No.1118


 東京に来ています。8月21日の夜、ヒューマントラストシネマ有楽町でスペイン映画「入国審査」を観ました。ネタバレになるのを避けるため詳しいことは書けませんが、最後は思わず「えっ?」と言いたくなるような意外な結末でした。77分と上映時間は短いですが、中身はハードでしたね。猛暑の中を四国から東京入りして疲れ切っていたわたしですが、さらに疲れる事態となってしまいしました。
 
 映画.comの「解説」には、こう書かれています。
「移住のためアメリカへやって来たカップルを待ち受ける入国審査での尋問の行方を緊迫感たっぷりに描いた、スペイン発の心理サスペンス。本作が監督デビューとなるアレハンドロ・ロハス&フアン・セバスティアン・バスケスが監督・脚本を手がけ、故郷ベネズエラからスペインに移住した際の実体験に着想を得て制作。わずか17日間で撮影した低予算の作品ながら、サウス・バイ・サウスウエスト映画祭2023に正式出品されるなど、世界各地の映画祭で注目を集めた。『記憶探偵と鍵のかかった少女』のアルベルト・アンマンがディエゴ、『悲しみに、こんにちは』のブルーナ・クッシがエレナを演じた。
 
 映画.comの「あらすじ」は、以下の通りです。
「スペインのバルセロナからニューヨークに降り立ったディエゴとエレナ。エレナがグリーンカードの抽選で移民ビザに当選し、事実婚のパートナーであるディエゴとともに、新天地での幸せな生活を夢見てやって来た。しかし入国審査でパスポートを確認した職員は2人を別室へ連れて行き、密室で拒否権なしの尋問が始まる。予想外の質問を次々と浴びせられて戸惑う彼らだったが、エレナはある質問をきっかけにディエゴに疑念を抱きはじめる」

 冒頭にも書いたように「えっ?」と言いたくなる意外な結末でしたが、77分間の上映時間のほとんどが、警察の取調室を連想させる狭い部屋で展開されます。その密室で英語とスペイン語による会話が延々と続くのです。また、その内容が「性交渉の頻度は?」といったエグイ質問のオンパレード。審査官は男女ともにコワモテで、圧迫面接ならぬ圧迫審査そのものです。非常にストレスフルな内容ゆえに観客は少ないかと思ったら、意外や意外、ほぼ満席でした。日本公開日は8月1日なので、すでに20日が経過しているにもかかわらず、この人気は凄いですね。人気の秘密はわかりませんが、「変だけど、クセになる映画」といった評判が拡散しているのかも......。
 
 タイトルおよび予告編から、アメリカに移住する男女が入国審査に引っ掛かるという映画だとわかります。ですから入国審査にシーンまでは正直どうでもいいのですが、主人公の1人であるディエゴという男性が飛行機の着陸間近にトイレに行ったり、入国に必要な申告書類を用意していなかったり......観客にストレスを与える行為を繰り広げます。その後の入国審査はもっとストレスフルなのですが、この物語の背景には南米からの移民を受け入れたがらないドナルド・トランプの政策があるのかもしれませんね。これ以上は本当にネタバレになるので内緒です。興味がある方は劇場でご確認下さい!