No.456


 日本映画「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」を観ました。一条真也の映画館「スマホを落としただけなのに」で紹介した映画の続編です。前作同様に「リング」シリーズの中田秀夫監督の作品ですが、中田監督は清水祟監督とともにJホラーの二大巨匠とされています。清水監督の新作は一条真也の映画館「犬鳴村」で紹介した映画を観たので、今度は中田監督の新作を観ようと思いました。あまり怖くはなかったですけど。前作では千葉雄大と成田凌の顔の見分けがつかなくて混乱しましたが(苦笑)、今回はそんなことはありませんでした。ヒロイン役の白石麻衣の演技も良かったです。

 ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「恋人がスマートフォンを紛失したために思いも寄らぬ恐怖に見舞われるヒロインの運命を描いた『スマホを落としただけなのに』の続編。連続殺人事件が解決してから数か月後、同じ現場から新たな死体が発見される。前作で刑事にふんした千葉雄大が主演を務め、彼が逮捕した獄中の殺人鬼を成田凌が続投。事件に巻き込まれるヒロインを乃木坂46の白石麻衣が演じ、前作と同じく中田秀夫監督がメガホンを取った」

 ヤフー映画の「あらすじ」は以下の通りです。
「長い黒髪の女性が狙われた連続殺人事件が解決してから数か月後、同じ現場から新たな身元不明の死体が見つかる。事件を追う刑事・加賀谷(千葉雄大)はかつて自分が逮捕した連続殺人鬼・浦野(成田凌)を訪ねると、獄中の彼は自身が師と仰ぐ『M』という人物の存在を明かす。やがて恋人の美乃里(白石麻衣)が何者かに狙われていることを知った加賀谷は、やむなく浦野に捜査協力を依頼する」

 前作となる「スマホを落としただけなのに」は、文学賞「このミステリーがすごい!」大賞で隠し玉作品に選ばれた志駕晃のサイバーミステリーを実写映画化したものです。恋人がスマートフォンを紛失したことで、事件に巻き込まれる派遣社員の姿を描いていますが、主人公の稲葉麻美を北川景子が、その恋人を田中圭が演じました。続編となる「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」の冒頭は、麻美と恋人の結婚披露パーティーのシーンです。そこに招待客として、千葉雄大演じる加賀谷と白石麻衣演じる美乃里が訪れます。麻美が美乃里に「次はあなたたちの番ですね」と語りかけるシーンがあるのですが、それは、次は美乃里たちが「結婚する番ですね」ではなく、結果的に「狙われる番ですね」であり、「怖い目に遭う番ですね」となったのでした。

 それでも、北川景子も白石麻衣も「美人さん」なので、わたしは嬉しくなりました。なんだかんだ言っても、映画には美女が出演していないと楽しくありません。さらには「福岡で一番可愛い女の子」こと今田美桜まで登場して、目の保養といった感じです。特に結婚披露パーティーでドレスアップした北川景子と白石麻衣の対決はまさに「美人さんvs美人さん」といった感じです。この2人の美のオーラに勝てるのは、もはや年増が好きなら若尾文子&岩下志麻、若い子が好きなら広瀬すず&浜辺美波の強力コンビぐらいではないでしょうか。わたしは、みんな好きですけど。(笑)

 前作では、恐怖に脅える北川景子の表情がとても良かったです。本作でも、白石麻衣が恐怖に脅えますが、これまた非常に良い表情でした。ホラー映画というのはただ怖いだけでなく、「絶叫クイーン」という言葉に代表されるような美女の存在が欠かせません。中田監督の「リング」シリーズには、松嶋菜々子、中谷美紀、竹内結子、深田恭子、池田エライザ、清水監督の「呪怨」シリーズには、奥菜恵、伊東美咲、酒井法子、新山千春、市川由衣といった美女たちが恐怖の絶叫シーンを演じてくれました。

 それにしても、こういうITをテーマにした映画は勉強になります。サイバーミステリーとしての前作「スマホを落としただけなのに」は、ITの専門家から見ると、ツッコミ所が多いと言われました。リアリティのない箇所が多いと揶揄されました。一方、一条真也の映画館「search/サーチ」で紹介した韓国映画はIT専門家たちにも受けが良かったようです。「スター・トレック」シリーズなどのジョン・チョーを主演に迎えたサスペンスで、失踪した娘を捜すために彼女のパソコンを操作する父親の姿を描いた作品です。ストーリーもよく練られていて、わたしもハラハラドキドキしました。

 今回の「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」ですが、面白いことは面白いのですが、細部にリアリティの欠けた箇所がいくつかあって残念でした。「映画なんだから、少しぐらい現実離れしててもいいじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、ミステリー、ホラー、SF、ファンタジーといった非日常的な物語ほど細部のリアリティが大切というのが、わが持論なのです。本作の場合は、なんといっても囚人に嫌がらせで自分の小便を飲ませる刑事が登場したことが最大の汚点でした。その場面を見た瞬間、わたしは一気に引いてしまいました。いくらなんでも、やりすぎです!
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シネコンのトイレに張られたシール



 他に、髪に特徴のある犯罪者が堂々と海外逃亡できるところなども気にはなりましたが、「小便刑事」のインパクトにはかないません。小便といえば、映画鑑賞後にシネコンのトイレに入ったら男性用小便器の前に本作のシールが貼られていました。QRコードも付いており。「映画の詳細はこちら!」「このQR、安全ですか?」と書かれていました。(笑)最後に、成田凌演じる連続殺人鬼・浦野には不思議な魅力を感じました。日本映画には珍しい名悪役になる予感がします。井浦新演じる新キャラクターも登場し、しばらくはシリーズ化されそうで楽しみです。