No.0177


 ディズニー・アニメ映画「ベイマックス」をTOHOシネマズ有楽座で観ました。なにしろ、この映画のキャッチコピーは「泣きたい時は、泣いてもいいんですよ」なのです。ちょうど長女に会う用事があったので、一緒に誘いました。父娘での映画鑑賞は、ずいぶん久しぶりです(*´I`*)

 「映画公式HP」の「作品情報」には「『アナと雪の女王』のディズニー映画最新作 『ベイマックス』がこの冬、日本中を限りない優しさと感動で包む込む」というリードに続いて、以下のように書かれています。

「かけがえのない大切な人を失った時、ぽっかりと胸にあいた穴はどう治せばよいのだろうか。最愛の兄を失い心に深い傷を負った14歳のヒロの前に現れたのは、何があっても彼を守ろうとする一途な<ケア・ロボット>ベイマックスだった。日本とサンフランシスコからインスピレーションを得た架空都市サンフランソウキョウを舞台に、壮大なスケールで描かれる二人の絆の物語は問いかける―「優しさで世界を救えるか?」と。素晴らしい奇跡が起こるその瞬間を、ぜひ大切な人と一緒に・・・・・・。ディズニー史上いまだかつてない優しすぎるロボットと少年ヒロの絆を描いた感動のアドベンチャー『ベイマックス』が、日本中を限りない優しさと感動で包み込む」

 また、「映画公式HP」の「作品情報」には、「ケアロボット "ベイマックス"5つの特徴」として以下のように書かれています。

1. つぶらな瞳の丸い顔は〔日本の鈴〕からインスパイア!
2. ロボットなのに、風船みたいに丸く膨らむ〔柔らかボディ〕
3. 大きなおなかで、ペンギンみたいな〔よちよち動き〕
4. 戦闘力も戦闘意識もゼロの〔純粋無垢で優し過ぎる〕性格
5. 傷ついた人の〔心とカラダを守る〕ことをプログラムされている

 この映画はネットなどで非常に高い評価を得ています。
 たしかに面白い映画でした。ハラハラドキドキ、スリルに溢れた作品です。
 でも、わたしは「ケア」というテーマ、それも「グリーフケア」をどのように描くかということに関心を抱いていたのですが、正直言って、それは全体のごく一部に過ぎず、基本的には手に汗握る冒険活劇映画でした。それと、科学オタクたちが繰り広げる脅威のテクノロジーの世界が純粋に楽しめました。

 じつは、この映画に長女を誘ったのはある理由がありました。娘の小学校時代にお世話になった先生が最近お亡くなりになられたことを知り、悲しんでいたからです。「ベイマックス」も、兄を亡くした弟の悲しみをケアロボットが癒すというストーリーだと知っていましたので、そこを期待しました。
 でも、そこで、まったく思いもしなかった事態が起きたのです。

 「ベイマックス」と同時上映の短編「愛犬とごちそう」を観て、わたしが今は亡き愛犬ハリーを思い出し、久々に大きな悲しみに襲われました。「愛犬とごちそう」では、フライドポテトにはじまり、ハムエッグとかピザとか生クリームのたっぷり入ったケーキとか、ありとあらゆる御馳走を愛犬に与える描写があります。この作品では、それをペットに対する愛情として表現しているようですが、わたしの見方は違いました。そんな高カロリーのものばかり食べさせていたら、愛犬はたちまち病気になってしまいます。長生きできません。じつは、わたしは生前のハリーに、ビーフジャーキーなどの今から考えればあまり犬にとって良くないものを与えてきました。そのことを突如として思いだし、「ああ、自分があんな食べ物を与えなければ、ハリーはもっと長生きしたかもしれない」と考えると、たまらず涙が出てきたのです。

 「愛犬とごちそう」の後は「ベイマックス」本編を観て、気分は少しは晴れました。そのとき、わたしは「愛犬とごちそう」と「ベイマックス」はセットでグリーフケア映画になっているのかもしれないと思いました。「ベイマックス」は、ストーリーが命の作品です。詳しいことはネタバレになるので書けませんが、ある存在が復活するという感動の場面がラストです。わたしは、そのラストシーンを観ながら、「ああ、ハリーにもう一度会いたいなあ」と思いました。わたしの隣で観ていた長女は、どのように感じたのでしょうか?

 最後に、ケアロボットとしてのベイマックスの造形は良く出来ていると思いました。日本の鈴をイメージしたという顔もそうですが、何よりもその丸っこい体つきが「癒し」につながります。スノーマン、となりのトトロなどにも似たその巨体は観る者の心を優しくしてくれます。そして、マシュマロのような肌ざわりでのハグ・・・・・・。ケアという行為にとってハグが重要であることは言うまでもありません。この映画では、数多くのハグが出てきますが、ロボットであるベイマックスよりも、キュートなヒロのおばさんのハグに、わたしは最も愛を感じました。ケアの核心部分は、やはりロボットではなく、生身の人間が担うものだと思います。

  • 販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日:2015/04/24
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