No.0191
大ヒット中の日本映画「新宿スワン」を観ました。
ベストセラーを誇る和久井健の漫画を実写化したドラマで、園子音監督作品です。わたしは園監督のファンなので、テーマにはあまり関心がなかったものの、ブログ「おかあさんの木」で紹介した戦後70年記念の感動映画に続いて、「Tジョイリバーウォーク北九州」で鑑賞しました。
ヤフー映画の「解説」には以下のように書かれています。
「ベストセラーを誇る和久井健の漫画を実写化したドラマ。新宿の歌舞伎町を舞台に、スカウトマンの青年がさまざまな女性を水商売、風俗、AVといった世界へと送り出しながら奔走する姿を追う。監督は『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』などの園子温。『そこのみにて光輝く』などの綾野剛、『闇金ウシジマくん』シリーズなどの山田孝之、『ヘルタースケルター』などの沢尻エリカ、『あしたのジョー』などの伊勢谷友介と豪華な面々が結集。彼らが織り成す濃密な展開に加え、園監督ならではの鮮烈なタッチにも注目」
また、ヤフー映画の「あらすじ」には以下のように書かれています。
「一文なしだが野心だけは人一倍ある白鳥龍彦(綾野剛)は、新宿・歌舞伎町に乗り込んで一旗揚げようと決意する。ひょんなことから彼は、名の知れたスカウトマンとして数々の伝説を持つ真虎(伊勢谷友介)に誘われてスカウト会社バーストの社員に。歌舞伎町をゆく女性たちに声を掛けては、水商売、風俗、AVの仕事をあっせんし、その紹介料をつかんでいく龍彦。さまざまな人物や出来事と対峙(たいじ)しながら、彼はスカウトマンとして、一人の人間として大きく成長していく」
この映画、公開後かなりの時間が経過しているにもかかわらず、劇場内はほぼ満員でした。なぜか金髪の若者が多かったですね。直前に同じ劇場で観た「おかあさんの木」は高齢者のお客さんばかりだったので、わたしは「同じ日本映画でも、ずいぶん客層が違うなあ」と思いました。
「新宿のスカウトマンたちの生き様を描く」と言われても、正直まったくピンときません。「あっしには関わり合いのねえこってござんす」と木枯らし紋次郎みたいにニヒルに言いたくなりますが、いやいや、なかなか面白かったです。特に、主役の白鳥龍彦を演じた綾野剛。じつは、わたしは彼の演技を初めて見たのですが、すごく才能ある役者さんでした。けっして共演の伊勢谷友介や山田孝之みたいにイケメンではありませんが、存在感がある。
それから、なによりも沢尻エリカの演技が素晴らしかったです。
シャブ中の風俗嬢という、これまでの彼女の生き方を考えたらデンジャラスな役を受けた女優魂には心からの敬意を表します。
やはり、沢尻エリカは「日本映画界の宝」です。ほんとに!
山田孝之との絡みは、2人が共演した東野圭吾原作の名作「手紙」を思い出してしまいました。あの頃の彼女は本当に可愛かった!
園監督の躍動感は相変わらず素晴らしく、近未来のトーキョーを舞台にストリートギャングたちが大暴れする「TOKYO TRIBE」を彷彿とさせました。
そういえば、どちらも人気コミックが原作ですね。ブログ「ヒミズ」で紹介した映画も古谷実の傑作コミックを映画化したものでした。
園子音の映画とコミックは相性がいいのでしょうか?
ブログ「地獄でなぜ悪い」で紹介した2013年の鬼畜映画で吹っ切れたのか、それ以降の園子音の爆走ぶりは目を見張るものがあります。翌2014年が「TOKYO TRIBE」ですが、2015年に入ってからが凄い。まず「ラブ&ピース」(公開予定)を第5回北京国際映画祭コンペティション部門に出品し、その後が「新宿スワン」、ほぼ同時に「ひそひそ星」を発表、さらには今年7月に「リアル鬼ごっこ」、9月に「みんな! エスパーだよ!」と続けざまに監督作品を公開予定というのですから、もう鬼才監督の勢いは止まりませんね。ノッてる人は違うというところでしょうか?
しかしながら、昔からの園子音ファンで「初期作品DVD-BOX」も持っているわたしとしては、この「新宿スワン」も含めて、最近の園子音の映画はどうも物足りません。わたしのお気に入りは、ブログ「園子音の世界」で紹介した「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」「恋の罪」の3本ですが、いずれも大傑作でした。あの3本に比べれば、「地獄でなぜ悪い」だって、「まだまだ!」と言いたくなります。ヒット確実のコミック映画化なんかより、園監督には観客を凍りつかせるような超弩級のカルト映画を作ってほしいです。
最後に、「新宿スワン」はそのタイトルの通りに新宿の歌舞伎町が舞台です。歌舞伎町といえば、ブログ「さよなら歌舞伎町」で紹介した映画を思い出します。あの映画も、予想以上に面白かったです。
そういえば15日から東京に出張するのですが、「新宿に行きたい!」と思ったかというと、まったく思いませんでした。(苦笑)
やっぱり、新宿はどうも苦手です。特に歌舞伎町はヤクザとか覚醒剤とかボッタクリとかの話題や事件が多くて、物騒この上ない!
わたしは北九州という平和な街に住んでいるので、そんな話を聞いただけでビビってしまい、ションベンちびりそうになるのでござんす。(笑)