No.0108
映画「ダークスカイズ」を観ました。
ある家の中で人智を超えた怪現象が立て続けに起こります。
その怪現象に悩まされる家族の恐怖と絆を描いたホラーです。
主人公のダニエルは、不況のあおりを受けて失業中。心ならずも、不動産仲介業をしている妻レイシーの稼ぎを頼りに生活しています。夫妻には、思春期の長男ジェシーと次男のサムの2人の息子がいました。ある日、レイシーが耳鳴りに悩まされるようになり、真夜中に家の中に異様な気配を感じるようになります。それを機に、家族が怪異現象にさらされるようになり、それぞれが精神的に追い詰められて家族の心はバラバラになっていきます。家の中が荒らされていたことから不審者の仕業だと推測し、ダニエルは6台もの監視カメラを設置します。すると、そこには信じられないような存在が映り込んでいました。
「J.エドガー」のジョシュ・ハミルトンが夫ダニエルを、「M:i:III」のケリー・ラッセルが妻レイシーを演じます。連続する絶叫シーンもですが、家族の絆を描いたドラマも見応えがあります。この映画では、「パラノーマル・アクティビティ」や「インシディアス」を手がけたプロデューサーのジェイソン・ブラムが製作を務め、「レギオン」「プリースト」のスコット・スチュワートが監督・脚本を担当しています。
「パラノーマル・アクティビティ」と「インシディアス」といえば、家の中で起こる怪異現象がテーマですが、同様のテーマでありながら、この「ダークスカイズ」には前の2作が取り上げた「心霊」ではなく、あるジャンルの恐怖が描かれています。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、まあ、マイケル・ナイト・シャマランの「サイン」に通じる内容とだけ言っておきましょうか・・・・・。
この映画の冒頭には、「この広大な宇宙には、われわれの他にも誰かいるのか。それとも、われわれだけしかいないのか。いずれにしても恐怖である」というSFの巨匠・アーサー・C・クラークの言葉が紹介されます。
こんな言葉を最初から登場させてしまっては話のオチがわかるのではないかと心配になりますが、本当にそのままのオチで少し驚きました。
まさに「サイン」そのものの世界なのですが、ホラーの名作「シックス・センス」を世に送り出したナイト・シャマランといい、低予算ながら世界中のホラー・ファンを震え上がらせたジェイソン・ブラムといい、いずれも「心霊」のジャンルにおいて素晴らしい傑作を生み出したのに、もう1つのジャンルでは残念な結果に終わってしまったように思います。ほんとに残念・・・・・。
この手のストーリーは、すでに「X-FILE」で描かれています。しかし、この映画では「X-FILE」へのオマージュと見られこそすれ、それを超えるアイデアは見られませんでしたね。ただし、「家族の絆を強めることが一番の解決策」というのは新しいアイデアでもあり、非常に共感できるメッセージでもありました。