日比谷の「TOHOシネマズみゆき座」で、映画「パッション」のレイトショーを観ました。

 ブライアン・デ・パルマ監督が、キャリアや異性をめぐる女と女のいさかいをエロチックに描くサスペンススリラーです。じつはリメイク作品で、オリジナルは2010年に日本で公開された「ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて」です。フランスのアラン・コルノー監督、リュディビーヌ・サニエ&クリスティン・スコット・トーマス主演で女同士の嫉妬や殺意を描いた映画でした。
 それをリメイクした「パッション」には、「きみに読む物語」などのレイチェル・マクアダムスと「ミレニアム」シリーズなどのノオミ・ラパスが出演しています。

 舞台は、ベルリンの広告代理店。野心的な女性クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)は、広告会社の重役にまで出世を果たします。そんな彼女を、アシスタントのイザベル(ノオミ・ラパス)は、羨望のまなざしで見つめていました。しかし、イザベルは狡猾なクリスティーンからアイデアを横取りされたばかりか、クリスティーンの計らいのより最愛の恋人にも裏切られてしまいます。絶望に陥ったイザベルは、クリスティーンへの殺意を抱くようになります。この先は、ストーリーが二転三転しますので、ちょっとでも触れるとネタバレになってしまいます。

 ブライアン・デ・パルマ監督といえば、フィルムスクールの出身者として知られています。いわゆる「ニューハリウッド世代」の代表的な映画監督の1人です。
 これまで、「悪魔のシスター」(1973年)、「ファントム・オブ・パラダイス」(1974)、「愛のメモリー」(1976)、「キャリー」(1976)、「フューリー」(1978)、「殺しのドレス」(1980)、「ミッドナイトクロス」(1981)、「スカーフェイス」(1983)、「アンタッチャブル」(1987)、「レイジング・ケイン」(1992)、「カリートの道」(1993)、「ミッション・インポッシブル」(1996)、「スネーク・アイズ」(1997)、「ミッション・トゥ・マーズ」(2000)、「ファム・ファタール」(2002)、「ブラック・ダリア」(2004)、「リダクテッド 真実の価値」(2007)といった数々の話題作を手掛けています。特に「悪魔のシスター」「キャリー」「フューリー」などはホラー映画の名作として名高いですね。

 デ・パルマの作品は出来不出来が激しいと評価されていますが、さまざまなジャンルの映画に挑戦していることは事実です。代表作と呼ばれるものの多くはサイコスリラーとアクション映画です。また、暴力描写はしばしば観客や評論家の非難の的となり、論争を繰り広げてきました。
 デ・パルマは、アルフレッド・ヒッチコックに強い影響を受けていることで知られ、作品にはヒッチコック映画を模したシーンが散見されます。
 最もヒッチコック的な彼の映画は「殺しのドレス」と「ファム・ファタール」でしょう。この2本の映画は、「パッション」にも面影を残しています。

 「パッション」には、3人の女性が登場しますが、それぞれが実に個性的です。
 というか、3人とも出世欲と性欲の強い女性です。彼女たちの絡みがこの映画の1つの見所なのですが、わたしは観ているうちに疲れてしまい、「なんだかなあ・・・」と思ってしまいました。でも、この映画が退屈なわけではありません。
 それなりにハラハラドキドキする面白い映画です。

 映画評論家の芝山幹郎氏は、「映画com.」で次のように述べています。

「面白いのは、妄執に近い監督の確信だ。正直なところ、『パッション』はスリラーとしてそんなによくできているわけではないし、型破りのエロスが発露されるわけでもない。にもかかわらず、この映画には愛嬌がある。よくもまあ、と感心したくなる愚直さで悪夢に迫っている。愚直な悪夢だなんて形容矛盾もはなはだしいが、デ・パルマ好きならきっとその矛盾を楽しむことができるはずだ」


 わたしは、この芝山氏のコメントに基本的に賛成です。

 「パッション」を観終わって、わたしが思ったことは「女は怖いなあ」ということと「やっぱり、女の敵は女だなあ」ということでした。
 そういえば、日本映画「ルームメート」が公開中ですが、これも「女の怖さ」を存分に描いている作品だそうです。北川景子も深田恭子もけっこう好きなわたしですが、世界的に「女は怖い」わけですね。くわばら、くわばら・・・・・。

  • 販売元:ポニーキャニオン
  • 発売日:2016/03/16
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