No.0112
東京に来ています。数々の打ち合わせをこなしながら、いつものように合間を縫って北九州では観賞できない映画を観ようと思いました。ネットで驚異の高評価となっているインド映画の「きっと、うまくいく」です。そこで上映されている渋谷のココチビルに入っている「ヒューマントラストシネマ」に向かいました。
しかしながら、なんと、SOLD OUT! 満席とのことで、「きっと、うまくいく」を観ることはかないませんでした。う~、うまくいかんかった!(涙)
渋谷の新名所・ココチビル
その代わり、上映時間が近かった「ニューヨーク、恋人たちの2日間」という映画を観ました。正直言ってあまり観たい映画ではなかったのですが、ちょうど次の打ち合わせまでの空き時間にマッチしたので、チケットを買いました。ニューヨークにはもう10年以上も行っていないので、最新のNY事情を知ることができるのではないかと思いました。ここのところ、同業の互助会関係者たちがよくニューヨークを訪れているので、わたしも近々行ってみたいと思っているのです。
映画の公式HPの「INTRODUCTION」には、「『トリコロール/白の愛』『ビフォア・サンセット』などの主演作でおなじみのフランス人女優、ジュリー・デルビーが監督・脚本・主演の3役をこなし『ロマンティック・コメディ映画の新たな傑作!』と世界中の映画ファンから称賛された『パリ、恋人たちの2日間』(07)に、うれしい"続編"が誕生!!」というリード文に続いて、次のように書かれています。
「新たなストーリーの舞台となるのは、さまざまな人種の"るつぼ"と呼ばれる街、ニューヨーク。今回もまた、順調に交際中と思えたカップルに、思いがけない事件が次々に勃発する"トラブル続きの2日間"が訪れる。アメリカ人とフランス人の"カルチャーギャップ"や、ふだんは胸に隠している"男女それぞれの本音"を、ときにユーモラスに笑い飛ばし、ときにシャープにえぐり出していくデルピーの監督術は、今回も絶好調。彼女の私生活での経験を踏まえ、前作にはなかった"子育て"や"NYアート業界の暴露話"といった新テーマも加わり、ますますパワーアップしている。また、自らもニューヨーク在住経験のあるデルピー監督だからこそ描けた"等身大のニューヨーク"の姿も、本作の大きな魅力のひとつだ」
そう、この映画は続編だそうです。わたしは前作となる「パリ、恋人たちの2日間」を観ていないので、ストーリーがわからなくないのではと最初は思いましたが、そこは工夫がされていて、なんとか前作からの流れをつかめました。
ちなみに公式HPの「STORY」には次のように書かれています。
「フランス人写真家のマリオン(ジュリー・デルピー)は、以前付き合っていたジャック(アダム・ゴールドバーグ)と別れ、彼との間にもうけた一人息子を引きとって、現在はニューヨークのアパートで暮らしている。同居人は、新しいボーイフレンドで、ラジオDJとして活躍しているミンガス(クリス・ロック)と、その一人娘。国籍や人種の違いはあっても、お互いの仕事を理解し合った2人の関係は、誰の目からも"順調"に見えていた。ところが、そんなマリオンたちの幸せなニューヨーカー・ライフに、突然の"危機"が訪れる―パリに住んでいるマリオンの父親と妹とその恋人(ややこしいことに、マリオンの"元カレ"でもある!)が、彼女の個展を観るためにニューヨークを訪れ、アパートに2日間滞在することになったのだ。セックスや人種問題に関して"破天荒"な言動を繰り広げるマリオン一家のせいで、アパートの中は大混乱。良好だったはずのマリオンとミンガスの関係にまで、怪しい空気が流れはじめて・・・・・。やがて、トラブル続きの2日間が終わりを迎えるとき、2人の関係の行方は!?」
パリから来るマリオンの家族たちは、とにかくハチャメチャで、マリオンとミンガスは大いに困惑します。できれば自宅ではなく、ホテルに宿泊してほしいと願っているのですが、このあたりの心情の描き方は、わたしのブログ記事「東京家族」で紹介した日本映画を彷彿とさせました。そう、この映画は「ニューヨーク家族」という題名だったとしてもおかしくない内容なのです。
パリから来た家族は、マリオンとミンガスに迷惑をかけまくります。
わたしのブログ記事『無縁社会』にも書きましたが、わたしは基本的に「家族とは迷惑を掛け合うもの」だと思っています。すべては、「迷惑」をかけたくないがために、人間関係がどんどん希薄化し、社会の無縁化が進んでいるように思えてなりません。そもそも、家族とはお互いに迷惑をかけ合うものではないでしょうか。子どもが親の葬式をあげ、子孫が先祖の墓を守る。これは当たり前ではないですか。逆に言えば、葬式をあげたり墓を守ることによって、家族や親族の絆が強くなってゆくのではないでしょうか。わたしは本気でそう思います。
また、自分が飢え死にしそうなほど貧しくて、親や親戚が元気ならば、助けを求めるのは当然ではないですか。一体全体、どこが迷惑なのでしょうか。逆に、自殺したり、孤独死したりするほうが、よっぽど迷惑ではないでしょうか。
何か、日本人は「迷惑」ということを根本的に勘違いしているような気がしてなりません。行政も、孤独死に頭を悩ませるのなら、「迷惑防止条例」ばかり作らずに、「迷惑と考えること防止条例」でも作ったらよろしい。その意味で、迷惑をかけまくるマリオンの家族に一種の爽快感を覚えてしまいました。
正直言って感動したというほどの作品ではありませんが、縁あって観賞しましたので、いつか機会があれば前作の「パリ、恋人たちの2日間」も観てみてもいいかなと思います。もともと観る気のなかった映画のせいでしょうか、なんとなく、ゆる~い感想になってしまいました。すまん。