No.0332


 映画「レッド・スパロー」をレイトショーで観ました。

 ヤフー映画の「解説」には以下のように書かれています。

「元CIAエージェントの作家、ジェイソン・マシューズの小説が原作のスパイアクション。バレリーナからスパイになった美女が、CIA捜査官への接近を命じられたのを機に思わぬ事態に陥る。監督は『ハンガー・ゲーム』シリーズなどのフランシス・ローレンス。『世界にひとつのプレイブック』などのジェニファー・ローレンス、『ラビング 愛という名前のふたり』などのジョエル・エドガートン、『君と歩く世界』などのマティアス・スーナールツらが出演する」

 また、ヤフー映画の「あらすじ」には以下のように書かれています。

「事故によってバレリーナの道を諦めたドミニカ(ジェニファー・ローレンス)。母親をめぐるやむを得ない事情から、彼女はロシア政府直属の諜報機関の一員になる。美貌を生かした誘惑や心理操作で情報を入手する『スパロー』と呼ばれるスパイとして育成された彼女は、瞬く間に才能を発揮する。そして新たなミッションとして、ロシアの機密事項を探るCIA捜査官ナッシュ(ジョエル・エドガートン)への接近を命じられるが......」

 まず、この映画の舞台がブダペストとウィーンだったので、驚きました。わたしがこれから行く都市ではありませんか。全く予備知識なしに観たので、まさにシンクロニシティであると思いました。映画は女スパイの物語ということで、もっとスーパーウーマンが大活躍する話かと思っていましたが、そうではありませんでした。主人公のドミニカは思うように行動できず、彼女がもがきながら生きる物語でした。

 ドミニカが叔父から入れられた特殊学校は、ずばり、娼婦の養成学校のような所でした。そこの監督官を「愛の嵐」の主演女優シャーロット・ランプリングが演じていましたが、久々に彼女の見ることができて懐かしかったです。「愛の嵐」は、イタリアの女流監督リリアーナ・カヴァーニが、ナチズムの狂気に弄ばれた男女の愛憎を官能的に描いた作品で、ルキノ・ヴィスコンティが大絶賛しました。

「スパロー」として教育されるドミニカは自身の心を偽る術を覚えますが、ときどき耐えられずに嘔吐するシーンが印象的でした。宗教哲学者の鎌田東二先生は「体はウソをつかない。心はウソをつく。魂はウソをつけない」という名言を吐いておられますが、まさにドミニカの心はウソをついても、体はウソをつかなかったのです。それにしても、ハニートラップの訓練機関があるとは驚きですが、ロシアや中国はもちろん、北朝鮮などにはもっとすごい訓練機関があるのでしょうね。

 ドミニカを演じたジェニファー・ローレンスですが、最初はそんなに魅力を感じませんでしたが、次第に異様なほどの色気を発散していました。彼女は1990年8月15日、米国ケンタッキーのルイビル生まれの27歳です。14歳までに俳優になることを決め、タレントエージェントを見つけるために自分をニューヨークに連れて行くように両親を説得したそうです。演技訓練の経験も無かったものの、オーディションを受けた際には絶賛の評を獲得。俳優活動開始のために2年早く高校を卒業しました。

 17歳の時に「あの日、欲望の大地で」に出演し、監督のギジェルモ・アリアガには「メリル・ストリープの再来かと思った」と評され、さらに第65回ヴェネツィア国際映画祭では新人俳優賞を受賞したのですから、大したものです。2010年に主演した映画「ウィンターズ・ボーン」での演技が評価され、アカデミー主演女優賞をはじめとする多くの映画賞にノミネート、または受賞しています。この作品で、彼女は一躍若手注目株となりました。また、2012年公開の「ハンガー・ゲーム」「世界にひとつのプレイブック」では主演を務め、「世界にひとつのプレイブック」で第85回アカデミー賞主演女優賞を見事に受賞しています。

 さて、ジェニファー・ローレンスといえば、「レッド・スパロー」の1作前に主演した「マザー!」が大きな話題となりました。第74回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門で上映されるや物議を醸し、日本では劇場公開が中止されてしまったのです。「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキー監督とジェニファーがタッグを組んだ異色作です。ある郊外の一軒家を舞台に、スランプに陥った詩人の夫を持つ妻が、次から次へとやってくる不審な訪問者と彼らを拒むことなく受け入れる夫に翻弄されていくさまを描いたサイコスリラーだとか。この「マザー!」、わたしとしては、非常に観たいです。「レッド・スパロー」とは違ったジェニファーの魅力を発見できそうな気がするのですが......。

  • 販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日:2018/06/27
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