No.506
1月31日、北九州市議会議員選挙が行われました。わたしは、自宅近くにある母校の小学校に投票に行った後、シネプレックス小倉で2月5日公開の日本映画「樹海村」の先行上映を観ました。ブログ「犬鳴村」で紹介した映画のシリーズ第2弾です。前作と同様、ホラー映画としてはあまり怖くない点が残念でした。しかしながら、クライマックスシーンはファンタジックな海外ホラー感があって新鮮でしたね。あと、鬱蒼とした森の不気味さがよく描けていました。
ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「実在の心霊スポットをモチーフにした『犬鳴村』に続く『恐怖の村』シリーズ第2弾。自殺の名所などさまざまな都市伝説が飛び交う富士の樹海を舞台に、あまりに強力な呪いゆえ封印された奇妙な箱をめぐる恐怖を描く。『犬鳴村』に続き『呪怨』シリーズなどの清水崇が監督、保坂大輔が清水監督と共同で脚本を担当。『ミスミソウ』などの山田杏奈と『下忍 赤い影』などの山口まゆが主演を務め、『私がモテてどうすんだ』などの神尾楓珠のほか、安達祐実、原日出子、國村隼らが共演する」
ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
「関わった者は死に至り、家系も途絶えてしまうと伝えられる呪いの箱・通称『コトリバコ』が、富士の樹海の奥深くに封印される。それから13年後、天沢鳴(山口まゆ)と妹・響(山田杏奈)の前に、あの禍々しい呪いの箱が姿を現す。それ以来、姉妹の周囲で異変が起こり始め、樹海で消息を絶つ者が続出。やがて、その箱がもたらす凶悪な呪いが連鎖していく」
樹海といえば、日本一の自殺の名所であり、日本最大の心霊スポットとして知られています。樹海は、山梨県富士河口湖町・鳴沢村にまたがって広がる「青木ヶ原」の森で、富士山の北西に位置します。「青木ヶ原樹海」あるいは「富士の樹海」とも呼ばれ、山頂から眺めると木々が風になびく様子が海原でうねる波のように見えることから「樹海」と名付けられたという説もあるそうです。樹海の歴史は約1200年とまだ浅く、若い森です。「青木ヶ原樹海は自殺の名所」という噂により、他の深い森より自殺者が多く、その遺体が遊歩道からそう遠くない所で見つかることも少なくありません。「青木ヶ原樹海は自殺の名所」というのは、テレビドラマ化もされた松本清張の『波の塔』で取り上げたため有名になったといいます。
樹海にはさまざまな都市伝説があります。「青木ヶ原樹海は一歩入ると出られない」などが代表的ですが、これは俗説です。現地には遊歩道もあり、案内看板も多く、近くにはキャンプ場や公園、樹海を一望できる展望台、風穴、氷穴などがある観光地です。さらに富士河口湖町公認のネイチャーガイド付きのツアーもあるなど、遊歩道によりピクニックなどを楽しめる場所となっています。また、「方位磁針が使えない」という都市伝説もありますが、これも俗説です。溶岩の上にできたので地中に磁鉄鉱を多く含み、方位磁針に1・2度程度の若干の狂いは生じますが、「方位が分からなくなる」ほど大きく狂うものではないとか。
さらには、映画「樹海村」の重要なモチーフになってますが、「樹海には、自殺に訪れたが死にきれなかった人が作った村がある」という都市伝説もあります。これは「自殺志願者たちが集まって生活する村がある」「犯罪者や世捨て人が集まって作った村がある」などホラーじみた都市伝説です。映画では、日本が近代化される以前に、各種の障がい者が樹海に捨てられ、彼らが村を作ったというストーリーになっていました。もちろん事実ではありませんが、樹海の中に集落は実在します。地図を見ると国道139号線から樹海に食い込む形で集落があるのがわかります。別に怪しい場所ではなく、民宿が集まった通称「民宿村」です。そして、ここはオウム真理教の事件で有名になった「上九一色村」だった場所なのでした。
