No.1049
4月12日、一条真也の映画館「アマチュア」で紹介したアメリカ映画に続いて、アイルランド映画「プロフェッショナル」をシネプレックス小倉で観ました。アマチュアの後はプロフェッショナルです! 最初は緩い展開で途中で眠くなりましたが、後半1時間ぐらいは目が離せなかったです。
ヤフーの「解説」には、「『バッド・デイ・ドライブ』などのリーアム・ニーソンが主演を務めるアクション。殺し屋の過去を隠して暮らす男が、ある少女を虐待から救ったことをきっかけにアイルランド共和軍の過激派グループと戦うことになる。監督は『マークスマン』でもニーソンと組んだロバート・ロレンツ。『イニシェリン島の精霊』などのケリー・コンドン、ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」などのジャック・グリーソン、『聖なる証』などのキアラン・ハインズのほか、デズモンド・イーストウッド、コルム・ミーニイらが出演する」とあります。
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「1970年代の北アイルランド。暗殺者だったフィンバー・マーフィー(リーアム・ニーソン)は、その過去を隠しながら、海辺の田舎町グレン・コルム・キルでひっそりと暮らしていた。そこへ、ベルファストで爆破事件を起こして逃走するアイルランド共和軍(IRA)の過激派グループがやってくる。グループの一人が町の少女を虐待したことを知ったマーフィーは、加害者を打ちのめして少女を救う。過激派グループはマーフィーへの復讐に燃え、両者の対立は激しさを増していく」
11日から、「プロフェッショナル」とともにアメリカ映画「アマチュア」も公開されていました。アマ→プロという流れが面白いので、この日は2本続けて鑑賞しました。さらに「ベテラン 凶悪犯罪捜査班」という韓国映画も公開されており、アマ→プロ→ベテランを目指そうかとも思いましたが、「ベテラン」はシリーズ最新作ということで鑑賞しませんでした。「アマチュア」はラミ・マレック主演・製作によるアクションサスペンスで、殺しのスキルを持たないCIAの分析官が、妻の命を奪ったテロ組織にたった1人で復讐する物語です。ただし、「プロフェッショナル」の原題は"In the Land of Saints and Sinners"ですので、「プロフェッショナル」という邦題はおそらく「アマチュア」を意識して付けたのではないでしょうか。ちなみに、「アマチュア」の原題は"The Amateur"です。
映画「プロフェッショナル」の冒頭、北アイルランドのベルファストでIRAによる爆破事件が起こるシーンがあります。わたしは、一条真也の映画館「ベルファスト」で紹介した2021年のアイルランド・イギリス合作映画を思い出しました。第94回アカデミー賞で7部門にノミネートされ、脚本賞を受賞した名作です。俳優・監督・演出家など多岐にわたって活動するケネス・ブラナーの半自伝的ドラマとなっています。幼少期を過ごした北アイルランド・ベルファストを舞台に、9歳の少年を取り巻く日常と、激動の時代に翻弄される故郷を描いています。
「プロフェッショナル」には、IRAの女性闘士が登場しますが、この女が美人なのにもかかわらず非常に攻撃的で、ヴィランとして際立っていました。彼女には弟がいるのですが、これ幼い少女に性加害するようなクズなのです。その事実を知ったリーアム・ニーソン演じるフィンバー・マーフィーが行動を起こします。いろいろあって、IRAと全面戦争状態になったフィンバーですが、高齢のせいでなかなか思うような戦闘ができません。ちなみに、リーアム・ニーソンは現在72歳ですが、さすがにスクリーンの中でも「老い」が目立っていましたね。わたしは、心の中で「じいさん、がんばれ!」と叫び続けました。
老いぼれながらも、若き相棒の助けなどもあって、フィンバーは敵と戦います。彼が敵の亡骸を丁重に埋葬してあげているラストシーンが印象に残り、一条真也の読書館『鬼滅の刃』で紹介した吾峠呼世晴氏の大ヒット漫画を連想しました。同作の主人公・炭治郎は人間だけでなく、自らが倒した鬼も埋葬し、「成仏してください」と祈ります。まるで、「敵も味方も、死ねば等しく供養すべき」という怨親平等の思想のようです。『鬼滅の刃』には、「日本一慈しい鬼退治」とのキャッチコピーがついており、さまざまなケアの姿も見られます。鬼も哀しい存在なのです。テロリストや暗殺者もある意味で「鬼」ですが、鬼同士がコンパッションを示す場面に静かな感動をおぼえました。