No.1122
東京に来ています。ブログ「『男神』完成披露舞台挨拶」で紹介したイベントの後、9月19日公開の映画「男神」をTOHOシネマズ日本橋で観ました。恥ずかしながら同作にはわたしも出演していますが、巨大スクリーンで見る自分の姿は夢のようで現実感がありませんでした。
ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「失踪した子供を捜す父親を主人公に、足を踏み入れてはいけない禁足地にまつわる恐怖や狂気、家族の悲劇を描いたファンタジーホラー。不穏な儀式が行われている深い穴に、行方をくらました息子がいると知った主人公が、息子を助けるために穴の中へ向かう。主人公を『ONODA 一万夜を越えて』などの遠藤雄弥が演じ、彩凪翔、岩橋玄樹、須田亜香里、カトウシンスケなどが共演。監督を『ソローキンの見た桜』などの井上雅貴が務める」
ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「全国各地で母と子の失踪事件が発生していたある日、新興住宅地の建設現場に深い穴が出現する。同じころ、建設現場で働いている和田(遠藤雄弥)の息子が突然姿を消してしまう。穴の先には森が広がり、巫女たちが男神を鎮めるための儀式を行なっているという。息子が穴に迷い込んだと知った和田は、禁忌を破り、息子を助けるために穴に入ることを決意する」
「男神」は、普遍的な家族愛を描くファンタジーホラー。八木商店の原案で、2020年の「日本(美濃・飛騨等)から世界へ!映像企画」で入選した作品です。YouTube「怖い話怪談朗読」では「今までで一番怖い話」と注目を浴びました。視聴者からの映像化への熱い期待を受け、オリジナルストーリーで撮影地となる日進市の協力により映画化の運びとなりました。公開は2025年秋です。
ブログ「映画『男神』に出演しました」で紹介したように、昨年10月7日、わたしは、愛知県の日進市にある愛知牧場で行われた「男神」の撮影に参加しました。名古屋市商工会議所会頭の佐久間進一郎(!)役で、地鎮祭での玉串奉奠シーンに登場しました。猛暑の中の撮影でしたが、わたしの5回目の映画出演となりました。
わたしの出演シーン
玉串奉奠で柏手を打つ
映画.comの「年少の男子を生贄とした恐怖の神の伝説と家族愛描くファンタジーホラー『男神』映画化&キャスト決定」と言う記事には、以下のように書かれています。 「古来より伝わる怪談や妖怪譚といった恐怖の物語、日本独自の文化的背景が反映された作品が豊富にあるなか、本作では死や後悔、過去のトラウマなど、人間の心理的な闇を描き、観客の共感や共鳴を呼び起こし、より深い恐怖体験をもたらす。また、恐怖感だけではなく、日本の伝統美や文化に触れることができる作品として、世界に向けて発信することを目的として製作される」
TOHOシネマズ日本橋での完成披露舞台挨拶の後、東京プレミア上映会で「男神」を観ましたが、これまではPC画面での動画チェックのレベルで、映画館のスクリーンで鑑賞したのは初めてです。それもTOHOシネマズ日本橋の7番シアターの巨大スクリーンです。冒頭シーンから、森の神秘的な映像に魅せられました。わたしが登場するシーンでは、自分の顔が実物の100倍ぐらいに大写しにされ、(穴の物語ですが)穴があったら入りたいぐらいでした。自分の顔をあんなに大きく見たのは生まれて初めてですが、良い冥途の土産ができました。エンドロールでも最後を飾る特別出演の「加藤雅也」さん、「沢田亜矢子」さんの前に「一条真也」のクレジットを入れていただき、関係各位には感謝の言葉もございません。
遠藤雄弥さん(右)、カトウシンスケさん(右)と
元SKE48のエース・須田亜香里さんと
撮影のようす
井上雅貴監督と
『古事記と冠婚葬祭』(現代書林)
井上雅貴監督は、「映画『男神』は幻想的な映像美と情感豊かな物語が古代の神話の世界へと誘います。しかし、神話には忘れ去られた恐怖も存在します。真に実力のある俳優陣が神話の深淵に潜む恐怖と対峙し、現代と異世界を交錯する物語が登場人物の複雑な心情を紡ぎます。映画館の暗闇で感じる美しい日本の神秘と恐怖の共鳴。映画に身を委ね、幻想と現実の狭間で心揺さぶられる感覚を味わってください」と語っています。近藤監督は、わたしの拙い演技を「すごく良かったですよ」と言ってくれました。なんでも監督は、神道研究の第一人者であった故鎌田東二先生と小生の共著『古事記と冠婚葬祭』(現代書林)を読んで今回の映画製作の参考にされたそうです。完成した映画「男神」を鎌田先生に観ていただきたかった!
