No.1110
7月29日、財団の打ち合わせの後、夜の出版打ち合わせまでの隙間時間を使ってTOHOシネマズ日比谷でベトナムのホラー映画「DETECTIVE KIEN:THE HEADLESS HORROR」を観ました。
映画ナタリーの「解説」には、「『草原に黄色い花を見つける』『マン・オブ・スウィッチ』で知られるベトナムの気鋭監督ヴィクター・ヴーによるホラー。阮朝時代のベトナムを舞台に、キエン刑事が田舎の村で発見された首なし遺体の謎を捜査する中で、超自然的な力との関係を発見し、未曽有の恐怖を味わう姿を描く。出演は、Quoc Huy、Dinh Ngoc Diepら」と書かれています。
この映画、天下のTOHOシネマズ日比谷で上映されるというのに情報量がとても少なくて困りました。わたしがこれまでの人生で鑑賞した劇場公開作の中でも最も情報量が少なく、謎に包まれていました。とにかく、日本語の予告編が公開されていないばかりか、日本語タイトルさえつけられていません。これでは何の映画なのかもわかりません。しかし、それだけに「どんな映画だろう?」とホラー好きの魂が疼いてなりませんでした。あえて邦題をつけると、「捜査官キエン 首無し怪事件」となるようですね。どんなに情報不足の作品でも、未見のホラー映画と聞けば、いつか『世界で一番怖い映画』という本を書くつもりのわたしとしては観ないわけにはいきません!
鑑賞前の情報が皆無に近いにもかかわらず、TOHOシネマズ日比谷の8番シアターはほぼ満席で驚きました。数席あるプレミアムボックスシート以外は埋まっていた印象です。話している言葉から、ベトナムの人も多いような気がしました。さすが東京ほどの国際都市になると、あらゆる国の人がいるのですね。物語は、首なしの死体が続けて見つかっている村で、1人の女性が行方不明となるところから始まります。彼女を探す叔母と捜査官であるキエンが一緒に謎を探ります。この2人、いわゆるバディですが、美男美女でお似合いでした。キエンは坂口憲二、叔母は岡部まりに似ていましたね。岡部まり、なつかしい!
ベトナムの阮朝時代の物語ということで、日本でいえば幕末から明治にかけてといった感じですね。幽霊の殺人をテーマにしたホラー映画ということでしたが、基本的に心霊などの超常現象は出てきません。世にも恐ろしい事件ですが、すべて生きている人間の仕業です。ですので、この映画のジャンルは怪奇趣味のミステリーといったところです。このジャンル、日本には横溝正史の「金田一耕助シリーズ」がありますが、実際、この映画もまさに横溝映画のようでした。横溝作品でいえば、首無し死体なら『真珠郎』、幽霊の殺人なら『幽霊座』という名作がありますね。もしかすると、「DETECTIVE KIEN」の監督は横溝正史ファンではないでしょうか?