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 日本映画「あなたの番です 劇場版」を観ました。ブログ「あなたの番です」で紹介したTVドラマの劇場版ですが、シネプレックス小倉で鑑賞。全部で10あるシアターのうち、4つのシアターを使って、なんと1日に11回も上演されています。こんな凄い物量作戦は初めて見ました。それにも関わらずネットでの評価は低かったですが、実際に鑑賞してみて、ネット評価の正しさを確認するという残念な結果となりました。豪華キャストですが、つまらなかったですね!

 ヤフー映画の「解説」には、「原田知世と田中圭が主演を務めたドラマの劇場版で、ドラマ版とは異なる"交換殺人ゲームが始まらなかった世界"を描いたミステリー。主人公夫婦の結婚パーティーにドラマに登場したマンションの住人たちが招待され、そこで次々と殺人事件が発生する。共演はドラマ版と同じく西野七瀬や横浜流星、竹中直人、木村多江、生瀬勝久など。企画・原案を秋元康、監督をドラマ版の演出や『悪夢ちゃん』シリーズなどの監督などを務めてきた佐久間紀佳が担当する」と書かれています。

 ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
「菜奈(原田知世)と翔太(田中圭)はマンション『キウンクエ蔵前』に引っ越して2年後、結婚することを決め、船上ウエディングパーティーにマンションの住人たちを招待する。ところが、パーティーで殺人事件が発生。さらに、逃げ場のない船上で、出席者が次々と殺されていく」

「あなたの番です」(通称「あな番」)は、日本テレビ系「日曜ドラマ」にて2019年4月14日から9月8日まで毎週日曜22時30分―23時25分に放送されていたテレビドラマです。わたしは基本的にTV番組をオンエアでは観ない人間ですが、話題になった直後にDVD-BOXが発売されたので購入し、全20話を観ました。「あな番」は連続殺人ミステリーですが、「殺人」がテーマの物語には「グリーフケア」の要素もあることが多いです。「あな番」の場合は、愛する人を亡くした人が故人と会話できるアプリが登場していると聞いて、グリーフケア最前線を探る意味でも鑑賞しました。

 ドラマ版「あな番」では、「キウンクエ蔵前」というマンションに引っ越してきた一組の新婚夫婦が「穏やかで、幸せな暮らしが待っている」と信じて新生活をスタートさせますが、マンションの周囲で次々と人が死んでいくという物語でした。謎の連続死の裏には、住民の間で行われたあるゲームがありました。それは、13人の住民がそれぞれ「殺したい人」を書いてその紙をランダムに引いていく"交換殺人ゲーム"です。「まぁ、ゲームだし。ムカつくやつの名前書いたらスッキリするかも」と、みんな最初は軽い気持ちでしたが、書かれた人間がどんどん殺され始めて動揺し、「まさか、誰かがゲームを実行してるのか?」「そんなつもりじゃなかった、のに」と後悔するのでした。劇場版は、舞台をマンションから豪華客船に変えて、新たな連続殺人劇が展開されます。

 ドラマ版では、「誰が、誰の名前を書いたのか?」「その紙を引いたのは、誰なのか?」「自分が名前を書いた"あの人"も、誰かに殺されてしまうのか?」「もし、"あの人"が殺されたら、今後は自分が殺す番なのか?」「もう殺人を犯した人間が、この中にいるのか?」など、隣人たちの疑心暗鬼の渦に飲み込まれる夫婦が超難解な連続殺人の謎に挑むノンストップ・ミステリーで、それなりに見応えがありました。しかし、劇場版はドラマ版の主人公だった夫婦が2年間の同棲生活を経て客船で結婚式披露宴を挙げるのですが、リアリティ・ゼロ設定の連続で、142分という上映時間の長さもあって完全に白けました。

 主人公の田中圭が演じる新婚夫婦の夫はドラマ版同様にウザイだけの男でしたし、妻役の原田知世も今ひとつ演技にキレがないように感じました。脚本もまったく良くなかったです。そもそも、そんな豪華客船にマンションの住人が大挙して乗船して船旅を楽しむというのも有り得ない話ですし、船内で起こる数件の殺人事件にしても殺し方があまりにも非現実的です。というか、不可能です。たとえば、登場人物の中のある女性の遺体が船のマストの上で十字架に磔になったような形で発見されるのですが、彼女を殺した犯人は1人ということになっています。1人で殺して、大勢の乗船客に誰にも見られずに、しかも多くの警察関係者も乗船しているのに、1人で死体をマストの上まで運んで十字架刑のようにロープで結ぶというのは、どう考えても絶対に不可能ではあ~りませんか!

 わたしはディテールにリアリティのない映画というのは認めません。その意味で、この映画は最低というか「子どもだまし」だなと思いました。秋元康氏が原案者だそうですが、「あざとさ」だけが売りの彼らしい映画ですね。ちなみの、秋元氏が作った「着信アリ」というホラー映画のシリーズがありますが、これも「あざとさ」だけで怖さゼロの日本ホラー映画史上最低レベルの作品でした。しかし、映画はダメでもアイドルのプロデュースに関しては天才であることは事実で、特に「乃木坂46」は「AKB48」や「おニャン子クラブ」を超える大傑作だと思います。その乃木坂46出身の西野七瀬が、ドラマ版に続いて劇場版でも重要な役どころで出演しています。横浜流星との"手つなぎシャワー"は下らない話題作りでしたが、彼女のシリアスな演技は良かったです。映画の主題歌となるAimer「ONE AND LAST」のMVにも西野七瀬が主演しています。透明感があって美しいです。