No.0169
いつの間にか、12月です。なんだか信じられません。
11月最後の日曜日となる30日の小倉は雨でした。
所要があって繁華街の魚町に出掛け、その後、少し時間があったので、「何か映画でも観るか」と、Tジョイリバーウォーク北九州に寄りました。特に観たい映画はなかったのですが、時間的に日本映画「寄生獣」、アニメ映画「進撃の巨人(前編)紅蓮の弓矢」が鑑賞可能でした。どちらも大ヒットしたSFアニメが原作ですが、前編だけの作品よりも完結した作品のほうがいいので、わたしは「寄生獣」のチケットを買いました。
公式HPの「INTRODUCTION」には、「世界にマンガを知らしめた伝説の大傑作ついに映画化!」として、以下のように書かれています。
「監督・VFXは2013年公開実写映画NO.1ヒット作『永遠の0』の山崎貴。脚本は『ALWAYS 三丁目の夕日』『リーガルハイ』の古沢良太。撮影は『告白』ほか中島哲也監督作で手腕をふるう阿蘇正一。美術は三池祟史監督作『クローズZERO』『悪の教典』を手がけた林田裕至。キャラクタービジュアルディレクターには『龍馬伝』『進撃の巨人』の柘植伊佐夫。音楽は『海猿』『永遠のO』の佐藤直紀。日本最高の技術を持つ超一流の職人達と超豪華キャスト陣が一同に会して『寄生獣』の映像世界を作り上げる!」
また公式HPの「STORY」には、「人間が食物連鎖の頂点に立つ時代は、突然、終わった」「人間に寄生し、人間に擬態し、人間を捕食する新種の寄生生物「パラサイト」が出現!高校生・泉新一と、彼の右手に寄生した"ミギー"の、奇妙な友情と戦いの物語が始まる」として、以下に続きます。
「普通な高校生・泉新一は、未知の生物に右手を食われた。地球の生態系に突然現れたこの生物は通称・パラサイト、なんと人間を食料とする新種の寄生生物~人間の脳を食い、その人間の身体に寄生する知的生物~だった。新一を襲ったパラサイトは、脳を奪うのに失敗し、右手に寄生してしまった。動揺する新一をよそに、右手は人間の言語や文化を学び、自らをミギーと名乗り、新一に共同生活を持ちかけてきた。お互いが生き続けるためには、他に選択肢はない。勘の鋭い同級生・村野里美に怪しまれながらも、なんとかいつも通りの日常を過ごそうとする新一。しかし、教師として赴任してきたパラサイト・田宮良子にその正体を見破られてしまう。街中に潜み人間を喰らうパラサイト達との戦いを余儀なくされた新一とミギー。
パラサイト達が一大ネットワークを形成しつつある中、 人間達もパラサイトへの反撃を始めようとしていた。
地球に生存を許される種は、人間か? パラサイトか?」
わたしはSF映画というのは基本的に好きなのですが、やはり日本の作品はハリウッドで製作された超大作に比べて見劣りがします。わたしのブログ記事「インターステラ―」で紹介した映画を最近観ましたが、全然スケールの大きさと迫力が違いました。日本映画のほうがハリウッドよりも優れているのは「SF」よりも「ホラー」です。まさに「Jホラー」は世界の最先端を行っているというか、日本人の心性にマッチした恐怖を提供してくれます。その意味で、「寄生獣」にはSFだけでなくホラーの要素もあり、そこの部分は良かったです。
わたしは、SF映画とは「哲学映画」でもあると思っています。
「2001年宇宙の旅」や「インターステラ―」といった作品はまさに「宇宙とは何か」「時間とは何か」といった問題意識を含んでいました。
この「寄生獣」も「人間とは何か」「生物種とは何か」といった問題について観客に問う内容でした。このテーマで多くのSF映画が作られてきましたが、わたしが好きなのはニコール・キッドマンが主演した「インベージョン」です。何ものかに身体を乗っ取られるというのは、根源的な恐怖を伴います。心霊における「憑依」も同じことですが・・・・・・。
「寄生獣」では、興味深いシーンもありました。新一の右手に宿ったばかりのミギーが猛烈な勢いで学習する場面です。主に書籍やインターネットで知識を得ていくのですが、新一の通う高校では、剣道と弓道の練習を観て、ミギーは強い関心を覚えます。即座に武道の本質を「殺し合いの技術をスポーツ化したもの」ととらえたミギーは、剣道が接近戦であり、弓道が遠隔戦の技術であることを見抜きます。このあたりの発見が後々のストーリーにも反映してくるのですが、何でも「なぜ?」「どうして?」と関心を抱くミギーの問題意識はまさに「学習」の本質であると思いました。
じつは、『こころのふしぎ なぜ?どうして?』村山哲哉監修(高橋書店)にインスピレーションを得て、子どもに倫理や道徳をわかりやすく教える児童書を書きたいと思っています。現在、某大手出版社と交渉しています。
『こころの学校』とか『こころの教室』といったタイトルをイメージしていますが、この本の内容を考える上でもミギーの問題意識は参考になりました。
その児童書では、子ども向けに基本的なマナーの意味なども書くつもりですが、この日の映画館でわたしの隣の席に座った女子中学生とおぼしき2人組の1人は、わたしの前を通る際にわたしの足を蹴ったにも関わらず「すみません」の一言もありませんでした。わたしにも同じ年頃の娘がいるので「何か言うことはないの?」と教えてあげようとしましたが、怖がらせてもいけないので放っておきました。
それよりも、わたしと同じ最後列にいた(たぶん)男性は映画の間、ずっとスマホの灯りをつけていたので、非常に不愉快でした。というか、どうも上映中の映画を動画撮影しているようだったので、外に出て行ってスタッフに注意しました。それでも、映画が終わるまでずっとそのままで、彼はそのまま撮影を続けている様子でした。わたしの近くなら「おい、何をやっているんだ?」と外に連れ出してやったのですが、わたしと彼との間には10人ぐらいの人(くだんの女子中学生2人組も)がいたのです。
この映画館には、どうもアルバイトの学生だけで、大人の責任者がいないような感じでしたね。ですので、映画が終わって、わたしが劇場を出るところに何人ものスタッフがたむろしていてヒソヒソ相談していました。
わたしが「どうして、撮影している人をそのままにしておくの?」と言ったところ、みんな困ったような顔をして、「その人の特徴とかは?」などと訊くので、「暗いし離れているから、特徴なんかわからないよ」と言い、それでも座席の位置を教えてやりました。でも、スタッフたちは一向に行動に移さないので、わたしも馬鹿らしくなって帰りました。
いったい、「NO MORE 映画泥棒」の精神はどこに行ったのでしょうか? 劇場内CMでは「不審な行動を見かけたら、劇場内のスタッフまでお知らせ下さい」と訴えているではないですか!(怒)
というか、日本中の映画館は若いバイトばかりなので、映画泥棒を捕まえる勇気のあるスタッフなどいないのかもしれませんね。わたしも「小倉生まれの玄海育ち」ですし、帰りに待ち伏せして個人的に厳重注意をしようかとも思いましたが、そこまで暇ではありません。とにかくマナーの悪い客が多いので、もう北九州では映画を観たくなくなりました。
ちなみに「寄生獣」は、北九州ロケで撮影されたとか。