No.1109


 7月27日の日曜日の夜、アメリカ映画「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」をローソン・ユナイテッドシネマ小倉のIMAXで観ました。マーベルのヒーロー映画なので痛快娯楽大作なのですが、コミック原作のSF映画という点を考慮しても細部のリアリティに欠ける点が多々ありました。一条真也の映画館「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」で紹介したアニメ映画は超満員でしたが、夜のIMAXで上映された本作はガラガラでしたね。
 
 ヤフーの「解説」には、「宇宙でのミッション中に特殊能力を得た4人の宇宙飛行士の活躍を描いた、マーベルコミックのスーパーヒーローを原作とするヒーローアクション。体がゴムのように伸縮自在になる能力を持つリーダーをはじめとする4人がヒーローチームとして地球を脅かすヴィランとの戦いを繰り広げる。監督を務めるのはドラマ『ワンダヴィジョン』などのマット・シャックマン。メンバーをドラマシリーズ『マンダロリアン』などのペドロ・パスカルや、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クイン、エボン・モス=バクラックが演じる」と書かれています。

 ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「宇宙飛行士のリード・リチャーズ(ペドロ・パスカル)は宇宙でのアクシデントにより体がゴムのように伸縮自在になる力を手に入れ、共にミッションに参加していたスー・ストーム(ヴァネッサ・カービー)、ジョニー・ストーム(ジョセフ・クイン)、ベン・グリム(エボン・モス=バクラック)もそれぞれ特殊能力を得る。彼らはニューヨークのバクスター・ビルを拠点にヒーローチーム『ファンタスティック4』として活動を始める」
 
 IMAXでの上映だけあって、映像も音響も大迫力でした。一条真也の映画館「スーパーマン」で紹介したDC映画も同じ劇場で観ましたが、やはりヒーロー映画はIMAXで観るべきですね。特に、飛行シーンの迫力が全然違うと思います。ただ、映像や音響は最高なのですが、この映画、ツッコミ所は多いですな。まず、同じ宇宙船に乗った4人が同じ宇宙線を浴びたにもかかわらず、それぞれ違った超能力を得たところが「?」ですし、臨月のスーが強大な敵であるギャラクタスと戦うために宇宙船に乗り込むのは有り得ませんよね。出産シーンもリアリティ・ゼロでした。

 まあ、こういう痛快娯楽大作は細かいことは考えずに童心で観るべきなのかもしれませんね。でも、子ども向きなら妊娠という要素は不要だったかも? そもそも、この映画を観る気になったのは映画.comの「【尋常でなく期待してる映画】地球、そして全人類滅亡の危機・・・"命より大事な誰か"のためなら自分の限界を超えられる。心から共鳴し、体の底から不思議な力が湧く、『アルマゲドン』を彷彿させる感動スペクタクル」という本作の特集記事がものすごく熱くて、映画も最高に面白そうだったので鑑賞したのですが、明らかに過剰広告的な記事だったことがわかりました。「映画.comあるある」ですね。(笑)

 しかし、映画.comの記事で取り上げられていたSF映画の名作「アルマゲドン」(1998年)は、たしかに連想しました。同作の冒頭では、地球への衝突コースを取る小惑星が発見されます。もしも、テキサス州の大きさにも匹敵するその小惑星が地球に激突すれば、人類の破滅は免れません。これを回避する方法はただひとつ、小惑星内部に核爆弾を設置し、内側から破壊するしかありません。そしてその任務に選ばれたのは石油採掘のスペシャリストたちでした。刻々と迫る滅亡へのカウントダウンの中、人類の運命を委ねられた14人の男たちは小惑星へと飛び立つのでした。80年前の戦争でアメリカが震撼した日本の神風特攻隊を思わせる「自己犠牲」のドラマでしたが、本作「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」にもそれを感じました。日本人の心の琴線に触れたと思います。

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」を観て連想した作品は他にもあります。ギャラクタスと戦うために4人が宇宙船に乗り込み、正面から操縦席が映ったシーンでは、わたしが子どもの頃に観た特撮TVドラマの「キャプテンウルトラ」にそっくりだなと思いました。正式タイトルは「宇宙特撮シリーズ キャプテンウルトラ」ですが、1967年4月16日から9月24日まで、TBS系列で毎週日曜夜のタケダアワーで全24話が放送されました。国産初の本格スペースオペラ作品です。企画のきっかけは、東映の渡邊亮徳が「S-Fマガジン」で小説『キャプテン・フューチャー』の記事を読んだことであり、タイトルも同作品に由来しています。中田博久が演じたキャプテンは「ファンタスティック4」のリード、城野ゆきが演じたアカネはスー、安中滋が演じたケンジはジョニーに相当しますし、小林稔侍が演じたキケロ星人ジョーなんか外見までベンにそっくりです。さらには、ハービーを思わせるハックというロボットまでいました!

「キャプテンウルトラ」は、「ウルトラQ」「ウルトラマン」に続く円谷プロのウルトラ・シリーズ第3弾でしたが、日本が誇る特撮ドラマには仮面ライダー・シリーズもあります。「仮面ライダー」「仮面ライダーV3」に続く、その第3弾が「仮面ライダーX」です。1974年2月16日から10月12日まで、NET(現、テレビ朝日)系列で毎週土曜夜に全35話が放映されました。そこで仮面ライダーXと対峙したのが、最強の巨大怪人であるキングダークでした。このキングダークが「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」に登場するギャラクタスにそっくりなのです! キングダークは、世界征服を狙う悪の秘密結社である「GOD機関」の大幹部を務める巨大ロボットにして、シリーズ初の巨大キャラクターでもありました。鋼の全身を黒いマントで包んだ巨人型のロボットです。普段はアジトの奥にて、右手で頬杖を付いた涅槃仏のようなポーズで横たわっています。口からの毒ガスや目からの破壊光線、指先からのロケット弾など、多彩な武器を持ちます。もしかしたら、マーベルはキングダークを参考にしてギャラクタスを考えたのかも?

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」はマーベル・スタジオが製作する「マーベル・シネマティック・ユニバース」の第37作目ですが、時代設定を1965年としており、チームが活動を始めたのは1961年であることが明かされています。今から60年前の物語ということで、レトロフューチャー感覚が満載です。エンドロールの後にレトロなショートアニメも流れましたが、スーパーマンやバッドマンやスパイダーマンと同様に、この4人組も‟神話なき国"アメリカの神々であったのでしょう。映画のラストはかなり衝撃的で感動的でした。この衝撃と感動は、配信サービスなどではなく、絶対に映画館で観た方がいいと思います。さらに言えば、IMAXシアターで観た方がいいと思います。いろいろツッコミ所はありましたが、素晴らしい映画体験を与えてくれました。

 映画のラストで、ファンタスティック4が「アベンジャーズ/ドゥームズデイ」に登場することが告知されました。待望のアベンジャーズ最新劇場作品である同作は2026年12月18日(金)に日米同時公開を控えています。「エンドゲーム」の興奮から7年の時を経て、挑戦と拡張を続けるマーベル・シネマティック・ユニバースが、新たなクライマックスを迎えます。ロバート・ダウニー・Jr.が、悪の科学者ドクター・ドゥームとしてMCUに電撃復帰するそうです。「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(2018年)「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)を成功に導いたルッソ兄弟が再びメガホンを取ります。ジョー・ルッソ監督は「たくさんのキャラクター、あらゆるストーリーが混ざり合う、この10年で最も壮大な2部作になる」と語っており、来年12月18日の公開が今から楽しみですね!