No.0130


 15日に公開されたばかりの映画「悪の法則」をレイトショーで観ました。
 それほど観たいというわけではなかったのですが、わたしもダテに「法則王」などと呼ばれているわけではないので、「法則」という名に敏感なのです。(苦笑)
 わたしの知らない法則がこの世に存在するなんて許せません!(笑)

 この映画、なにかとゴージャスです。まずは、監督が「ブレードランナー」「ブラックホーク・ダウン」「プロメテウス」などの巨匠リドリー・スコット。出演する俳優陣も、マイケル・ファスベンダーにブラッド・ピット、ペネロペ・クルスにキャメロン・ディアスにハビエル・バルデムと、超豪華!
 彼らが演じる登場人物たちが、息詰まるような心理サスペンスを展開します。

 物語の舞台は、メキシコ国境付近の町。ここで弁護士をしている男(マイケル・ファスベンダー)は、通称「カウンセラー」と呼ばれます。
 美しい恋人ローラ(ペネロペ・クルス)との結婚も決まり、人生の絶頂期にあったカウンセラーは、巨額の利益を得るばく麻薬ビジネスに手を染めます。
 実業家のライナー(ハビエル・バルデム)と手を組み、裏社会のブローカー、ウェストリー(ブラッド・ピット)も交えて新ビジネスに着手したカウンセラーでしたが、思わぬ不測の事態が発生して、彼は組織から命を狙われるのでした。

 正直言って、わたしはあまりこの映画が好きではありません。
 というより、最初から最後まで面白いと感じなかったですね。
 脂が乗りすぎたキャメロン・ディアスや、なんとなく地味になったペネロペ・クロスともに、以前のようには魅力的に感じられませんでした。
 ブラピも、今回に限っては、まったくカッコいいと思えませんでしたね。

 テーマそのものも関心を引かず、わたしには「麻薬ビジネスに群がるビッチどもの映画ね」という認識ぐらいしかないのですが、タイトルの「悪の法則」というのもピンときませんでした。原題は「The Counselor」(カウンセラー)で、「法則」という言葉は邦訳でつけられたものです。
 では、まったく法則とは無縁かというと、そうでもありません。
 この映画も、やはり一種の法則映画には間違いないと思いました。

 主人公のカウンセラーは、非常に欲深い人間です。
 弁護士として、社会的地位も収入も恵まれており、美しい恋人と婚約したにもかかわらず、さらに巨額の金を得るために麻薬ビジネスにまで手を出します。
 ここまで欲深くなると、宇宙に存在する「法則」が作動してしまいます。
 それは、強欲な人間を不幸に陥れてしまう「黒魔術」の法則です。

 拙著『法則の法則』(三五館)に書いたように、個人の願望を現実のものにする「引き寄せの法則」の本質とは、魔術です。
 魔術とは何かというと、人間の意識つまり心のエネルギーを活用して、現実の世界に変化を及ぼすことです。そして、魔術には二種類あります。心のエネルギーを邪悪な方向に向ける「黒魔術」と、善良な方向に向ける「白魔術」です。そして、「黒魔術」で使われる心のエネルギーは「呪い」と呼ばれ、「白魔術」で使われる心のエネルギーは「祈り」と呼ばれます。
 「引き寄せの法則」で使われる心のエネルギーは、「呪い」に近いものです。
 なぜなら、それは自らの現状を否定し、宇宙に呪いをかける行為だからです。

 思いが強ければ強いほど、つまり「これをどうしても実現したい」「これをどうしても手に入れたい」「どうしても思いどおりにしたい」と思う心が強ければ強いほど、実は「いま自分が置かれている状況が気に入らない」ということである。ということは、その状況を用意している宇宙や神に対して「あんた方のやっていることが気に入らないんだ」と宣戦布告しているようなものなのです。
 その結果、強欲な人間は必ず宇宙からしっぺ返しを食らうことになります。

 この「悪の法則」では、欲望に駆られて裏社会のビジネスに手を出した弁護士とその仲間たちが次々と不幸な目に遭っていくわけですが、それは「自業自得」という部分が大きいのではないでしょうか。不幸になる者は、自らその道を選択している。この映画、「悪の法則」というよりも「不幸の法則」といった感じですね。
 それから、彼らと組織をめぐる心理戦のくだりは、それなりに興味深かったです。
 新刊の『即効!ビジネス心理法則』(実業之日本社)を読んでいただければ、またこの映画が面白く観賞できるかもしれません。
 この本、姉妹本の『即効!ビジネス成功法則』ともども、17日付の「朝日新聞」朝刊(全国版)に広告が掲載されます。ぜひ、ご一読下さい!

  • 販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日:2014/04/02
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