「男神」は儀式をテーマにしたホラーであり、ファンタジーです。儀式ホラーということで、わたしは一条真也の映画館「来る」で紹介した2018年公開の日本映画思い出しました。原作は 一条真也の読書館『ぼぎわんが、来る』で紹介した第22回日本ホラー小説大賞に輝いた澤村伊智の小説で、謎の訪問者をきっかけに起こる奇妙な出来事を描きます。幸せな新婚生活を送る田原秀樹(妻夫木聡)は、勤務先に自分を訪ねて来客があったと聞かされます。取り次いだ後輩によると『チサさんの件で』と話していたといいますが、それはこれから生まれてくる娘の名前で、自分と妻の香奈(黒木華)しか知らないはずでした。そして訪問者と応対した後輩が亡くなってしまいます。2年後、秀樹の周囲でミステリアスな出来事が起こり始めるのでした。
本作の大きな話題の1つは、元宝塚・雪組の男役スターだった彩凪翔の出演です。彼女は"男役"から"巫女役"へと華麗な転身を果たし、初のホラーヒロインに挑戦しています。最愛の息子を生贄に差し出す禁断の儀式が行われる中、物語の鍵を握るキーパーソンを演じます。舞台挨拶で登壇した彼女の姿を初めて見たとき、そのスタイルの良さに目を奪われました。男役のスターだっただけあって、どんな男よりも男らしいというか、凛としています。でも話すと、とても可愛い女性らしさを感じました。演技力もあり、これからが楽しみな女優さんです。
みんなから「馬主みたい」と言われました(笑)
撮影日は最初は雨でしたが、途中から晴れて、陽射しが強くなりました。わたしは冬物の礼服を着てきたので汗だくになりました。お隣の日進市の近藤市長も汗びっしょりでした。ネタバレをしないように気をつけて書くと、「男神」では地鎮祭の最中に異変というか、不可解な出来事が起こります。それで玉串奉奠を終えたばかりのわたしをはじめ、神事の参列者が一斉に異変が起こった方向を向いて、怪訝な顔をします。そこには、馬に乗った謎の青年が絡んでいるのですが、これ以上は秘密です。撮影後、馬と一緒に記念撮影したら、みなさんから「馬主みたいですね」と言われました。(笑)
撮影後に俳優陣と記念撮影
炎天下の中、2時間以上かけて撮影が終わると、みんなで記念撮影をしました。その後でお会いした益田祐美子プロデューサーから、「玉串奉奠の所作が美しくて、さすがでした。来年、『法師』という仏教映画を作るので、今度はぜひ焼香のシーンで出演してください」と言われました。(笑)考えてみれば、玉串奉奠にしろ、焼香にしろ、儀式のシーンで映画出演するのは、冠婚葬祭文化振興の活動ではないかと思っております。これも「天下布礼」の一環と考え、これからも頑張ります。最後に貴重な出演の機会を与えていただいた志賀司ゼネラルプロデューサーおよび益田プロデューサーに心より感謝申し上げます。