No.1048
4月12日、アメリカ映画「アマチュア」をシネプレックス小倉で観ました。最も広い1番シアターが半分くらい埋まっていましたが、スリリングな場面が多く、なかなか面白かったです。妻を殺された男の復讐劇で、グリーフケアの要素もありました。今年観た60本目の映画です。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「『ボヘミアン・ラプソディ』などのラミ・マレック主演・製作によるアクションサスペンス。殺しのスキルを持たないCIAの分析官が、妻の命を奪ったテロ組織にたった1人で復讐する。メガホンを取るのは『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』などのジェームズ・ホーズ。『ジョン・ウィック』シリーズなどのローレンス・フィッシュバーンが出演する」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「国際テロ組織によって妻の命を奪われたCIAの分析官チャーリー(ラミ・マレック)は、たった1人で組織へ復讐することを決意する。殺しのスキルを持たないチャーリーは、CIAも予測できない方法でテロリストたちを始末していくが、その復讐にはある陰謀が隠されていた」
じつは11日から「アマチュア」とともに「プロフェッショナル」というアイルランド映画も公開されていました。アマ→プロという流れが面白いので、この日は2本続けて鑑賞。さらに「ベテラン 凶悪犯罪捜査班」という韓国映画も公開されており、アマ→プロ→ベテランを目指そうかとも思いましたが、「ベテラン」はシリーズ最新作ということで鑑賞しませんでした。「プロフェッショナル」は、リーアム・ニーソン主演のアクション映画。殺し屋の過去を隠して暮らす男が、ある少女を虐待から救ったことをきっかけにアイルランド共和軍の過激派グループと戦うことになる物語です。ただし、原題が"In the Land of Saints and Sinners"ですので、「プロフェッショナル」という邦題はおそらく「アマチュア」を意識して付けたのではないでしょうか。ちなみに、「アマチュア」の原題は"The Amateur"です。
映画「アマチュア」の原作はロバート・リテルの同名小説(日本版は『チャーリー・ヘラーの復讐』)で、今回で2度目の映画化となります。007シリーズのようなスパイアクションの要素もあり、ボンドガールのような美女も登場します。しかしながら、主人公がジェームズ・ボンドのようなプロ中のプロと違って、チャーリーはひ弱いコンピューターオタクです。でも、CIA分析官として培った知識と知恵と技術を駆使して敵を追い詰めるプロセスには爽快感さえありましたね。AIによるディープフェイクを監視カメラで使う場面は「現代的だな!」と思いました。
チャーリーは国際テロ組織によって妻の命を奪われ、復讐を誓います。わたしは一条真也の読書館『鬼滅の刃』で紹介した吾峠呼世晴氏の大ヒット漫画を連想しました。同作のテーマは、わたしが研究・実践している「グリーフケア」だと思います。鬼というのは人を殺す存在であり、悲嘆(グリーフ)の源です。そもそも冒頭から、主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が家族を鬼に惨殺されるという巨大なグリーフから物語が始まります。また、大切な人を鬼によって亡き者にされる「愛する人を亡くした人」が次から次に登場します。それを鬼殺隊に入って鬼狩りをする人々は、復讐という(負の)グリーフケアを行います。その様子が映画「アマチュア」に通じていると感じました。
チャーリーは愛妻を殺した4人の居所を突き止めて次々に復讐をしていきますが、4人全部殺してしまえば彼の悲嘆は解消されるのかというと、そうではありませんでした。妻が殺された背景には巨大な闇が存在し、そこにはCIAの不正も関わっていたのです。優秀な分析官であるチャーリー不正の事実も突き止めます。そして、それを広く公表することを志すのでした。愛する者を殺された人にとって復讐がグリーフケアとなるというのは間違いないと思いますが、単に加害者を殺して気を晴らすよりも、世の中のためになる行動に繋げることによって故人の死に確固たる意味を与える......これこそが究極のグリーフケアではないかと感じました。