No.924


7月14日、ブログ「『グリーフケアの時代』上映会&トークショー」で紹介したイベントに出演した直後、日本映画「大いなる不在」をシネプレックス小倉で観ました。この作品にもグリーフケア映画の要素がありましたが、内容は不可解。認知症がテーマですが、この映画は観客を認知症になったような気分にさせる作品でした。観ているうちに、わけがわからくなってきて、不安になるのです。
 
 ヤフーの「解説」には、「『コンプリシティ/優しい共犯』などの近浦啓がメガホンを取ったサスペンス。長らく疎遠だった父親と再会した青年が、認知症を患い別人のように変わり果てた父の人生をたどり始める。主人公を『アンダードッグ』などの森山未來、その父親を『コンプリシティ/優しい共犯』にも出演した藤竜也が演じるほか、真木よう子、原日出子、三浦誠己、利重剛らが共演。第71回サン・セバスティアン国際映画祭で藤が最優秀俳優賞に輝くなど世界各地の映画祭で高い評価を得た」とあります。
 
 ヤフーの「あらすじ」は、「幼いころに家族を捨てた父親・陽二(藤竜也)が警察に捕まったという報せを受け、卓(森山未來)は妻・夕希(真木よう子)と共に九州にいる父を訪ねる。久々に再会した父は認知症を患い別人のように変わっており、再婚相手の直美(原日出子)の行方も分からなくなっていた。彼らに何があったのか確かめるべく、卓は父と直美の生活を調べ始める」となっています。
 
 本当は、この映画に期待していたのですが、残念な結果に終わりました。まず、決定的に説明不足ですね。特に時系列がわかりにくいこと、この上ないです。森山未來が演じた主人公の卓が役者の設定で、そのせいか冒頭に前衛的な芝居の光景が流れます。このシーンによって、なんとなく「理解できなくてもしょうがない」といったメッセージを観客に与えたように思います。卓は最初ぶっきらぼうな感じでしたが、終盤にかけて徐々に優しくなっていきました。いろいろな問題を抱えたとしても優しくあろうとする血縁というものの強さを感じました。
 
 父親の陽二を演じた藤竜也の演技は真に迫っており、「この人、本当に認知症なのでは?」と思わせるものがありました。わたしの近くにも認知症の人がいるので、身につまされました。もともと陽二は学者だったようですが、「プライドが高く、博識だった認知症患者はこうなのだろう」というリアルさを感じました。一方で、82歳になるにもかかわらず、藤竜也はダンディで色気がありました。最後のシーンでおもむろに水で髪を整えるシーンなど、とてもセクシーでしたね。
 
 セクシーな藤竜也を見て、わたしは映画「愛のコリーダ」(1976年)での彼の過激な演技を思い出しました。大島渚監督がフランス資本で、昭和初期の"阿部定事件"を映画化した問題作です。昭和11年、料亭の女中である定(松田瑛子)は店の主人・吉蔵(藤竜也)に心惹かれ、情事を重ねるようになります。その情事が男の妻に知れてしまい、2人は駆け落ちを決行。快楽におぼれる日々を重ねるうちに定は男を永遠に手放したくないと思うようになり、ついには男を自分だけのものにするため首を絞めて殺害し、さらには男の陰部を切り取ってしまうのでした。藤竜也や松田暎子の性的な場面は、陰部などもすべて無修正で、日本では大幅な修正が施されて上映されました。
 
 色気といえば、「大いなる不在」のプレミアム試写会で、復帰後初の公の場に出てきた真木よう子が、夫役の森山未來のことを「未来君、ダンスとかやっているから、内側から出る色気とかハンパないんですよ。もう目が離せなくなっちゃって...」と言っていました。にやけながら言う、その言い方が本当に嫌らしくてちょっと引きましたね。真木よう子といえば、今年2月18日放送のフジテレビ系「だれかtoなかい」(日曜・後9時)に出演した際、大ファンという新田真剣佑を前に「心臓ズキューン」「エロいんですよ。(実写版)『ONE PIECE』を見て、はらまさられると思った」などと大暴走し、放送禁止用語まで口走ったそうですね。この一件は炎上したようですが、懲りない人ですね。(苦笑)