No.703


 4月14日の雨の夜、この日から公開のサスペンス・スリラー映画「search/#サーチ2」のレイトショーをシネプレックス小倉で鑑賞。一条真也の映画館「search/サーチ」で紹介した映画の続編です。正直、前作ほどのインパクトはありませんでしたが、それでもかなり面白かったです。
 
 ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「全編パソコンの画面上でドラマが展開する『search/サーチ』の続編。旅先で行方不明になった母親を捜すため、デジタルネイティブ世代の娘がSNSなどを駆使して捜索を試みる。前作で編集を務めたウィル・メリックとニック・ジョンソンが監督・脚本、前作の監督アニーシュ・チャガンティが原案・製作を担当。『透明人間』などのストーム・リード、『誘惑は死の香り』などのニア・ロングのほか、ヨアキム・デ・アルメイダ、ケン・レオン、ダニエル・ヘニーらが出演する」
 
 ヤフー映画の「あらすじ」は、以下の通りです。
「アメリカ・ロサンゼルスの女子高生ジューン(ストーム・リード)の母親が、南米コロンビアを旅行中に消息を絶つ。デジタルネイティブ世代のジューンは、検索サイトやSNSなどを駆使して捜索を試みるが、手掛かりはつかめなかった。母の失踪はSNSで瞬く間に拡散されて憶測が飛び交い、国境を越えた話題になっていく。さまざまな情報に翻弄される中、ジューンは真相を追い求める」
 
 大ヒットした前作は「娘が行方不明 唯一の手がかりは24億8千万人のSNSの中にある」のキャッチコピーで、失踪した16歳の娘を捜すために彼女のパソコンを操作する父親の姿が描かれました。家出なのか誘拐なのか不明のまま37時間が経過。娘の生存を信じる父親は、娘のパソコンでInstagramなどのSNSにログインしますが、そこで彼が見たのは自分が知らなかった娘の一面でした。「search/サーチ」は、100%すべてPC画面の映像で展開する異色のサスペンス・スリラーでした。
 
 今回の「search/#サーチ2」も100%すべてPC画面の映像で展開するサスペンス・スリラーという点は共通していますが、前作と物語の繋がりは一切なく、独立した映画となっています。前作は娘の探す父親が主人公で、今作は母親を探す娘が主人公です。前作と同じく、PCやスマホの画面だけで展開する演出には強引な印象の箇所もありましたが、基本的によく出来ていました。
 
 また、今作はパソコンやスマホの画面をサンプリング的に編集したような演出が多かったです。少しでも気を緩めていると、登場人物がどういうアプリのどういうボタンをクリックしたかがわからなくなってしまいます。相手のアドレスをコピーして貼り付けた箇所をクリックするだけで様々な場所と繋がる設定などは面白いし便利でしょうが、実際には存在しません。あと、iPhoneの電話呼び出し音が何度か流れますが、けっこう不快な音ですよね。
 
 ストーム・リード演じるヒロインのジューンは、お世辞にもあまり可愛いい子ではありません。そう、この映画はポリコレ映画なのです。ジューンの父親が白人で、母親が黒人です。最近驚くほどこの設定のハリウッド映画が多いのですが、何か大きな力でも働いているのでしょうか?母親が旅に出た後に、ジューンが友達を呼んでホームパーティーをするシーンがありますが、悲惨な終わり方も含めて決して愉快なパーティーではありませんでした。ジューンの友達も、なんか使えない残念な子が多かったですね。
 
 それにしても、この映画を観ると、「デジタルネイティブ世代って、こんなことまでできるの!」と驚かされることの連続でした。実在のアプリやネットサービスを使っていますが、一部は架空のアプリが使われているようです。冒頭に登場するウーバーなどは実在しますが、手の空いている知らない人をネットで探して投げ銭し、自宅の留守番や人探しをさせるサービスなどは存在しません。第一、そんなサービスは危険きわまりないですよね。でも、最後のSiriによる大救出劇はスカッとしました。
 
「search/#サーチ2」は前回より奇怪な事件で、ミステリーとしては上級編でした。多くの伏線を張り巡らせていますが、最後にすべて回収したのは見事です。ただ、真犯人の動機というものにリアリティが感じられませんでした。観客は主人公と一緒にパソコンやスマホの画面を見ながら、意外な事実に驚き、想定外の展開に動揺し、次第に謎が明かされていく快感を味わったと思います。この映画は「現代のアガサ・クリスティ」という評価もあるようですが、いくら捜索の道具がアップデートしても、失踪した人物を探すスリルと、謎が解けたときのカタルシスはクリスティのミステリーと変わりませんね。