No.892

 日本映画「告白 コンフェッション」を観ました。サスペンスコミックの実写映画化ですが、登場人物が次第にモンスター化していく展開で、ホラーの要素も強かったです。最初は「世にも奇妙な物語」みたいなライトな作品かと思っていましたが、予想以上の力作でしたね!
 
 ヤフーの「解説」には、「『カイジ』などの福本伸行と、『沈黙の艦隊』などのかわぐちかいじによるサスペンスコミックを実写映画化。雪山で遭難した親友同士が、一方の告白をきっかけに極限状態に追い込まれる。『苦役列車』などの山下敦弘が監督、ドラマ「神の手」などの幸修司と、山下監督作『オーバー・フェンス』などの高田亮が脚本を担当。親友の告白を聞いてしまった男を『渇水』などの生田斗真、自らの罪を打ち明けた男を『息もできない』などのヤン・イクチュンが演じる」と書かれています。
 
 ヤフーの「あらすじ」は、「大学の山岳部OBで親友同士の浅井啓介(生田斗真)とリュウ・ジヨン(ヤン・イクチュン)は、登山中に猛吹雪に見舞われ遭難する。大けがをして死を覚悟したジヨンは、かつて登山中に行方不明となり、事故死とされた同級生・西田さゆりは自分が殺害したのだと告白。長年抱えてきた罪の意識から解放されるジヨンだったが、その直後、事態は急転して二人は一命を取り留める。山小屋で救助隊が来るのを待つ間、二人の間には不穏な空気が流れ始める」となっています。
 
 この映画の企画は約5年前から始動していたそうですが、コロナ禍を理由とした延期を2度も経験。それだけに、完成披露試写会では、生田斗真が「衣装合わせで初めてお会いした時に、ヤンさんもテンションが上がって熱いハグをしました。それほどこの作品に入ることが嬉しかった」と語りました。ヤン・イクチュンも「撮影では素敵な生田さんと可愛らしい監督に助けていただき、ベストを尽くすことが出来て頑張れた」と報告し、「そして世界で一番綺麗な奈緒ちゃんが僕の隣にいます」とヒロインを絶賛していました。奈緒の出演シーンは少しだけでしたが、たしかにこの映画の彼女は美しかったですね。
 
 雪山で遭難し死を覚悟した親友による殺人の告白を聞いてしまった男・浅井啓介役の生田斗真は、完成披露試写会の満席状態の客席を見ながら「とてつもない怪物級の映画が完成しました! 国内外にも届けていきたい」と大満足で語りました。「怪物級」というのは、告白をした親友リュウ・ジヨンがどんどん怪物化していくのですが、その真相は......おっと、これ以上はネタバレになるので、やめておきます。リュウ・ジヨンを演じたヤン・イクチュンは、「友達にも言ってはいけない事を言ってしまった時、それがどれだけお互いを苦しめて恐怖に陥れるのか? そんな感情を映画を通して知ってほしい」とアピールしていました。わたしは「余計な告白などしなければいいのに...」と思いましたが、もしかしたらカトリックの懺悔の文化に基づいているのかもしれませんね。リュウ・ジヨンは韓国からの留学生という設定でしたが、韓国人にはカトリックの信者が多いからです。
 
 それにしても、登山に親しみのないわたしには、山に登る者の気持ちがまったく理解できません。一歩間違えれば命を落としてしまうのに、何故わざわざ危険なことをするのか? たとえ雪山でなくとも、山には危険がいっぱいです。じつは、映画「告白 コンフェッション」を観た前日、「福岡大学ワンダーフォーゲル同好会ヒグマ襲撃事件」を紹介する動画をたまたま目にしました。いま全国でクマの襲撃が増えていますが、史上最悪といわれる事件が起こったのは昭和45年(1970年)でした。北海道の山で福岡大のワンゲル部員だった若き3人の岳人がヒグマの牙に斃れたのです。この動画を観て震え上がったわたしは、ますます登山という営みが謎に思えて仕方なくなりました。