No.812


 東京に来ています。12月6日の午後、銀座でいくつかの打ち合わせをした後、夜はヒューマントラストシネマ有楽町でフランス映画「ショータイム!」を観ました。コメディ要素の強いヒューマンドラマです。実話に基づいているそうですが、たいへん面白かったです。なお、この記事は、今年150本目の映画レビューとなります。
 
 ヒューマントラストシネマ有楽町の公式サイトには、この映画について以下のように書かれています。
「祖父が始め父から受け継いだ農場を守るため田舎の農場にキャバレーを開いた農夫の奇想天外なサクセスストーリー3代続いていた農場を自分の代で終わらせられない。民事裁判所の判事から与えられた猶予はたったの2か月。まさに背水の陣。ここまで追いつめられて俄然力を発揮する人とそのまま沈んでしまう人がいる。人生の転機はほんのささいな偶然とひらめきから生まれるもの。潰れかけている農場の納屋を改装してそこにキャバレーを作ろうと奔走し、反対する人たちを納得させ、パフォーマーを集め、喧嘩を制裁して華やかなショーを演出する、そんなフランスの田舎であった実話をもとにしたこの作品は、笑いあり涙ありの娯楽映画である」
 
 ヒューマントラストシネマ有楽町の公式サイトの「STORY」は、以下の通りです。
「フランス中南部の農場。農場主のダヴィットは地方裁判所の判事の元へ出頭する。差し押さえを何とか2か月待ってもらったものの、成すすべもなく途方に暮れたその街からの帰り道、道端に明るく輝くネオンサインを見つける。『キャバレー』だった。虫が明るい所に引き寄せられるように店内に入っていくダヴィット。そこで思いもかけないことを思いつく。農場の"納屋"をキャバレーにしてお客さんを呼べば一石二鳥ではないか! それから前代未聞の"農場キャバレー"作りが始まった...」
 
 ヒューマントラストシネマ有楽町を訪れるのはブログ「『グリーフケアの時代に』公開!」で紹介した12月1日以来です。一条真也の映画館「グリーフケアの時代に」で紹介したドキュメンタリー映画の公開初日の初回上映が秋篠宮皇嗣妃殿下の臨席(ご行啓)の宮内庁の正式行事となり、同劇場のシアター1は満席でした。この日もシアター2がほぼ満席だったのですが、高齢の観客が多かったのか印象的でした。わたしは、なんとなく「NHK朝ドラの『ブギウギ』の影響では?」などと思いました。その高齢のお客さんたちはすごくノリが良くて、何度も大笑いしていました。ブログ「『笑いの会』100回!」にも書きましたが、笑える年長者というのは本当に幸せだと思います。
 
 たしかに、この映画は笑えます。牛やニワトリの形態模写をする農夫、「眠くな~る」と言いながら自分が寝てしまう老催眠術師をはじめ、キャバレー出演者オーディションに参加した面々の姿にはわたしも爆笑しました。わたしはカーニバルとかサーカスが大好きなのですが、この映画を観て、キャバレーにもそれらと同じ祝祭的要素があると思いました。日本でいえば梅沢富美男さんなどの大衆演劇にも通じると思いますが、祝祭は退屈な日常に亀裂を入れ、新しい時間と空間を創造します。その中で、人々は生きる活力を得るのでしょう。すべてのショーは、さまざまな悩みや苦しみを持つ人々への応援歌ではないでしょうか?
 
 ただ、この映画にも登場した「SHOW MUST GO ON」という言葉は、故ジャニー喜多川の口癖だったことを思い出しました。ブログ「ジャニーズ事務所の社長交代に思う」で紹介した9月7日のジャニーズ事務所の記者会見の直後、木村拓哉がジャニー氏を連想させる「SHOW MUST GO ON」と記したインスタを投稿して大炎上。キムタクはすぐに削除しました。この映画を観た夜に放送されたフジテレビの「FNS歌謡祭」には多くのジャニーズ・タレントが出演していましたが、史上最悪の性犯罪者の被害者への補償もまだ済んでいないのに「SHOW MUST GO ON」は許されることではありません。「ショータイム!」にはゲイの歌手も登場しますが、ジャニー喜多川の蛮行は日本のLGBTQ運動を何年も遅らせてしまいました。
 
 ところで、この日のヒューマントラストシネマ有楽町では、新作映画「マエストロ:その音楽と愛と」の予告編が流れ、目を奪われました。NETFLIX作品なのですが、8日から同劇場で上映されるそうです。「ウエスト・サイド物語」の音楽を手がけるなど指揮者・作曲家として世界的に知られたレナード・バーンスタインとフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインがともに歩いた生涯を振り返る、大胆かつ情熱的な類まれなる愛の物語です。監督のブラッドリー・クーパーが主演も務め、バーンスタインを演じます。プロデューサーはスティーヴン・スピルバーグとマーティン・スコセッシというから、これはもう必ず観なければ!......と思っていたら、劇場受付では「マエストロ:その音楽と愛と」と「グリーフケアの時代に」のポスターが並んでいるではありませんか! ブラッドリー・クーパーの大きな顔写真のすぐ近くに、わたしの小さな顔写真がありました。(笑)

ヒューマントラストシネマ有楽町の受付
 
 
 

左上にわたしの小さな顔写真が...(笑)