映画「樹海村」は、富士山麓の樹海にまつわる怪談と、かつて2ちゃんねる「オカルト掲示板」で流行った「コトリバコ」の都市伝説をアレンジしています。ピクシブ百科事典「コトリバコ」の「概要」には、「ある大学生が面白半分で仲間の集まりに持ってきた『呪いの箱』らしき物が、たまたま仲間内にいた神社の息子によって恐ろしく危険な『コトリバコ』であることが判る。至急対処しなければ被害が出てしまうため、不慣れではあるが電話で父親に連絡を取りながら呪いを抑える儀式を執り行い何とかその場は凌ぐことができた」と書かれています。コトリバコの見た目は、木でできたパーツを組み合わせた、立体パズルのような箱です。しかし、それは非人道的な手法により強力な「女子供を殺す呪い」を込めた呪具なのです。コトリバコが最初に生み出されたのがいつかは定かではありませんが、2chオカ板の書き込みで言及されたモノが作られたのは1860年代後半頃だとか。
映画「樹海村」には、前作「犬鳴村」に続いて、アッキーナというYouTuberが登場します。「13日の金曜日」などに代表されるハリウッド産のホラーだと、「野放図に騒いで、いちゃつくカップル」が真っ先に殺されるのが定番でしたが、最近のJホラーでは、その役目が「お調子者のYouTuber」に完全に代わっています。実際、犬鳴トンネルとか樹海などの都市伝説のある場所には多くのYouTuberたちが訪れ、動画をアップしていますね。しかし、現地の人々にとっては迷惑行為以外の何物でもなく、軽率な行動は慎むべきですね。自殺死体を興味本位で探すのも如何なものでしょうか。結果的に遺体発見につながるというメリットもありますが、いずれにせよ、死者を冒涜する行為はロクなことになりません。
「樹海村」の若い出演者たちの中で、母親役の安達祐実がかなりの存在感を発揮していました。しかし、なんといっても、樹海のパトロール役の男性を演じた國村隼が良かったです。樹海よりも彼の方が不気味でした。國村隼といえば、2016年の韓国映画「哭声/コクソン」での怪演が忘れられません。「チェイサー」「哀しき獣」ではスピード感を重視して直接的な暴力描写を用いたナ・ホンジン監督が、一転してシャーマニズムのほかキリスト教に関する要素を取り入れ、徐々に追い詰められる心理を丹念に捉えた作品です。20世紀フォックスで配給され、韓国国内では観客動員数687万人を超える大ヒットとなりました。謎めいた山の中の男を演じた國村隼は、外国人として初めて青龍映画賞で賞を得ています。日本人の國村がキャスティングされた理由は、イエス・キリストを「歴史上最も世界に混乱を与え、疑念を持たれた人物の1人」と評したナ・ホンジン監督の、「同じアジア人ではあるものの韓国人とは違う"よそ者"が必要だった」という考えによるそうです。
何の変哲もない田舎の村である谷城(コクソン)にやってきた日本人。番犬とともに、山中で孤独な生活を送る。村にやってきた目的や、どんな人物かは「言っても信じない」として一切自分の口から語ろうとせず、さらに彼の来訪から事件が頻発したことによって不審がられます。やがて、その村の中で、村人が家族を惨殺する事件が立て続けて発生。容疑者にいずれも動機はなく、幻覚性の植物を摂取して錯乱したための犯行と発表されますが、謎の発疹を発症するなど説明しきれない不可解な点が多く残っていたことから、いつしか、村人たちの中では山中で暮らす謎の日本人が関わっているのではないかとささやかれはじめるのでした。「哭声/コクソン」は超一流のオカルト映画であり、宗教ホラー映画の大傑作です。終盤に登場する、儀式によって戦うサイキック・ウォーの場面が圧巻でした。まだ御覧になっていない方は、ぜひ一度観てみて下さい。「樹海村」の10倍は怖いです!