新宿ピカデリーで「死霊館」を観ました。1973年、全世界を席巻したホラー映画の金字塔「エクソシスト」から40年を迎えた2013年。いま、新たなる伝説の幕が開いたと大評判の作品です。7月19日に全米公開され、見事に初登場No.1の大ヒットを記録しています。

 これほどの話題作が北九州では観賞できないのが悲しいですね。
 ところが、東京でも新宿と立川だけの上映となっています。なぜ?
 しかも連日、Yahoo!映画のトップページに高得点で紹介されているにもかかわらず、劇場に人は少なかったです。なぜ?
 やっぱり、台風のせいでしょうか? それとも、怖すぎると思われたから?

 公式HPの「INTRODUCTION」には、次のように書かれています。


「40年もの間、関係者全員が口を閉ざし続けた、ある<実話>
 今、『ソウ』の監督が<門外不出の恐怖>を解き放つ―!
 私たちが暮らすこの世界では、日々科学が進歩しているが、それでも不可解な超常現象が姿を消すことはない。アメリカには数多くの心霊研究家が実在するが、なかでも1960年代から活躍を始めたウォーレン夫妻は、数々の心霊現象を解決し、その名を馳せてきた。ふだん夫妻のもとに寄せられる数多くの"事件"は、実はその大半が科学的に解明できるもので、彼らもそれをありのままに報告している。そんな夫妻が100%本物と認め、あまりにも邪悪すぎるために、40年以上もの間、極秘にしてきた事件がひとつだけある」

 続いて、「INTRODUCTION」には次のように書かれています。


「映画史上最も恐れを知らない男、『ソウ』『インシディアス』のジェームズ・ワン監督が、その実話を発掘。"真実の恐怖"に人間がどこまで耐えられるかを実験するかのような、凶暴なまでの衝撃作を完成させた。
 1971年、アメリカ、ローズアイランド州。両親と5人の娘たちが、人里離れた地に引っ越して来た。辺りに何もない古ぼけた一軒家だが、中は館のように広く、家族にとっては夢のマイホームだ。
 しかし、その館で次々と奇妙な出来事が起こり始める―。
 家に入ることを拒んだ愛犬の突然の死。
 何度ネジを巻いても、3時7分に止まる家中の時計。
 母親の身体に浮かぶ、覚えのないアザ。
 誰もいない空間に語りかける、幼い末っ子。
 いつの間にか、ひとり増えている隠れんぼ。
 真っ暗の地下室から聞こえる、手を叩く音。
 家に体当たりして、自殺する鳥。
 ―遂に娘たちに危害が及び始め、一家はウォーレン夫妻に助けを求める」

 さらに、「INTRODUCTION」には次のように書かれています。


「夫妻が周辺の土地を調べると、そこには耳を疑う血と闇の歴史があった。家族を救おうと立ち上がる夫妻を迎え討つ凄絶な力が、彼らの娘にも魔の手を伸ばす。果たして、館に巣食うものの正体とは―?
 ウォーレン夫妻には、『プロメテウス』のパトリック・ウィルソンと『エスター』のヴェラ・ファーミガ。"死霊館"を買ってしまった夫婦には、『きみがぼくを見つけた日』のロン・リヴィングストンと『パブリック・エネミーズ』のリリ・テイラー。撮影、音楽、編集には『インシディアス』のチームが再び集まり、視覚から始まり、聴覚も震えあがる恐怖で、観る者の肉体と精神を犯していく。
 もう一度、繰り返す。『これは実話だ。』心を打ち砕くその真実を受け止められる者だけ、スクリーンの前に集まれ──!」

 また、公式HPの「STORY」には、次のように書かれています。


「何ものかに操られた人形が、若い看護師たちに危害を加えた心霊現象『アナベル事件』(1968年)を解決したことをきっかけに、エド(パトリック・ウィルソン)とロレイン(ヴェラ・ファーミガ)のウォーレン夫妻は一躍有名になる。エドはカトリック教会が唯一公認した悪魔研究家で、ロレインには透視能力があったが、彼らは撮影や録音なども駆使し、科学的見地を取り入れた調査を行っていた。どんなケースもすべて研究結果として公表していた彼らが、誰にも語らなかった事件がひとつだけある―」

「時は1971年、ロードアイランド州ハリスヴィル。野中にポツンと建つ古びた一軒家に、ロジャー(ロン・リヴィングストン)とキャロリン(リリ・テイラー)のペロン夫妻と5人の娘たちが引っ越して来る。一家は新しい生活に胸を躍らせていたが、なぜか愛犬のセイディーは決して家に入ろうとしない。
 翌朝から、様々な異変が一家を襲う。室内は外よりも寒く、死臭のような臭いが漂っている。なぜか家中の時計が全て3時7分で止まり、キャロリンの身体に原因不明の痣ができる。しかし、何よりも家族にショックを与えたのは、セイディーの変わり果てた姿だった。
 夜になると、寝ている間に脚を引っ張られた、何かがドアの陰にいると口々に訴える娘たち。娘の一人は、その何かに『この一家を皆殺しにする』と囁かれたと心の底から脅えている。別の夜、誰もいないはずの地下室から物音が聞こえ、様子を見に行ったキャロリンが、暗闇の中に閉じ込められてしまう。間違いない。この館のように広い家には、確実に"何か"がいる」

