居心地の悪さを感じるジャン=ルイがスペイン人のメイドたちと心の交流をする部分は、とても優しい気分になれました。いわば地位や身分を超えて心が通い合うこの感じ、何かに似ていると思ったら、川端康成の『伊豆の踊子』だと気づきました。エリート予備軍である一高生が、旅芸人の一座と道連れになり、可憐な踊子に心惹かれる物語ですね。

 「屋根裏部屋のマリアたち」は、本国フランスで大ヒットを記録したとか。
 わたしが生まれる前年である1962年の物語ですが、きっとフランスの人々の心の琴線に触れる部分があるのでしょう。
 ちょうど同時代の日本を舞台にした「ALWAYS 三丁目の夕日」が"古き良き時代の東京"を描いているように、この「屋根裏部屋のマリアたち」には"古き良き時代のパリ"が描かれているのかもしれませんね。
 この映画、2010年の作品ですが、北九州では今回が初上映とのこと。
 たとえ1年でも2年でも遅れて構いませんから、このようなミニシアター系の作品を上映してくれることは嬉しいですね。あらためて小倉昭和館に感謝です。なお、この映画はDVDが発売されています。

  • 販売元:アルバトロス
  • 発売日:2013/01/09
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