No.982


 東京に来ています。12月14日、出版関係の打ち合わせの間を縫って、イタリア・スペイン映画「太陽と桃の歌」をTOHOシネマズシャンテで観ました。その夜はスペイン料理を食べるので、その前にスペイン映画を観ようと思ったのですが、正直つまらなかったです。疲れていたこともあって、かなりの時間を爆睡してしまいました。
 
 ヤフーの「解説」には、「スペインのカタルーニャ地方で桃農園を経営する一家の危機を描くヒューマンドラマ。3世代で桃農園を営んできた家族が、土地の再開発によって立ち退きを迫られる。監督などを手掛けるのは『悲しみに、こんにちは』などのカルラ・シモン。ジョゼ・アバッド、ジョルディ・プジョル・ドルセ、アンナ・オティンらがキャストに名を連ねる。第72回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で金熊賞を受賞した」とあります。
 
 ヤフーの「あらすじ」は、「スペイン・カタルーニャ地方で、ソレ家は3世代の大家族で桃農園を営んでいたが、収穫を目前に控えたある日、夏の終わりに土地を明け渡すよう地主に言い渡される。伐採した桃の木の代わりにソーラーパネルを設置すると言われて父親は怒り狂うが、妻と妹夫婦は楽に稼げるというパネルの管理に心を引かれる。それぞれが別々の方法で桃園の危機を乗り越えようとするが、家族の関係に大きな亀裂が生じてしまう」です。
 
 ソレ家は地主から土地を明け渡すのように言われるわけですが、3世代の家長というべき祖父は「先代からはいつまでも土地を使っていいと言われた」と反論します。しかし、その契約書はどこにも存在しませんでした。先代地主との約束は口約束だったのです。それでも祖父は「昔から契約書なんか交わす習慣はなかった」と言い張ります。このように自らの仕事に真摯に取り組む善人であっても、無知なゆえに困窮する人々は世界中にいるように思えました。悲しいことですが、家族と家業を守りたいのなら「無知は悪」と言う他はありません。
 
 全体的に眠気を誘う退屈な物語でしたが、3世代にわたる大家族の交流には感じるものがありました。一条真也の映画館「大きな家」で紹介した前夜に観たドキュメンタリー映画では児童養護施設という疑似家族が描かれていました。その意味で、本作「太陽と桃の家」では本物の大家族が描かれわけですが、本物の家族だから幸せといったような簡単な話ではありません。血が繋がっていても分かり合えず、ときには憎しみ合う家族だって世界中に存在します。それでも、「太陽と桃の家」に登場する大家族の食事シーンや、プールで遊ぶシーンなどは心温まるものがありましたね。