「マサチューセッツのウエスタン大学で、憑依現象について報告するウォーレン夫妻。話を聞きに来たキャロリンは、講義を終えた夫妻に『私の家は呪われている。お願いだから見に来て』と懇願する。ペロン家を訪ねたウォーレン夫妻は、まずはキャロリンの証言を録音するが、帰宅して再生すると、彼女の声だけが消えていた。夫妻が家の由来を調べると、不気味な事実が現れる。1863年、家を建てた男の妻が、生後7日目の自分の子どもを殺害していた。それも信じ難い、ある目的のために―。
 ウォーレン夫妻は、家中にカメラと録音機を取り付け、泊まり込みの調査を始める。それを嘲笑うかのように、反撃を開始する館。やがて遠く離れたウォーレン夫妻の一人娘にまで危害が及ぼうとするのだが、それはまだ家族の絆を無残に引き裂く、凄絶な闘いの始まりに過ぎなかった―。
残に引き裂く、凄絶な闘いの始まりに過ぎなかった―」

 この映画の監督は「SAW」シリーズで世界中を震撼させた鬼才ジェームズ・ワンです。彼は2011年にも「インシディアス」で心霊現象が起こる屋敷の映画を作っていますが、こちらもなかなかの傑作でした。
 実在するゴーストハンター夫妻を演じるのは「インシディアス」のパトリック・ウィルソンと「マイレージ、マイライフ」のヴェラ・ファーミガです。邪悪なるものに襲われる一家の夫婦を『長距離恋愛 彼女の決断』のロン・リビングストン¬『酔いどれ詩人になる前に』のリリ・テイラーとが演じています。

 この「死霊館」、「死霊」というだけあって、死者の霊の呪いかと思いきや、「エクソシスト」ばりの悪魔憑きの要素もあるので、なかなか一筋縄ではいきません。イメージ的には、ともに1973年に作られた伝説の名作である「エクソシスト」と「ヘルハウス」を足して2で割ったような感じでしょうか。
 その後、ホラー映画史には「悪魔の棲む家」も登場しますが、どちらかというと、「死霊館」はその雰囲気が「悪魔の棲む家」によく似ています。

 映画「悪魔の棲む家」は、アミティヴィル事件という実際の事件がモデルになっています。1074年にロングアイランドのアミティヴィルで奇怪な超常現象が起きたとされています。これを題材にしたジェイ・アンソン著のベストセラー『アミティヴィルの恐怖』を映画化したのが、1979年に作られた「悪魔の棲む家」です。ちなみに、ウォーレン夫妻はこの「死霊館」のモデルとなったペロン家事件を解決した後、アミティヴィル事件を担当しています。

 正直言って、映画そのものはそんなに怖く感じなかったのですが、実話がモデルとあって興味深い点は多かったです。
 まず、ウォーレン夫妻の存在そのものが興味深いですね。
 彼らは、自宅に呪いの品を集めた「オカルト博物館」を作っていました!
 また実際に、こんな夫妻がゴーストハンターとして活躍したなんて、なんだか嬉しくなってきます。というのも、わたしは心霊ホラー映画を観るたびに、「こんな幽霊、オレが退治してやるのに」とよく思うからです。
 退治というよりは成仏させるお手伝いをしたいのです。
 それも1人ではなくて、頼りになる兄貴分のパートナーが欲しい。
 パートナー候補は、鎌田東二さんと矢作直樹さんですね。(笑)

 また、アメリカ社会における教会の役割とか神父の存在といったものも興味深かったです。アメリカはプロテスタントの国ですが、プロテスタントの祖であるルターは悪魔の存在を信じていたことで知られています。
 バチカンにはエクソシストの養成所がありますし、悪魔の存在を認めているという点では、カトリックもプロテスタントも共通しています。
 アメリカでは多くの心霊事件が起こっているそうですが、そのすべての発端は1848年の「ハイズビル事件」です。フォックス姉妹が霊媒として死者と交信したという事件ですが、これがきっかけで世界中に心霊ブームが巻き起こり、近代スピリチュアリズムが始まったとされています。その真相には諸説あるものの心霊の歴史を振り返ったとき、最大の事件であることは間違いありません。
 ぜひ、いつの日か、ハリウッドで「ハイズビル」あるいは「フォックス・シスターズ」という映画を作ってほしいと思います。きっと、ヒットするでしょう。

 最後に一言。この映画、「死霊館」という邦題がどうしようもなくダサい!
 原題は「THE CONJURING」で「まじない」といった意味ですが、映画のタイトルはそのまま「コンジュリング」で良かったのではないでしょうか。
 あの「エクソシスト」だって「悪魔祓い」などといった邦題になっていたら台無しだったでしょう。「死霊館」よりも「コンジュリング」のほうがずっといいと思います。映画を観終えて、わたしは新宿ピカデリーを後にしました。
 勢いを増す一方の暴風雨の中、命からがらホテルまで帰りました。

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暴風雨の中、新宿ピカデリーを後にしました

  • 販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日:2014/11/05
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