No.1106
7月25日、この日から公開された日本映画「事故物件ゾク 恐い間取り」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉で観ました。一条真也の映画館「事故物件 恐い間取り」で紹介した映画の続編です。前作は正直言って駄作でしたが、本作はホラー映画としてよく作られていました。ホラーには滅法うるさいわたしから見ても傑作ですし、特に2話目の旅館エピソードが怖くて、哀しかったです。ホラー映画とはグリーフ映画でもあるのだと再認識しました。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「事故物件住みます芸人」として活動する松原タニシのノンフィクション書籍を原作に、『リング』などの中田秀夫監督が映画化したシリーズの第2弾。タレント志望の主人公が、『事故物件住みますタレント』として数々の事故物件で怪異の謎に迫る。主人公をアイドルグループ『Snow Man』の渡辺翔太が演じるほか、共演に畑芽育や山田真歩、滝藤賢一、吉田鋼太郎などが名を連ねる」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「タレントになる夢を諦めきれずに福岡から上京した桑田ヤヒロ(渡辺翔太)は、『事故物件住みますタレント』として活動を始めることになる。ヤヒロは『必ずとり憑かれる部屋』や『いわくつきの古旅館』などを転々とし、怪異現象に襲われながらも物件の謎に迫ろうとする」
前作は、一条真也の映画館「事故物件 恐い間取り」で紹介した映画です。テレビ番組の企画で「事故物件住みます芸人」として人気が出た松原タニシのノンフィクションを映画化したホラー。売れない芸人の山野ヤマメ(亀梨和也)はテレビ番組の企画で、殺人事件が起きた物件で暮らし始めます。そこは普通の部屋でしたが、撮影した映像には白いものが映ったり、音声が乱れたりしていました。ヤマメはネタのために事故物件を転々とし、芸人としてブレークしていきますが、そのうちに最恐の事故物件と出合うのでした。
前作の感想を、わたしは「それほど観たくはなかったのですが、まだコロナ禍でろくな映画が上映されていないのと、監督がJホラーの巨匠として知られる中田秀夫だったので、観ました。ネットでも低評価の作品ですが、たしかにひどい内容でした。正直、観る価値はありませんでした」と書きましたが、今回は非常にホラー映画として練れており、見応えがありました。さすがは「リング」の中田監督がメガホンを取っただけのことはあります。
前作に続いて、本作も原作者である松原タニシのノンフィクション本を忠実に映画化したということになっていますが、これが実話というのは有り得ません。相当量のフィクションが加えられていると思います。この映画には全部で4つのエピソードが登場しますが、これがすべて実話だったら、主人公はただでは済みません。当然、フィクションに基づいたホラーなのですが、ストーリーがよく練られていて、第一級の怪談に仕上がっていました。
Snow Manの渡辺翔太が演じる桑田ヤヒロは優しい男ですが、その優しさゆえに生者からも死者からも頼られます。吉田鋼太郎演じる芸能事務所の社長からは「寄り添いすぎると、やられるぞ」とのアドバイスを受けますが、これは心霊に限らず、グリーフケアの現場などにも通用する言葉ではないかと思いました。じつは、この日は上級グリーフケア士である、サンレーのグリーフケア推進室の市原泰人室長と一緒に鑑賞したのですが、彼は「優しすぎるや寄り添いすぎると憑かれるというような言葉がありましたが、実際にケアを行うときには時間制限を設ける場合も多く、ケアの時間が終わったら、もう関係を持たないということがあります」と言っていました。
市原室長は、また「『次回はいつ』という言葉は伝えますが、ケアの時間以外には関わらないことがケア者のケアに繋がってくると考えに繋がってきます。ただやはりこう言った場合や気持ちには寄り添ってあげたいという気持ちは大切だと思いますので、バランスや客観的に見る意識をスタッフに伝えていきたいと思いました」と述べ、さらには「想いが残るということ、これは場所でありモノでもありますが、事故物件といわれる場所についてはこれが強く残るのではと感じます。そしてそれを考えてあげられることの大切さを感じました」との感想も寄せてくれました。
「シネマネジメント」の実践ということで、この日は数人のサンレー社員たちと一緒に鑑賞しましたが、山下格常務が「単なるホラー映画としての鑑賞にとどまらず、『死と記憶』『想いの残る場所』『寄り添いのあり方』など、私たちの仕事にも直結する多くの学びを得る機会となりました。そして何より、『事故物件=想いが残る場所』という捉え方は、私たちが携わる"礼業"においても非常に重要な視点だと思います。『恐さ』ではなく『悲しみ』や『未練』の感情の集積として事故物件を見る――そこには、"死者を見送る私たち"に通じる深い哲学があるように感じました。今回の映画鑑賞を通じて、単なるエンタメにとどまらず、『場所』『人』『記憶』をめぐる深い考察の機会を得られたことに感謝いたします」とのLINEメッセージを送ってくれました。さすがですね!
この日、ローソン・ユナイテッドシネマ小倉の10番シアターで上映された「事故物件ゾク 恐い間取り」には、思ったよりも多くの観客が集まっていました。中学生くらいの女の子も多く、すごく怖がっていましたが、おそらくは主演を務めた渡辺翔太のファンの子たちが夏休みで来場したのではないかと思います。彼が所属する「Snow Man」は凄い人気ですが、目黒蓮や岩本照がカッコいいことはわたしでも知っていますが、渡辺翔太は正直言って「?」です。それでも、馬面(失礼!)で人の良さそうな顔が安心感を与えてくれるのかもしれません。一方、ヒロイン役の畑芽育ちゃんは最高に可愛かったです